第226話 侵入者、現る?
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
こうして、なんやかんやで少年ディックという「弟子」ーーというより「弟分」みたいな存在?ーーが出来た春風。
そんな春風を、
「ふふ。春風ったら、なんか嬉しそう」
と、レナは暖かい目で見つめていると、
「むぅ……」
と、春風とディックを見て膨れっ面している、ディックの双子の妹フィオナの姿が視線に入ったので、
(あ、あれ? どうしたんだろう?)
と、気になったレナはフィオナにそっと近づいて、
「ねぇ、どうかしたの?」
と、声をかけると、
「……なんでもありません」
と、フィオナは膨れっ面のままプイッとそっぽを向いたので、
(ありゃりゃ。これ、なんか面倒なことになるかも?)
と、レナはタラリと汗を流しながら、心の中でそう呟いた。
その後、春風達4人は食事の片付けをして、仕事の続きをすると、フロントラルへ戻った。その際、フィオナにジッと睨まれてしまったので、
(な、なんか……すっごい怖い目で睨まれてる?)
と、その視線を受けた春風はブルリと体を震わせた。
まぁそれはさておき、4人がフロントラルに着いた時にはもう夕方になっていて、都市の内部へと続く門の前には、沢山の旅人や馬車などが来ていたので、
(うわぁ。今日も沢山来てるなぁ……)
と、それを見た春風がそう感心すると、
「……あれ?」
ふと、視界に妙なものが入ったので、春風は思わず小さくそう声をもらした。
春風が見たもの。それは、見るからにボロボロになっているマントを羽織った3人組で、しかも全員フードをかぶっていたので、それを見た春風は最初、
(なんだろう? あの人達も旅人かな?)
と首を傾げたが、全員、何やら怪しげな動きをしていたので、春風はその3人組から目を離すことが出来なかった。
そんな春風に、
「兄貴、どうしたんですか?」
と、ディックが小声で話しかけてきたが、春風は「し! 静かに!」と人差し指を立てながら、ボロボロマントの3人組を見つめた状態のまま小さくそう言ったので、その言葉にディックだけでなくレナとフィオナまでもが首を傾げた。
そんなディック達を他所に、春風は今にも門を通ろうとしている一台の馬車に近づくボロボロマントの3人組を見つめていると、
(ん!?)
なんと、ボロボロマントの3人組が、全員その馬車に乗り込んだのだ。それも、見たところ周りの人間に気付かれないように、だ。
そして、3人組を乗せた馬車が、門を潜り始めたので、
「お、おいおいおい……!」
と、春風は大慌てでその場から駆け出した。
そんな春風を見て、
「ちょ、春風!?」
「兄貴!?」
「どうしたんですか!?」
と、レナ、ディック、フィオナも春風を追うようにその場から駆け出した。
そんなレナ達を無視して、春風が門に着くと、
「ああ、こらこら! 割り込みはいかんぞ!」
と、門番の男性に止められてしまったので、
「すみません、あの馬車を止めてください!」
と、春風は「げ!」と思いつつも、ボロボロマントの3人組を乗せた馬車を指差しながらそう言ったので、
「春風、どうしたの!?」
と、追いついたレナがそう尋ねると、春風はそれを無視して前を見つめたまま、
「怪しい3人組が中に入ってくのを見ました!」
と、止めに入ってきた門番の男性に向かってそう言ったが、
「は、はぁ? 怪しいって……?」
と、門番の男性は首を傾げるだけで動こうとしなかったので、
「ああ、もう! すみません!」
と、イラッとなった春風は、強引に門番の男性を押し退けると、そのまま門を潜って馬車を追いかけた。
門を潜ると、都市の内部は大勢の人達で賑わっていたので、
(何処だ? 何処に行った!?)
と、春風は焦った様子で辺りを見回した。
そして、
「見つけた!」
と、目的の馬車の後ろ姿を見つけると、またその場から駆け出した。
それから少しして、
「あった!」
と、春風はとある店の前で停まっている馬車を発見すると、すぐにその中を確認したが、
(い、いない。あの3人組がいないぞ)
中は幾つかの木箱が置かれてるだけで、そこにはボロボロマントの3人組の姿はなかった。
その時だ。
「あの、うちの馬車に何か御用ですか?」
と、馬車の持ち主らしき男性がそう声をかけてきたので、
「すみません、ここにいた人達はどちらに行きました!?」
と、春風はすぐに男性に向かってそう尋ねたが、
「は? 人って君、私が見た時は誰もいなかったよ。というか、この馬車は荷物を運ぶ為のもので、人を乗せるものじゃないんだ」
と、馬車の持ち主の男性は「いやいや」と手を振りながらそう否定したので、
「そ、それじゃあ、何か荷物を盗られたってのは……!?」
と、春風が再びそう尋ねると、
「え? 何も盗られてなんかなかったぞ?」
と、馬車の持ち主の男性は首を左右に振りながら再びそう否定したので、春風はそれでも何か尋ねようとしたが、男性の反応を見て冷静になったのか、
「……そうですか、ありがとうございます。お騒がせして、すみませんでした」
と、男性に向かってお礼を言いながら、深々と頭を下げて謝罪した後、男性を置いてその場をあとにした。
その後、
「あ、春風ぁ!」
と、レナ、ディック、フィオナと合流し、
「もう、いきなり走り出してどうしたの!?」
と、レナに怒られつつもそう尋ねられると、
「みんな、『侵入者』が現れた」
と、春風は真っ直ぐレナ達を見つめながらそう答えたので、その答えに「えぇ!?」とレナ達はショックを受けて、
「そ、それ、本当ですか!?」
と、ディックは驚いた表情で春風に向かってそう尋ねると、春風は黙ってコクリと頷いたので、
「わかった。それじゃあ、フレデリック総本部長に知らせよう」
と、すぐに落ち着いた表情になったレナがそう提案してきた。
それを聞いて、
「ありがとう」
と、春風はレナに向かってそうお礼を言った後、レナ達と共にギルド総本部に向かった。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。誠に勝手ながら、前回投稿した話のタイトルと内容を修正させてもらいました。
また、今回の話の展開を考えていたらその日のうちに終わらせることが出来ず、結果として1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。
因みに、前回の話のタイトルは、「春風、◯◯になる」です。




