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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第211話 フレデリックからの呼び出し


 時を遡ること少し前。


 レナの家から戻った翌日、春風は「白い風見鶏」で朝食を済ませると、迎えに来たレナと共にギルド総本部に向かった。


 そして、総本部の中に入って新たな仕事を探そうとしたその時、


 「あ、レナ! そして春風君!」


 「「ん?」」


 背後で自分達を呼ぶ声がしたので、2人はすぐに後ろを振り向くと、そこにはギルド職員のジュリアがいたので、


 「あ、ジュリアさん。おはようございます」


 と、春風はジュリアに向かってそう挨拶すると、


 「おはよう。で、2人共来て早々だけど、フレデリック総本部長が『至急、総本部長室に来るように』って言ってたよ」


 と、ジュリアは挨拶を返しつつ、2人に向かってそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「わかりました、すぐに行きます」


 と、レナはそう返事したが、


 「えっとぉ、レナ。『総本部長室』って何処?」


 と、春風が小声でレナに向かってそう尋ねたので、


 「あれ? そういえば春風君は知らなかったっけ?」


 と、それを聞いたジュリアが少し大きく目を見開きながら、春風に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、春風は「はい」と頷きながら答えると、


 「それじゃあ私が案内するから、2人共、私について来て」


 と、ジュリアはニコッとしながらそう言ったので、


 「「ありがとうございます」」


 と、春風とレナはそうお礼を言った。


 それから2人は、ジュリアの案内のもと、ギルド総本部内の廊下を歩いていた。今いるのは初めて通る廊下なので、春風は緊張しているのか、時々あちこちに視線を向けていた。


 そんな春風を見て、


 「春風、大丈夫?」


 と、レナが心配そうにそう尋ねると、春風は「ふえ!?」と驚きながらも、


 「だ、大丈夫……だよ、レナ」


 と、ぎこちなさそうな笑みを浮かべてそう答えた。


 それから少しすると、


 「さ、ここが『総本部長室』よ」


 と、かなり立派な扉の前で止まったジュリアがそう言ったので、


 「ありがとうございます」


 と、レナがジュリアに向かってそうお礼を言うと、


 「それじゃあ、私はこれから仕事があるからね」


 と、ジュリアはそう言って2人を残してその場から立ち去った。


 その後、残された2人はというと、


 「じゃあ、私がノックするね」


 と、レナはそう言って、目の前の立派な扉をトントンと叩いた。


 すると、


 「はい」


 と、扉の向こうからフレデリックの声がしたので、


 「レナ・ヒューズです。春風も一緒です」


 と、レナがその声に向かってそう返事すると、


 「どうぞ」


 と、再び扉の向こうからフレデリックの声がした。


 その声を聞いて、


 「失礼します」


 と、レナがそう返事すると、扉のノブを掴んでガチャリと動かし、ゆっくりと扉を開けた。


 総本部長室の中はそれなりに広く、部屋の中央には四角い木製のテーブル、その左右には革製と思わしき黒いソファーが向き合うように2台置かれている。


 そして、奥の大きな窓の前にある立派なデスクの前に、


 「お待ちしてました、レナさん。そして、春風さん」


 ギルド総本部長であるフレデリックが立っていて、春風とレナに向かって笑顔でそう言ってきた。


 そんなフレデリックの言葉に、


 「「失礼します」」


 と、春風とレナがそう返事すると、レナ、春風の順に総本部長室の中に入った。


 ただ、その瞬間、


 「あれ? ヴァレリーさん?」


 部屋の壁を背に寄り添っている形でヴァレリーが立っていたので、その姿を見た春風がそう口を開くと、


 「よう、昨日ぶりだな」


 と、ヴァレリーがそう挨拶してきた。


 その挨拶を聞いて、


 「お、おはようございます」


 と、春風がそう返事すると、


 「さぁお二人共、立ち話もなんですので、どうぞこちらに座ってください」


 と、フレデリックが笑顔で黒いソファーに座るよう促してきたので、


 「失礼します」


 「し、失礼します」


 と、それに従って、レナ、春風の順にその黒いソファーに座ると、フレデリックも反対側の黒いソファーに座り、現在に至る。


 そして今、目の前にいるフレデリックを見て、


 「ね、ねぇレナ。俺達、どうしてここに呼ばれてるの?」


 と、春風が隣に座るレナに小声でそう話しかけると、


 「いやぁ、ここにヴァレリーさんがいるってことを考えると昨日のデッド・マンティスとの戦いの件だと思うよ」


 と、レナは盛大に頬を引き攣らせながらそう返事したので、


 (ま、まぁ、そうなるよな)


 と、春風が心の中で納得していると、


 「オホン」


 と、目の前のフレデリックがそう咳き込んだので、2人はビクッとしながらフレデリックに向き直った。


 そんな様子の2人を見て、フレデリックは「ふふ」と笑うと、


 「お二人共、そんなに緊張することはありませんよ。とって食おうというのではありませんから」


 と、困ったような笑みを浮かべながらそう言ってきたので、2人はそれに「は、はぁ」と返事した。


 その後、フレデリックの言葉を聞いて多少緊張が治ってきたのか、


 「あの、フレデリック総本部長さん。今日は自分達に一体何の御用でしょうか? というか、どうしてヴァレリーさんもここに?」


 と、春風は意を決したかのようにフレデリックに向かってそう尋ねると、フレデリックは再び「ふふ」と笑って、


 「ヴァレリーさんから報告を受けましたが、何でもお二人は昨日、デッド・マンティスを討伐したそうですね? それも、『血塗れの両目』化したものというだけじゃなく、変異までしたやつを」


 と、笑顔の状態でそう尋ねてきたので、それに2人が「は、はい」と緊張しながらそう返事すると、すぐにヴァレリーに視線を向けた。


 それを受けたヴァレリーは、「う……」と呻くと、


 「い、いやぁ、昨日あった出来事を報告したら、『是非2人からも詳しい話を聞きたい』と言ってきてな……」


 と、気まずそうな表情を浮かべながらそう言ったので、その言葉に春風とレナが「は、はぁ」と声をもらすと、


 「さて、春風さんにレナさん」


 と、フレデリックがそう口を開いたので、春風とレナはビクッとしながら再びフレデリックに向き合うと、


 「昨日、お仕事中に何が起きたのか、お二人の口から教えてください」


 と、フレデリックはそう言って、最後に「ふふふ」と笑った。


 その時のフレデリックの表情に何やらただならぬ雰囲気を感じた2人は、


 「「わ、わかりました」」


 と、タラリと汗を流しながらそう返事すると、昨日自分達が遭遇した出来事を、フレデリックに向かって報告し始めた。


 


 


 


 

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