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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第215話 春風とレナ、「パーティ」を組む?


 「春風。レナ。この子達と、パーティを組んでほしいんだ」


 「「はいぃ!?」」


 双子の兄妹、ディックとフィオナとパーティを組んでほしい。


 ヴァレリーから発せられたその言葉に、春風とレナは驚きに満ちた叫びをあげた。その表情は明らかに「意味がわからん!」と言わんばかりものだったので、


 「まぁ、そう思うのも当然でしょうなぁ」


 と、そんな状態の春風とレナに向かって、フレデリックはそう言った後、最後に「ふぅ……」とひと息いれた。


 それから少しすると、


 「ちょ、ちょっと待ってくださいヴァレリーさん。それって一体どういう意味でしょうか?」


 と、春風がヴァレリーに向かってヒクヒクと頬を引き攣らせながらそう尋ねてきたので、それにヴァレリーが「うむ」と声をもらすと、


 「言葉の通りだ春風。お前とレナには、この子達とパーティを組んで、可能ならそのまま2人のことを鍛えてほしいんだ」


 と、春風と未だに呆けている様子のレナに向かってそう答えたので、


 「ま。待ってください! それは、何の冗談なのですか!?」


 と、春風が「いやいやちょっと待て!」と言わんばかりに手を振りながらそう尋ねたが、目の前にいるヴァレリーの表情はかなり真面目なものだったので、その表情を見た春風は、ヴァレリーが冗談を言ってるのではないと理解したので、気持ちを落ち着かせようと「ふぅ」とゆっくりと深呼吸すると、


 「詳しい理由を、教えてください」


 と、冷静な態度でヴァレリーに向かってそう言った。因みに、それからすぐにレナもハッと我に返り、


 「聞かせてもらおうじゃない」


 と、話を聞く姿勢に入った。


 そんな2人の姿勢に、ディックとフィオナがゴクリと唾を飲む中、ヴァレリーは真面目な表情を崩さずに話を始める。


 「実は何を隠そう、うちは新たに加入した者達に()()()をつけるというルールがあってな、で、この2人はつい最近うちに入った新人なんだ。で、そんな2人の教育係が、お前達が昨日出会ったグレッグとジェシカの2人で、昨日も新人教育の為にあの森で魔物討伐をしていた時に……」


 と、ヴァレリーがそう言いかけると、


 「ポイズン・マンティスとデッド・マンティスに遭遇した……と?」


 と、遮るようにレナがそう尋ねてきたので、


 「ああ、その通りだ。そして、デッド・マンティス達からこの子達を逃す為に、グレッグとジェシカで囮となり、結果グレッグが大怪我をしてしまってな、この子達の教育係から外れることになったんだ。ついでにジェシカの方も他の仕事をさせることが決まって、残ったこの子達はどうしようとなった時に……」


 と、ヴァレリーがコクリと頷きながらそう答えると、


 「自分達とパーティを組ませよう……と?」


 「で、私達にこの2人の教育係になってもらおう……と?」


 と、春風とレナが「ま、まさか……」と言わんばかりに頬を引き攣らせながらそう尋ねたので、


 「そういうことだ。ああそれと、一応この子達も、昨日お前達に魔物を擦りつけた()()()でもあるからな。その『罰』の意味も含まれてるからな」


 と、ヴァレリーは「ふ……」と不敵な笑みを浮かべながらそう答えた。


 その答えを聞いて、春風もレナも「えぇ?」と微妙な表情になったが、目の前で申し訳なさそうな表情をしている双子の兄妹を見て、「はぁ」と溜め息を吐くと、


 「すみません、レナと少し話し合ってきますので、ちょっとよろしいでしょうか?」


 と、春風がヴァレリー達を見て「はい」と手を上げたので、それを見たヴァレリーが、


 「ああ、構わない」


 と、返事すると、春風とレナは「では」と言ってソファーから立ち上がり、総本部長室を出た。


 その後、2人は近くの廊下の端まで行き、その場にしゃがみ込むと、


 「どう思う、レナ?」


 と、春風がレナに小声でそう尋ねてきたので、


 「どう見ても『押し付け』だと思う。あの子達には悪いけど」


 と、レナも小声でそう答えた。


 その答えを聞いて、春風が「だよねぇ」と小声のまま頷きながらそう言うと、


 「あと多分だけど、俺達がレギオンに入ろうとしたことに対する『嫌がらせ』も含まれてるんじゃないかなぁ。ああ、ちくしょう。あんな状況じゃなければ、『神眼』を使って嘘か本当か確かめられるのに……」


 と、最後に悔しそうな表情でそう付け加えた。


 その時だ。


 「それでは、どうしますか? ヴァレリー様からのお願い、断りますか?」


 と、マジスマの中にいるグラシアも小声でそう尋ねてきたので、それに春風とレナが「うぐ! それは……」と呻くと、お互い顔を見合わせて、


 「……受けるしか、ないよな」


 「そうだよねぇ。正直、私はこれまで基本的に単独で仕事をしていたから、別にパーティとか組まなくてもいいんだけど。ああ、でも春風と組むのが嫌って訳でもないからね」


 と、そう言い合うと、最後に再び「はぁ」と2人して溜め息を吐いた。


 その後、2人は「よし」と呟くと、スッと立ち上がって、総本部長室に戻った。


 扉を開けて中に入ると、


 「おや、もう決まりましたか?」


 と、フレデリックがそう尋ねてきたので、春風とレナは無言でコクリと頷くと、未だに申し訳なさそうな表情をしているディックとフィオナのもとへと歩き出した。


 そして、2人の前で止まると、


 「改めてはじめまして、自分は春風と申します。まだハンターになったばかりの新人ですが、よろしくお願いします」


 「レナ・ヒューズです。改めて、よろしくお願いします」


 と、緊張した様子の2人に向かって丁寧な口調でそう自己紹介し、スッと右手を差し出した。


 そしてそれに対して、ディックとフィオナもビシッと背筋を伸ばすと、2人同時に差し出された春風とレナの手をとって、


 「ディック・ハワードです!」


 「妹の、フィオナ・ハワードです!」


 「「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!」」


 と、息ぴったりな感じでそう言った。


 それを見て、


 「はは、ありがとう2人共!」


 と、ヴァレリーが笑顔で春風とレナにお礼を言い、


 「ふふ、よかってですねぇ」


 と、フレデリックも笑顔でそう言った。


 



 

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