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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第7章 対決、「断罪官」

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第246話 「スカーレット」、再び

 今回はいつもより短めの話になります。


 グラシアの過去の話を聞いて、春風は思う。


 (断罪官。そして、その大隊長ギデオン・シンクレア。あの人達との対決は、避けて通ることは出来ない)


 と、そう思った春風は悩む。


 (だけど、もしそうなった時、果たして俺は……いや、俺とレナ、そしてもう1人の『悪魔』はあの人達に勝てるのか?)


 と、そう悩んだ後、春風は考える。


 (それに、あのギデオンって人が持ってた()()()。あれを見た時、()()()()()()()を感じた。一体、あれは……)


 そして、考えた末に、


 (……駄目だ。考えれば考えるほど不安になってしまう。こんなんで、本当に俺達は勝てるのか?)


 と、春風は再びそう悩んだが、その後すぐにハッとなって首を左右に振って、


 (いや、『勝てるのか?』じゃない。『勝たなきゃいけない』だ。何故なら、今の俺には守りたい『大切なもの』があるし、『生きる』と決めた『理由』もある。だから……)


 と、考えた後、


 「絶対に……勝つんだ」


 と、静かにそう決意した。


 その時だ。


 「()()()()()()()()()! こっちもお願い!」


 という声がしたので、


 「あ、はーい! わかりました!」


 と、春風……否、「スカーレット」は気持ちを切り替えたかのように笑顔でそう返事した。


 時は夜。場所は中立都市フロントラル内商業区、歓楽通りにある一軒の店。


 そこは、幾つもある「大人向け」の店の1つで、店主のナンシーの指示のもと、少々派手なドレス姿の女性従業員達が、今日も店を訪れたお客をもてなしていた。


 当然、その女性従業員の中には、真っ赤なドレス姿の従業員「スカーレット」こと、女装した少年・雪村春風の姿もあった。


 そんな春風はというと、


 「いらっしゃいませ!」


 「ご注文はお決まりでしょうか?」


 と、「男」でありながらドレス姿というとんでもない格好をしつつも、店を訪れたお客さんを相手に笑顔で接客していたが、その心の中では、


 (ああ、もう! 二度とこの姿になることはないって思ってたのにぃ!)


 と、思いっきり自身の現状を嘆いていた。


 春風……いや、正確に言えば「スカーレット」への依頼。


 それは勿論、ナンシーの店の手伝いだった。


 何でこんな状況になっているのかというと、実は、春風が初めて「スカーレット」として店を手伝ったあの夜の後、


 「あの子は一体誰だ!?」


 「スッゲェ可愛かった!」


 「ああ、またあの子接客されたい!」


 「お、俺もだ!」


 などと、()()を知らない一部の男性客が、それぞれ「スカーレット」こと女装した春風に対して、かなり興奮気味にそう言ったので、


 (こ、これは……思った以上に凄い人気だねぇ)


 と、そのことにナンシーは「うーん」と深く考え込むと、


 「よし! あの子には悪いが、もう一回手伝ってもらおう!」


 と、春風にもう一度「スカーレット」になってもらおうと考え、ギルド総本部を通して春風に「指名依頼」することにした。


 因みに、そのことを店の全女性従業員達に伝えると、


 『大賛成!』


 と、そう言って彼女達はグッと親指を立てた。


 そんなわけで今、ナンシーからの「指名依頼」を受けた春風は、再び真っ赤なドレス姿の女性従業員「スカーレット」として、ナンシーの店の手伝いをしている。


 そんな現在の状況に、


 「うぅ。こんなことしてる場合じゃないのに……」


 と、今にも泣き出しそうな表情でそうぼやく春風だが、


 「まぁまぁ春風。引き受けたからには、しっかり最後までやり遂げようね。私も一緒に頑張るから」


 と、仕事を手伝っていたレナにそう励まされたので、


 「あはは。レナ、ありがとう」


 と、春風は乾いた笑い声をこぼしながらそう返事した。


 ただ、目は笑ってなかったが。


 まぁとにかく、そんな感じで働く春風に、


 「スカーレットちゃん、こっちお願い!」


 と、女性従業員の1人がそう声をかけてきたので、それに春風が「はーい!」と返事すると、


 「……い、いらっしゃいませ」


 と、()()()()()を前に盛大に頬を引き攣らせた。


 そのお客というのが、


 「やぁこんばんは」


 ハンターギルド総本部長のフレデリックと、


 「あらあら、随分と可愛らしいお姿ね」


 中立都市フロントラル市長のオードリーと、


 「やぁ、久しぶりだねスカーレットさん」


 レギオン「黄金の両手」リーダーのタイラーと、


 「久しぶり」


 その助手のアーデと、


 「おお! ドレス姿似合ってるじゃないか!」


 レギオン「紅蓮の猛牛」リーダーのヴァレリーと、


 「「……」」


 そのメンバーにして春風とレナのパーティメンバーである双子の兄妹、ディックとフィオナと、


 「や、やぁ……」


 「よ、よう」


 「ど、どうも……」


 「こ、こんばんは……」


 先輩ハンターである、エリック、イアン、ステラ、ルーシーだった。


 まさかの()()()()()だったので、


 (……おお、『地球の神々』よ。私は一体何の『試練』を受けているのですか?)


 と、春風は心の中で、この場にいない「地球の神々」に向かってそう尋ねた。


 その際何処かから、


 『いや、誤解! 誤解だから! 我々なんにもしてないよ!』


 と、そんな複数の叫び声が聞こえた気がしたが、春風はそれをスルーすることにした。


 まぁそれはさておき、


 (う、うーん。この人達を相手に、俺どこまで出来るんだ!?)


 と、目の前にいる「お客様」達を見て、春風がタラリと汗をながした、まさにその時、


 ……きぃ。


 と、店の扉がそう音を立てながら、ゆっくりと開かれたので、


 (ん? また新しいお客さんかな……?)


 と、その音を聞いた春風がふと扉の方へと視線を向けると、


 「……あ」


 「こ、こんばんは」


 「「……」」


 そこにいたのは、「白い風見鶏」の新たな宿泊客である、ショートヘアの女性と三つ編みの少女、そして、幼い少年の3人だった。


 


 


 

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