第217話 新たな出会い、再び
遅くなりました、1日遅れの投稿です。
生産区。
それは、現在春風が暮らしている「中立都市フロントラル」内にある区画の1つで、数多くの生産系職能保持者達が暮らす「家」兼「工房」が存在し、そこでは多くの武器や防具、更には回復薬等が日夜作られている。
その「家」兼「工房」がある生産区内の通り、通称「職人通り」を、今、春風とレナ、そしてエリック、イアン、ステラ、ルーシーの6人が歩いている。
様々な店や春風が寝泊まりしている「白い風見鶏」、そしてレナの自宅がある「商業区」と違って、生産区内には幾つもの煙突がある建物が多く、そこから煙がもくもくと出ていた。更に開いている窓からは、まるで心落ち着くようないい臭いから、ツンと鼻にくる刺激臭のような臭いも出ていたので、
「おいこら! お宅から滅茶苦茶やべえ臭いが出てるぞ!」
「喧しい! そっちこそ嫌な臭いが出てんだよぉ!」
という怒鳴り声があちこちで行き交っていて、そこから少し離れた位置では、「ドォン」という大きな爆発音が聞こえて、そのすぐ後に、
「おい、またお前かよ! いい加減にしろよな!」
「いやぁ、すまんすまん!」
と、言い争う声も聞こえた。
そんな様子の生産区を、
(はー。ここが『生産区』かぁ)
と、春風は歩きながらキョロキョロと見回していたが、
「春風、危ないよ」
と、レナに小声で注意されてしまい、
「あ、ごめん」
と、すぐにハッとなった春風は、「いかんいかん!」と首を左右に振ると、前方に視線を向けた。
そんな感じで6人が生産区の通りを歩いている中、
「おい待てよ! じゃあ、2人とも昇級を辞退したのかよ!?」
「えー? なんか勿体無くない?」
と、総本部長室でのフレデリックとヴァレリーとの話し合いを聞いたイアンとステラがそう尋ねてきたので、
「だって俺、まだハンターになったばかりですし、そんな奴がいきなり数段上の級に上がるなんて、きっと周りがいい顔しないと思いますし……」
「だよねぇ。ハンターって結構荒っぽい人が多いから、話が広まったら絶対に何か大変な目に遭うって」
と、その質問に対して、春風とレナは「はぁ」と2人して溜め息を吐きながらそう答えた。
その答えに対して、
「それはどうかな。既に銀級になってるレナはともかく、春風の実力は、アーデを破ったあの時から、大勢のハンターが『本物だ』と認めている。そんな人間に手を出す奴がいるとは思えないが?」
と、エリックが春風とレナに向かってそう尋ねると、
「わかりませんよ。結託して俺を嵌める為の罠を張るかもしれないですし、俺が寝てる隙をついてナイフでグサリ、なんてこともあるかもしれないですから」
と、春風は「いやいや」と手を振りながらそう否定したが、
「『血濡れの両目』化したデッド・マンティスを真っ二つにしちゃうような人間を罠に? 私なら絶対しないよ、そんなこと」
と、ステラにそう言われてしまったので、その言葉を聞いた春風は、
「うぐ、それは……」
と、呻いた後、そこから何も言えなくなった。
そんな感じで6人が話をしながら通り歩いて暫くすると、
「さ、ここだよ」
と、とある場所で立ち止まったエリックがそう言ってきたので、春風達もその場にピタリと止まった。
着いたのは他の生産区内にある建物と同じように大きな煙突がある大きな石造りの家の前で、その煙突からは他の煙突付きの建物と同じくもくもくと煙が出ていて、それと同時に、中からカンカンッという何か金属のようなものが叩かれてる音がした。
そんな目の前にある石造りの家を見て、
「あの、エリックさん。ここって一体……?」
と、春風がエリックに向かって恐る恐る尋ねると、
「ん? ああ、ここは俺達がお世話になってる工房だよ。ここに住んでる人に武器を作ってもらってるんだ」
と、エリックは穏やかな笑みを浮かべながらそう答えたので、それを聞いた春風は「はぁ、そうなんですか」と納得の表情を浮かべた後、
(でもエリックさん達、どうして俺達をここに連れてきたんだろう?)
と、心の中でそう疑問に思った。
そんな春風を他所に、エリックは石造り家に付いている扉の前に立つと、トントンと扉を叩いて、
「おやっさん、エリックです!」
と、扉の向こう側に向かってそう叫んだ。
すると、
「おーう! 今行くぜぇ!」
と、扉の向こうから男性のものと思わしき声が聞こえたので、その声を聞いて「う!」と春風がビクッとすると、扉の向こうからタッタッタと大きな音が聞こえ、その後扉の近くでピタッと止まったので、
(い、一体、どんな人が出てくるんだ?)
と、春風は緊張のあまりゴクリと唾を飲んだ。
そして、ガチャリという音と共にゆっくりと扉が開かれると、
「よっと」
という声と共に、1人の男性が現れた。
白い布を頭に巻き、白い半袖シャツに黒い長ズボン、そしてその白いシャツの上に黒いエプロンつけたその男性は、見た感じだとエリックよりも背が高く、がっしりとした筋肉のある体つきをしていたので、
(お、おう、これはまた……)
と、その姿を見た春風は再びゴクリと唾を飲んだ。
そんな春風を他所に、
「エリック、連れてきたのか?」
と、男性がチラッと春風を見ながら、エリックに向かってそう尋ねたので、
「はい、彼があの『盾』の持ち主である春風です」
と、エリックも男性に向かってそう答えた。
その答えを聞いて、男性は「ほう」と声をもらすと、スッと春風に視線を向けてきたので、
「うぅ!」
と、春風はそう呻きつつも、真っ直ぐ目の前の男性を見つめて、
「こ、こんにちは」
と、恐る恐る男性に向かってそう挨拶し、それに続くように、
「こんにちは」
と、レナも男性に向かってそう挨拶した。
そんな2人の挨拶を聞いて、
「おう、よく来てくれたな」
と、男性がニヤッとしながらそう返事すると、
「まぁ、立ち話もなんだ。茶でも用意するからうちに入んな」
と、男性はそう言って石造りの家の中へと戻り、そんな彼に続くように、
「じゃ、俺達も行こうか」
と、エリックがそう言ったので、その後、先に家に入った彼を追いかけるように、イアン、ステラ、ルーシー、そして春風とレナも家の中へと入った。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えてたらその日のうちに終わらせることが出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




