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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第7章 対決、「断罪官」

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第241話 「グラシア・ブルーム」という女・「最後のスキル」

 今回はいつもより短めの話になります。


 もしかしたら投稿した後で何か加筆修正するかもしれません。


 (ど……どうして?)


 一度ならず二度までも、「大切な存在」を失った……否、()()()()グラシア。


 そのあまりにも残酷な出来事に、


 (どうして……こんな……私……)


 と、グラシアが表情を「絶望」に染めると、目の前に「大切な人」の生首が転がっていたので、それを見たグラシアはソッと手を伸ばし、それをゆっくりと持ち上げると、まるで愛しい人を抱くかのようにそれを優しく抱き締めた。


 すると、


 「さぁ、次は貴様の番だ」


 と、目の前でそんな声がしたので、その声に反応したのか、グラシアはゆっくりと声がした方へと顔を向けると、そこには「大切な存在」を二度も奪った相手ーー「断罪官」の隊員がいたので、


 「……どうして?」


 と、グラシアはボソリと呟くように、その隊員に向かって暗い表情でそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「何だと?」

 

 と、隊員が尋ね返すかのようにそう返事すると、


 「どうして私から奪うの? 私、何も悪いことしてないよ? ただ、成人(大人)になる前に『職能』を持ってたってだけじゃない。なのになんで……?」


 と、グラシアは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらそう尋ねて、


 「何でこんなに奪われなきゃならないの!? 私『悪魔』じゃないのに! お父さんとお母さん、私の友達や村のみんなだって悪いことしてないのに! アンタ達と同じ『人間』なのに! そんなに私はこの世界にいちゃいけないの!? 私が『悪』で、アンタ達が『正義』だっていうの!?」


 と、最後はまるで幼い子供のように泣き喚きながらそう付け加えた。


 その後、ひとしきり喚き終えたグラシアが、「ぜぇ、はぁ……」と苦しそうに肩で息をしていると、


 「……そうだ。お前達『固有職保持者』は、偉大なる5柱の神々の加護も持たぬ者。そのような存在は、『神』に歯向かう悪しき存在……即ち『悪』でしかない。そして、この世に『正義』というものが存在するなら、それこそ偉大なる5柱の神々であって、我々ではない」


 と、目の前の断罪官の隊員が冷たい口調でそう答えたので……。


 ーープツン。


 「……は? 何それ?」


 その答えを聞いた瞬間、グラシアの中で、何かが切れた。


 「……あは」


 ただでさえグラシアの中で何かが壊れているというのに、ここへ来て更に何かが切れたということは、


 「あは。あはは………あははははははは!」


 最早、グラシアは()()()()()()()()()()ということになる。


 グラシアは狂ったように大声で笑うと、表情がまるで何かが抜け落ちたようにスッと無表情に変わって、


 「あ〜あ、バッカみたい。じゃもういいや」

 

 と、無表情のままボソリとそう呟くと、


 「()()()1()()()()()()()()使()()()()()()()()


 と、最後にそう付け加えた。

 

 その言葉を聞いて、目の前の断罪官の隊員だけでなく、他の隊員達までもが「何!?」と警戒すると、グラシアはクワッと大きく目を見開いて、


 「スキル『絶対未来視』発動! さぁ、私の()()()()()よ! この私、グラシア・ブルームに『未来』を見せなさい! それも!ただの『未来』じゃない! 『どんなことをしても絶対に変えることが出来ない未来』を!」


 と、天に向かってそう叫んだ。


 スキル「絶対未来視」。


 それは、グラシアがまだ「ハンター」として活動していたある日、何気なく自身の「ステータス」を展開すると、いつの間にか「所持スキル」の項目に記されていたので、気になってグラシアがそのスキルを調べてみると……。


 スキル「絶対未来視」……固有職能「時読み師」の専用スキルにして()()()()()。その名の通り「絶対に現実となる未来」を見せる。そして、その「未来」はどんなことをしても絶対に変えることが出来ない。また、本当に変えることが出来ないので、使用出来るのは1()()()()1()()()()である。


 と、スキルの説明欄にそう記されていたので、


 (ええ? 使えるのは生涯1度だけ?)


 「はは、ヤバすぎるでしょ」


 と、その説明を見たグラシアは「何の冗談よ」と言わんばかりに「はは」と大笑いし、


 「こんな訳のわからないスキルなんて、使う必要もないでしょ」


 と、最後にそう付け加えると、その後は普通に「ハンター」としての日々を送り、いつしかそのスキルのことを忘れてしまった。


 しかし、それから時が流れて現在。


 断罪官に大切な人を奪われたグラシアは、


 (ああ、そういやこんなスキルもあったわね)


 と、不意にそのスキルの存在を思い出して、


 (うん。使っちゃえ)


 と、今回この場で使うこと決めた。


 そして、


 「おい貴様! 何をするつもりだ!?」


 と、怒鳴りながら尋ねてきた断罪官の隊員を無視して、その「絶対未来視」を発動した次の瞬間、


 「本当によろしいですか?」


 と、グラシアの頭の中でそんな「声」がしたので、その声にグラシアが「は?」と返事すると、


 「スキルを発動すれば、あなたと周囲の人達は本当に『絶対に変えることが出来ない未来』を見ることになります。よろしいですか?」


 と、「声」がグラシアに向かってそう尋ねてきたので、その質問にグラシアはイラッときたのか、


 「ごちゃごちゃ言ってないで、いいから見せなさい!」


 と、怒鳴るようにそう答えた。


 突然怒鳴り出したグラシアを見て、断罪官の隊員達が「何? どしたの?」と言わんばかりに戸惑い出したが、そんな彼らを無視するかのように、


 「了解しました。最終スキル『絶対未来視』を、発動します」


 と、「声」がグラシアに向かってそう言った、次の瞬間……グラシアを中心に、「闇」が広がり出した。

 

 

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