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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第7章 対決、「断罪官」

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第250話 フレデリック、語る


 「元・断罪官の隊員、アメリア・スタークさんですね?」


 と、3人の「侵入者」達の1人である、ハルバードを構えたショートヘアの女性に向かってそう尋ねたフレデリック。


 そのフレデリックの質問に、


 「え? ふ、フレデリック総本部長さん、今、なんと……?」


 と、春風が恐る恐る尋ね返そうとしたが、それを遮るかのように、


 「何故……私の名を知ってる?」


 と、ショートヘアの女性……否、アメリア・スタークーー以下、アメリアが先に尋ね返したので、


 「ギデオン・シンクレア大隊長からあなたの話を聞きました。で、その際あなたの顔についても聞いたのですが、いやぁ、まさか髪を切っていたとは……」


 と、フレデリックは「ほっほっほ……」となんともわざとらしく笑いながらそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「え、マジで!?」


 「それは、本当の話なのですか!?」


 と、ヴァレリーとタイラーが驚き、


 「く、ギデオン大隊長……」


 と、アメリアが「余計なことを……」と言わんばかりの表情を浮かべつつ、フレデリックに対して警戒心を剥き出しにしていると、


 「ぐぅ……ガァア!」


 と、「獣」の姿へと変身した幼い少年が、フレデリックに向かって突撃したので、


 「()()()! 駄目!」


 と、ギョッとなった三つ編みの少女がそう叫んだが、「ピート」と呼ばれた幼い少年の耳には届かず、フレデリックを攻撃しようとしたが、フレデリックは落ち着いた表情で、


 「静まりなさい」


 と、一言そう言うと、


 「っ!?」


 と、幼い少年はピタッと止まってその場から動かなくなり、その後、フレデリックに何かを感じたのか、彼の顔を見てダラダラと滝のように汗を流しながら、「恐怖」に満ちた表情を浮かべた。


 そんな様子の幼い少年を見て、


 「ピート!」


 と、三つ編みの少女がそう叫び、


 (何だ!? 今、総本部長さんは何をした!?)


 と、春風がフレデリックを見てそう疑問に思っていると、


 「ふふ、いい子ですね……」


 と、穏やかな笑みを浮かべたフレデリックが静かにピートに近づいてきたので、


 「や、やめろ!」


 と、ハッとなったアメリアが、幼い少年を助けようとしてフレデリックに素早く近づき、手にしていたハルバードの斧刃を、フレデリック目掛けて振り下ろした。


 それを見て、


 「あ、危ない!」


 と、春風がそう叫んだ、次の瞬間、


 「ほいっと」


 ーーガシッ!


 「……え?」


 『つ、掴んだ!?』


 なんと、フレデリックは再び落ち着いた表情を浮かべて、アメリアが振り下ろした斧刃を右手でガシッと掴んだのだ。


 それも、()()()()()()()()()で、だ。


 しかも、


 「う! く! う、動かない、何故だ!?」


 と、アメリアがそう叫んだように、アメリアはその場から離れようとしたが、


 「ほっほっほ、ほらほらどうしました? 動けませんか?」


 とフレデリックは意地の悪そうな笑みを浮かべながら、グッと斧刃を掴む力を強くしたので、アメリアはその場から動くことが出来ないでいた。


 そんな2人の様子を見て、


 「す、凄い、フレデリック総本部長……」


 「う、うん、素手で攻撃を防ぐなんて……」


 と、ディックとフィオナはポカンとしたが、


 「……いや、違う」


 と、春風がそう口を開いたので、その言葉にディックとフィオナが「え?」と2人して春風の方へ振り向くと、


 「あの『アメリア・スターク』って人の攻撃を掴む瞬間、総本部長さんの掌が光ったのが見えた。これは俺の推測だけど、総本部長さんは、掌を『魔力』でコーティングして、その状態で斧を掴んだんだ」


 と、春風はフレデリックをジッと見つめながらそう説明したので、


 「「え、そうなんですか!?」」


 と、それを聞いたディックとフィオナが驚くと、


 「ほほう、よくわかりましたね!」


 と、フレデリックは意外なものを見るかのように大きく目を見開きながら言った。


 次の瞬間、斧刃を掴むフレデリックの右手がオレンジ色に光り出したので、


 「そ、そんな、まさか……」


 と、今度はアメリアが目を大きく見開きながら驚くと、フレデリックは彼女に構うことなく、


 「その通りですよ春風さん。そしてご覧の通り、『魔力』とは『魔術』を発動させるだけじゃなくこういう使い方も出来るのです」


 と、春風に向かってそのオレンジ色に輝く手を見せながらそう説明した後、


 「この場にいる魔術師系職能の職能保持者さん達も、覚えておくように」


 と、周囲にいる武装した男女を見回しながらそう言った。


 その言葉に春風が「やっぱり……」と言わんばかりの表情を浮かべると、フレデリックはそれを気にすることなく、


 「ほいっと!」


 と、振り下ろされた斧刃を、前に押し出すように離したので、


 「う、うわ!」


 と、驚いたアメリアはバランスを崩して後ろに倒れそうになったが、


 「姉さん!」


 「アメリアお姉ちゃん!」


 と、三つ編みの少女と、漸く動けるようになった幼い少年がアメリアを抱き留めたので、


 「あ、ありがとう2人とも……」


 と、アメリアは2人にお礼を言った。


 そんなアメリア達を見て、フレデリックは「ふふ」と笑うと、


 「で、総本部長さんよぉ」


 と、ヴァレリーがそう口を開いたので、


 「ん? 何ですかヴァレリーさん?」


 と、フレデリックがそう返事すると、


 「そろそろ教えてくれないか? あいつら……というか、あの『アメリア』って女が何者なのかとかさぁ」


 と、ヴァレリーはチラッとアメリア達を見て頭を掻きながらそう言い、それに続くように、


 「そうですよ。何せ、昼間断罪官の連中がギルド総本部に来た時、僕とヴァレリーさんもいましたが、ギデオン大隊長の部下に止められてしまって、結局何も聞くことが出来なかったんですから」


 と、タイラーは「むぅ」と頬を膨らませながらそう言ったので、


 「おや、これは失礼しました」


 と、フレデリックはそう謝罪した後、


 「そうですね、春風さん達にも『知る権利』はありますしね」


 と、チラッとアメリア達の後ろの春風達を見ながらそう言うと、

  

 「そちらの彼女、元・断罪官隊員のアメリア・スタークさんは、数週間前に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()裏切り者なのです」


 と、ジッとアメリアを見つめながらそう言った。


 


 

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