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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第7章 対決、「断罪官」

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第252話 レナ、怒る

 本日2本目の投稿です。


 夜の中立都市フロントラル。


 夜であるのにも関わらず、商業区の通りは多くの人達で賑わっていた。


 その商業区にある建物の屋根の上を、1つの「影」が駆け抜けていた。


 その「影」の正体は、アメリア・スターク。


 かつて「断罪官」という部隊に所属していたが、今はその断罪官を裏切って逃亡中だという彼女は、三つ編みの少女と幼い少年にしがみつかれているうえに、肩に気を失った春風を担いでいる状態で、フロントラル内の建物の屋根を飛び移ってはそこを駆け抜けながら、とある場所を目指していた。


 といっても、目指す場所は()()1()()()()なのだが。


 そんな中、


 「はぁ……はぁ……」


 と、アメリアにしがみついている三つ編みの少女が、何やら辛そうな様子だったので、


 「ニーナお姉ちゃん、大丈夫?」


 と、同じくアメリアにしがみついている幼い少年が、心配そうにそう尋ねると、


 「だ、大丈夫だよ、ピート」


 と、「ニーナお姉ちゃん」と呼ばれた三つ編みの少女は、幼い少年に向かって笑顔でそう答えた。


 ただ、それでも顔中が汗で濡れていたので、「ピート」と呼ばれた幼い少年は更に心配そうな表情を浮かべ、


 「ごめんね、ニーナ。もう少しでここを出られるから」


 と、アメリアは前を見つめて走りながらそう言ってきたので、それを聞いた三つ編みの少女は黙ってコクリと頷いた。


 一方その頃、


 「……こいつは、一体どういう状況なんだい?」


 と、宿屋「白い風見鶏」の女将であるレベッカは、目の前の状況を見てポカンとした表情でそう呟いていた。


 無理もないだろう。何せ、目の前では複数の男女が、建物の影から伸びてきた紫色に輝く鎖に体を縛られて、動けないでいるのだから。


 そして、その男女の中には、


 「や、やぁレベッカさん、こんばんは」


 「あ? フレデリック総本部長? あんたまで何やってんだい?」


 ハンターギルド総本部長フレデリックの姿もあり、それと同時に、


 「いやちょっと待った。ヴァレリーさんにタイラーさん、それに、レナ!?」


 ヴァレリーとタイラー、そして、レナの姿もあったので、


 「一体何がどうなってんだい……?」


 と、レベッカが「訳がわからん!」と言わんばかりの表情で、取り敢えずレナを縛ってる鎖に手を伸ばそうとすると、


 「ああ、駄目ですレベッカさん! それは、危険なものです!」


 と、ギョッとなったフレデリックに止められたので、レベッカは「嘘ぉ!?」と言って、すぐにその場から飛び退いた。


 すると、


 「こ、これは!」


 という声がしたので、その声を聞いたレベッカが「え?」とすぐに声がした方へと振り向くと、


 「あ、オードリー市長」


 そこには、フロントラル市長のオードリーがいたのだが、よく見ると、彼女の傍には立派な装飾が施された白いローブ姿の男性が数人程いたので、


 (ん? あいつらは……)


 と、レベッカはその男性達を見て警戒体勢に入った。


 それを見たオードリーは、


 「ああ、レベッカさん心配しないでください! 彼らは五神教会の神官達です!」


 と、慌てた様子で白いローブ姿の男性達をそう紹介したが、


 「……そうですかい」


 と、レベッカは()()()()()だけ警戒を解いてそう返事したので、


 (本当にこの人の五神教会が嫌いなんですね)


 と、フレデリックは縛られているにも関わらず、「やれやれ」と言わんばかりの呆れ顔になりながら、心の中でそう呟いた。


 その後、


 「で、何度も言うけど、これは一体どういう状況なんだい? あんた達ともあろうものが」


 と、レベッカが「はぁ」と溜め息を吐きながらそう尋ねてきたので、


 「ああ、それはぁ……その、ちょっと油断してしまいまして……」


 と、フレデリックは誤魔化すかのように「あはは」と苦笑いしながらそう答え、その答えを聞いたレベッカが「はぁ?」と首を傾げると、


 「というかレベッカさん、あなたこそどうしてこちらに?」


 と、今度はそれまで黙っていたタイラーがそう尋ねてきたので、


 「え? どうしてって、春風の帰りが遅かったから、迎えに行くところだったんだけど……」


 と、レベッカがそう答えると、


 「……春風」


 と、未だに鎖に拘束されているレナがボソッとそう呟いたので、


 「れ、レナ?」


 と、その呟きを聞いたレベッカが恐る恐る声をかけると、


 「春風……春風……春風!」


 と、レナは何度も春風の名を叫びながら、自身を縛る紫色の鎖を外そうと全身に力を入れた。


 しかし、それに反応したのか、紫色の鎖はバチバチと放電するかのように紫色の光を放ちながら、レナを締め付ける力を強くしたので、


 「い、いけませんレナさん! 『闇』の力に無理に抗えば、あなたに何が起きるか……!」


 と、ギョッとなったフレデリックは慌ててレナに「待った」をかけたが、


 「春風……春風ぁ!」


 その声が聞こえてないのか、レナはそれでも諦めずに紫色の鎖を外そうとした。


 そして、


 「春風を……返せぇ!」


 と、レナが力いっぱいそう叫んだ、次の瞬間、レナの全身が()()()()()()()()()に包まれて、


 『れ、レナ!?』


 『レナさん!?』


 と、それを見た周囲の人達が驚くと……。


 ーーバキィン!


 『な!?』


 大きな音を立てて、レナを縛る紫色の鎖が破壊されたので、それを見た周囲の人達は更にギョッと驚いたが、


 「ふー! ふー!」


 未だに全身を白い光と赤い炎に包まれているレナは、キッと春風を連れ去ったアメリア達が飛び立った方向を睨みつけると、


 「逃がして……たまるかぁ!」


 と、レナはそう叫んで、その場から勢いよくジャンプし、アメリア達と同じように建物の屋根の上に着地すると、そのまま彼女達を追って駆け出し、


 「れ、レナ!?」


 「「レナさーん!」」


 と、アーデ、ディック、フィオナは、走り去ったレナに向かってそう叫んだ。


 その後、あまりのことに誰もが呆然としていたが、


 「……は! い、いけません! 私達も、彼女……いえ、春風さんを救出せねば!」


 と、ハッとなったフレデリックが戸惑いの表情を浮かべながら、焦った様子でそう言ったので、


 「そ、そうですね!」


 と、それを聞いたオードリーもハッとなると、


 「すみません、彼らをお願いします!」


 と、傍に立つ五神教会の神官達に向かってそうお願いをし、


 『わ、わかりました!』


 と、同じくハッとなった神官達はそう頷くと、フレデリック達を助けようと動き出した。


 ただ、


 「ちょっとぉ! いい加減誰か説明してくれないかい!?」


 と、未だに状況が飲み込めてないレベッカはプンスカとしていたが。


 


 


 

 

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