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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第2章 「物語」の始まり

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第23話 そして、「勇者召喚」へ


 (ふーん。復活した『邪神』とその『眷属』。それと『予言』に『悪魔』か……)


 ウィルフレッドが語った「邪神の復活」と、その邪神が世界に放ったという「邪神の眷属」。そして「恐ろしい予言」と、その予言に出てくるという「神々を滅ぼす悪魔」の存在。


 それらを聞いて、女性教師とクラスメイト達は顔を真っ青にして狼狽える中、春風は落ち着いた表情になっていた。勿論、周りにそれを悟られないようにはしていたが。


 まぁそれはさておき、ここまでウィルフレッドの話を聞いた春風は、かけていた眼鏡をずらすと、右手で自身の右目を覆って、


 (うん。ここまでの話を聞いて、500年前に起きた出来事以外には1()()()()『神眼』が反応したけど、それ以降は何も起きなかった。でも、どうして()()()()だけに反応したんだ?)


 と、ウィルフレッドの話の内容について冷静に分析した。


 その後、春風はもう一度眼鏡をかけ直して再び話を聞く姿勢に入ると、


 「あ、あの、ウィルフレッド……陛下!」


 と、顔を真っ青にしたままの女性教師が、恐る恐るそう口を開いたので、


 「む、何かな勇者殿?」


 と、ウィルフレッドがそう返事すると、


 「お、お話は大体わかりました。く、繰り返し尋ねるようで、申し訳ありませんが、今の話で、何故私達がこの世界に召喚される流れになるのでしょうか?」


 と、女性教師は真っ青な表情のままではあるが、どうにか丁寧な口調でウィルフレッドに向かってそう尋ねた。


 そんな女性教師を、


 (ああ、先生すっごい体を震わせてる。まぁ、気持ちはわかるけど……)


 と、春風が心配そうに見つめる中、


 「お、おぉすまない。不安にさせてしまったようだな」


 と、ウィルフレッドが慌てた様子でそう謝罪してきたので、


 (いや国王陛下、謝罪はいいから早よ続き話せや!)


 と、それを聞いた春風はイラッとなったが、すぐにハッとなって、


 (いかんいかん。落ち着け、落ち着くんだ春風……)


 と、首をブンブンと横に振った。そして、周囲に視線を向けると、女性教師やクラスメイト達はウィルフレッドの話にショックを受けていてそれどころではないようで、他の人達も「まぁ、そうなるだろうな」と言わんばかりの表情を浮かべていて、誰も春風の様子に気付いてなかったようで、


 (よ、よかった。みんな気付いてないな)


 と、春風は心の中でホッと胸を撫で下ろした。


 一方、そんな春風の心境を知らないウィルフレッドはというと、「ゴホン」と咳き込んで女性教師の質問に答える。


 「確かに、ここまでの話だと其方達には何の関係もない話だろう。しかし、邪神ループスの宣戦布告と邪神の眷属の出現から暫く経ったある日、我々は5柱の神々から『神託』を受けたのだ」


 その答えを聞いて、


 「神託……ですか?」


 と、女性教師が「え、マジで?」と言わんばかりに疑いに満ちた表情になると、


 「うむ。その神託では、復活した邪神達は長きに渡る封印によって蓄積された『憎悪』によって、500年前よりも更に強大な存在となり、またその眷属の方も、数こそ10に満たないが邪神達と同じくそれぞれが強大力を秘めている為に現在の我々の戦力では太刀打ちすることが出来ず、5柱の神々でさえも勝てるかどうかはわからないという」


 と、ウィルフレッドは本当に悔しそうな表情でそう答えたので、女性教師は「そんな!」とショックで更に顔を真っ青にし、クラスメイト達も不安そうにざわめき出したが、


 「落ち着いてくれ、『神託』には続きがあるのだ」


 と、ウィルフレッドが「ああ、待ってくれ」と言わんばかりに手を軽く振りながらそう言ったので、それを聞いた女性教師とクラスメイト達は静かになって再び話を聞く体勢に入った。


 そして、そんな女性教師達を見てウィルフレッドが「ありがとう」とお礼を言うと、


 「先程言った神託を聞いて、当然我々もショックを受けたが、その神託にはこう続きがあったのだ。『復活した邪神とその眷属からこの世界を救う為には、別の世界の住人から力を借りるしかない』とな。そして、その『神託』を受けた直後、我々は5柱の神々より、とある『秘術』を授かったのだ」


 「と、とある秘術?」


 「そうだ。その秘術の名は、『勇者召喚』という。その名の通り、別の世界ーー即ち『異世界』より悪しき存在から人々守る希望の救世主『勇者』を召喚する為の秘術だ。その秘術を授かった我々は、すぐにそれを実行に移す為の準備に入った。そして今日、全ての準備を終えた我々は『勇者召喚』を実行に移した。その結果……」


 と、ウィルフレッドがそこまで説明すると、女性教師はハッとなって、


 「ま、まさか……それが私達……なのですか?」


 と、恐る恐るそう尋ねると、ウィルフレッドはコクリと頷きながら、


 「そうだ。5柱の神々に選ばれた、悪しき邪神とその眷属から人々を守る『勇者』、それが其方達なのだ」


 と、女性教師達に向かって真剣なそう答えた。ただ最後に、


 「まぁ、まさか25人も召喚されたのは、流石に我々も驚いたがな」


 と付け加え、それに続くように彼の家族達やその近くにいる人達も「うんうん」と頷いたので、


 (いや、あんたらも驚いてんのかーい!)


 と、春風はキリッとした表情をしながら、心の中でそうツッコミを入れた。


 そんな春風を他所に、


 「そ、それってつまり……私達にその『邪神』とかいう危険な存在と戦えと、そう言いたいのですか?」


 と、女性教師は更にウィルフレッドに向かってそう尋ねたので、


 「その通りだ。其方達にとっては信じられない話だろうが、我々にとっては大切なことなのだ」


 と、ウィルフレッドはコクリと頷きながらそう答えたので、


 (ちっ! やっぱそういうことかよ)


 と、春風は心の中で盛大に舌打ちした。


 その後、


 (うーん。ここまで聞いたけど、それでも『神眼』が反応しなかったってことは、これも嘘じゃないってことか……)


 と、春風は再びウィルフレッドの話について冷静に分析すると、


 (あ、そうだ。先生やみんなは……)


 と、すぐに女性教師やクラスメイト達の様子を見ようとしたが、


 「……ふ」


 という声が聞こえたので、春風は思わず「ん?」とその声がした方へと振り向くと、


 (先生?)


 そこには顔を下に向けてグッと拳を握りしめる女性教師の姿があった。


 そして、そんな女性教師を見て、


 「ど、どうかしたのか勇者殿……」


 と、気になったウィルフレッドが声をかけると、女性教師はバッと顔を上げて、


 「ふっざけんなぁあああああああ!」


 と、ウィルフレッドに向かって力いっぱい怒声を浴びせた。


 


 


 


 

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