表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第2章 「物語」の始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/264

第21話 「悪しき邪神」と「5柱の神々」


 「ルールを無視した異世界召喚」を行ったとされる、異世界「エルード」の国の1つである「ルーセンティア王国」。


 その国の王女である少女・クラリッサと交代するように、彼女の父親にして国王であるという王冠をかぶった男性・ウィルフレッドが玉座から立ち上がったことによって、クラリッサから「勇者様方」と呼ばれた女性教師とクラスメイト達は、緊張のあまり表情や体をカチコチに硬直させたが、


 (さぁ国王様。あんたは俺達に、どんな『事情(言い訳)』を聞かせてくれるんだい?)


 ただ1人、春風だけは、冷静に目の前にいるウィルフレッドを見つめていた。


 勿論、周りにいる人達に気付かれないように、他のクラスメイト達との間に身を隠しながら、ウィルフレッドの話を聞く体勢に入っていた。


 そして、春風、女性教師やクラスメイト達を含めた、その場にいる者達全員がウィルフレッドに視線を向ける中、彼は静かに口を開く。


 「はじめまして、異世界より召喚されし『勇者』達よ。私の名は、ウィルフレッド・バート・ルーセンティア。先程我が娘クラリッサが話した通り、この『ルーセンティア王国』の国王を務めている者だ」


 と、威厳に満ちた声でそう自己紹介したウィルフレッドの言葉に、「勇者」こと女性教師とクラスメイト達がゴクリと唾を飲んでいると、


 「そしてこちらにいるのは、我が妻にしてルーセンティア王国王妃マーガレット・フレヤ・ルーセンティアと、もう1人の我が娘でありクラリッサの妹である、ルーセンティア王国第2王女のイヴリーヌ・ヘレナ・ルーセンティアだ」


 と、ウィルフレッドは同じく玉座に座っている女性と、その隣に座る少女をそう紹介し、それに続くように、マーガレットと呼ばれた女性と、イヴリーヌと呼ばれた少女が、ウィルフレッドと同じように玉座から立ち上がり、挨拶するかのようにペコリと頭を下げたので、それを見た女性教師とクラスメイト達、そして春風も、マーガレットとイヴリーヌに向かってペコリと頭を下げた。


 その後、2人が静かに玉座に座ると、


 「さて、勇者達よ。突然のことで困惑しているところ申し訳ないが、どうか落ち着いて我々の話を聞いてほしい」


 と、ウィルフレッドが再びそう口を開いたので、女性教師ら勇者達と春風がウィルフレッドに視線を向けると、


 「今、この世界は()()()()()に陥っている」


 と、ウィルフレッドは真剣な表情でそう言い、それを聞いた女性教師とクラスメイト達は、


 『えええぇ!?』


 と、皆、一斉に驚きの声をあげ、


 「ええ?」


 と、春風は「何言ってんだこいつ?」と言わんばかりの表情でそう声をもらした。勿論、周りに気付かれないように小声で、だ。


 そんな春風達を前に、


 「驚くのも無理はないと思っている。その辺り理由も説明するから、もう一度落ち着いてほしい」


 と、ウィルフレッドは今度は優しそうな口調でそう言ったので、女性教師とクラスメイト達は、


 『わ、わかりました』


 と、ウィルフレッドに従って大人しくなった。


 その後、ウィルフレッドが「ありがとう」とお礼を言うと、


 「それでは、理由を説明する為に『昔話』をしよう」


 と言ったので、


 「む、昔話……ですか?」


 と、女性教師が恐る恐るそう尋ねると、


 「そうだ。我々……いや、この世界の住人達にとって『始まりの歴史』とも言える話だ」


 と、ウィルフレッドは再び真剣な表情でそう答えたので、それを聞いたクラスメイト達はタラリと汗を流した。


 そんな彼らを前に、ウィルフレッドは「昔話」を始める。


 「今から500年前。まだこの世界が、『ループス』と『ヘリアテス』という2柱の『悪しき邪神』と、その加護を受けた2つの『悪しき種族』である『獣人』と『妖精』、そして、彼らによって使役されている『魔物』達に支配され、我々『人間』が奴らによって虐げられていた時代のことだった」


 そう話を始めたウィルフレッドの言葉に、女性教師とクラスメイト達が「えぇ!?」と驚く中、


 (……は?)


 春風だけは、「いや、ほんと何言ってんのこいつ?」と言わんばかりに首を傾げていた。


 ウィルフレッドは話を続ける。


 「しかしそんなある時、天より『5柱の神々』が現れたのだ」


 「5柱の神々……ですか?」


 「そうだ。『炎の神カリドゥス』、『水の女神アムニス』、『風の神ニンブス』、『土の女神ワリス』、そしてリーダー的存在である『光の神ラディウス』の5柱だ。神々は虐げられていた人間達を救う為に、邪神達に戦いを挑んだのだ。それだけでなく、神々は人間達に『悪しき種族』や魔物達と戦う特別な『力』を授けてくださったのだ。5柱の神々と人間達は力を合わせて、邪神と『悪しき種族』達と戦い、見事これに勝利した。2柱の邪神達は激しい戦いの末に『力』を失い、5柱の神々によって地中深くに封印され、『悪しき種族』達が散り散りになってやがて世界から姿を消したのだ」


 「え? ふ、封印って、倒すことは出来なかったのですか?」


 と、ウィルフレッドの話を聞いて女性教師が再び恐る恐るそう尋ねると、


 「ああ、『力』を失っても邪神達は強大な存在で、5柱の神々の力をもってしても完全に倒すことは出来ず、封印するしかなかったのだ」


 と、ウィルフレッドは表情を暗くしながらそう答えたので、女性教師は「そんな……」とショックを受けた。クラスメイト達も同様だ。


 そんな女性教師達を見て、ウィルフレッドは「いかん!」と言わんばかりに「ゴホン!」と咳き込むと、また話をし始めた。


 「ま、まぁともあれ、こうして邪神達は封印され、『悪しき種族』も世界から消えた。残った魔物達はというと、現在も数を増やして人間達を苦しめているが、それでも支配されていた頃よりは大した苦にはならなかった。そんな感じで、人間達は5柱の神々のおかげで、平和な日々を送れるようになれた。皆、それぞれ独自の文化を築き上げ、やがて幾つかの国が誕生した。この『ルーセンティア王国』も、そんな国の1つだ。そして、5柱の神々は我々人間達を見守る存在となり、人間達はそんな神々を讃える為に1つの組織を作った。それが、宗教組織『五神教会』の誕生である」


 と、そう説明し終えると、女性教師だけでなくクラスメイト達までもが「おぉ!」と歓声をあげた。


 だが、


 (……嘘だ)


 春風だけは違った。ウィルフレッドの話を聞いて、春風は確信したのだ。


 (この人は、()()()()()()()!)



 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ