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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第219話 春風にとっての「剣」

 本日2本目の投稿です。


 そして、今回は少し短めの話になります。


 「お前さんにとって、『剣』とは何なんだ?」


 と、春風に向かってそう尋ねたバージル。


 その質問が出た瞬間、部屋の中が一気に緊張に包まれた。


 質問をしたバージル、そしてその妻ミラを除いて、エリック、イアン、ステラ、ルーシー、そしてレナが、緊張しているのかタラリと汗を流していたが、春風だけは真っ直ぐバージルを見つめて、


 「『力』です。『斬る』為の『力』。『斬る』ことによって、『命を奪う』為の『力』です」


 と、ハッキリと答えた。


 今のバージルの質問に対して、答える者が普通の人なら、


 「な、何故そんな質問を?」


 と、恐る恐る尋ね返すだろう。


 しかし、春風は違った。バージルの質問に対して、春風はなんの迷いもなく「命を奪う」……即ち「殺す為の力」だと言い切ったのだ。


 そんな風に答えた春風に向かって、


 「随分と、ハッキリ言うんだな」


 と、バージルがそう言うと、


 「取り繕っても仕方ないですから。それに、『剣』だけじゃありません。どんなに綺麗事を並べようとも、全ての武器は皆、命を奪う為の『力』ですから。そして、それらを使いこなせるようになりたければ、沢山使いまくって、奪い続ければいいんです」


 と、春風は自身の両手をグッと握り締めながらそう返事した。


 その返事を聞いて、バージルとミラを除いた全員がタラリと汗を流しながらゴクリと唾を飲むと、


 「それは、『殺戮者』の道よ。『剣士』の道じゃないわ」


 と、ミラが静かにそう口を開いた。


 すると、春風は表情を暗くし、


 「確かに、そうですね」


 と、僅かにニヤッとしながらそう返事したが、すぐに「ですが」と表情を真面目なものに変えると、腰のベルトに下げた翼丸に手をあてて、


 「俺は『剣士』ではありません。『戦う為の力』として剣を選びましたが、自分を『剣士』と思ったことは、一度もありませんよ」


 と、真っ直ぐミラを見つめながらそう言った。


 その言葉を聞いて、レナやエリック達はオロオロしだし、反対にバージルとミラは表情こそ落ち着いてはいるが尋常ではないプレッシャーが溢れ出ていた。


 しかし、


 「まぁでも……」

 

 と、春風が口を開いたので、それに誰もが「ん?」と反応すると、


 「『殺戮者になりたいのか?』と問われたら、『いいえ』と即答しますよ。何も生み出すことなく、ただ『殺す』だけの存在に成り下がるなんて嫌ですから。それに、俺にはどうしても守りたい『大切なもの』がありますし、『生きたい』と決めた理由もあります。ですから、それらを守ったうえで、自分も生き残る。その為に、俺は(こいつ)を……『力』を振り続けます」


 と、春風は真っ直ぐバージルとミラを見つめながらそう話を続けた。


 その話を聞いて、


 「……それが、お前さんが選んだ『道』なんだな?」


 と、バージルが春風に向かってそう尋ねると、


 「はい」


 と、春風は力強く頷いた。


 その返事を聞いて、


 「は、春風……」


 と、レナがジーンとなると、バージルは「はは」と笑って、


 「悪かったな、()()()()しちまって」


 と、春風に向かってペコリと頭を下げて謝罪した。


 その謝罪を受けて、


 「いえ、構いません。いつか何処かでされる質問だと思ってましたから」


 と、春風はそう返事したが、


 「ああ、ですが……」


 『ん?』


 「ちゃんと答えられるか、かなり不安でしたけどね」


 と、照れくさそうに頭を掻きながらそう付け加えたので、


 「まぁ、あれだけハッキリと答えておいて」


 と、ミラは呆れながらも「ふふ」と笑い、


 「がっはっは! 確かにな!」


 と、バージルも豪快に笑いながらそう言った。


 そんな2人の言葉に、レナとエリック達が「ははは」と頬を引き攣らせていると、


 「よし、決めたぜ!」


 と、バージルがパンッと自身の膝を叩きながらそう口を開き、その後ミラと顔を見合わせてコクリと頷きあったので、それを見た春風達が「え?」と首を傾げていると、


 「春風、そしてレナ。この先仕事で魔物の素材が手に入ったら、それ持ってうちに来い。俺達でそいつを武器と防具に変えてやる」


 「ええ、ドーンと頼りにしなさい」


 と、バージルとミラがニヤッとしながらそう言ってきたので、


 「「え!? いいんですか!?」」


 と、春風とレナが大きく目を見開きながらそう尋ねると、


 「「勿論!」」


 と、夫婦揃って頷きながらそう返事した。


 そんな2人の返事を聞いて、春風とレナはお互い顔を見合わせると、すぐにバージルとミラと同じようにコクリと頷いて、


 「でしたら、早速お願いしてもよろしいでしょうか?」


 と、春風がバージルに向かってそう尋ねた。


 それに対して、バージルが「お、早速か!?」と大きく目を見開くと、春風は腰のベルトにつけたポーチに手を入れて、そこから自分達が倒したデッド・マンティスの腕(?)を取り出して、


 「これなんですが……」


 と、目の前のテーブルの上に置いた。


 それを見て、


 『おお! こ、こいつは!」


 と、バージルとミラだけでなくエリック達までもがそう声をあげて、


 「ど、どうでしょうか?」


 と、春風が恐る恐るバージルに向かってそう尋ねた。因みに、隣のレナも「大丈夫かな?」と言わんばかりにゴクリと唾を飲んだ。


 すると、バージルとミラはニヤリと笑って、


 「こいつはいいもんだな」


 「ええ、腕がなるわね」


 と、目の前に置かれたデッド・マンティスの鎌を見つめながらそう呟くと、春風とレナに視線を向けて、


 「安心しろ。こいつは、俺達が『いいもの』に鍛えてやる」


 「ええ、任せなさい」


 と、真剣な表情でそう言ったので、


 「「よろしくお願いします! お代はしっかり払いますので!」」


 と、春風とレナはペコリと頭を下げながらそう言い、


 「「「「あ。お金払う意思はあるんだ」」」」


 と、エリック達はポカンとした表情でそう言うと、


 「「毎度ありぃ!」」


 と、最後にバージルとミラは満面の笑みを浮かべながらそう言った。


 


 


 

 

 予定としましては、次回、またはその次の回辺りで今章は終了です。

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