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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第200話 「赤い両目」再びと、「試したいこと」

 本編200話目です。


 突如、春風達の前に現れた、複数の蟷螂の魔物「ポイズン・マンティス」。


 ざっと見ただけでも、その数は10匹くらいで、そんな数のポイズン・マンティス達を前に、


 「うわぁ、これはかなりヤバいかも……」


 と、レナはタラリと汗を流しながらそう呟き、


 (た、確かに、あんな毒々しい色した鎌なんて、絶対くらいたくない!)


 と、春風もポイズン・マンティスの鎌を見て、レナと同じようにタラリと汗を流したが、


 (いや、それ以上に……)


 と、すぐに目の前のポイズン・マンティス達の後ろにいる、更に大きな蟷螂の魔物に視線を向けた。


 初仕事の時に見た、「血濡れの両目」化したバトル・ベアと同じく、全身が不気味な赤いオーラに包まれていて、左右の複眼と鎌もまた、オーラと同じくまるで血のように真っ赤に染まっていたので、


 「取り敢えず……『神眼』」


 と、春風はすぐにその大きな蟷螂の魔物に向かって「神眼」を発動した。


 その結果……。


 デッド・マンティス(状態:血濡れの両目)……「赤刃の死神」の異名を持つポイズン・マンティスの上位種。真っ赤に染まったその刃には、僅かに掠っただけでも即死する猛毒が塗られている。


 そう記された「神眼」の結果を見て、


 「レナ、大変だ。あいつ上位種だって」


 と、春風が盛大に頬を引き攣らせながら、レナに向かってそう言うと、


 「え、マジで? 私、ポイズン・マンティス以上の奴、初めてなんだけど」


 と、レナは再びタラリと汗を流しながらそう返事したので、


 (マジで!? レナも見たことなかったの!?)


 と、春風はショックを受けた後、


 「な、なんか、あいつの鎌、僅かに掠っただけでも即死する猛毒があるって……」


 と、ついでのようにそう付け加えた。


 その言葉を聞いて、


 「うわ、最悪すぎる」


 と、レナはげんなりしながら下を向くと、すぐに顔を上げて、


 「あいつら、後で絶対ぶん殴る」


 と、「怒り」に満ちた表情でそう呟いた。


 その呟きを聞いて、春風は「あいつら」とは先程通り過ぎていった若い男女達のことだろうと考えると、


 「そうだね。その時は俺も一緒に連中をぶん殴るよ」


 と、レナと同じように「怒り」に満ちた表情でそう呟いた。


 その後、


 「でも、どうしようこの状況」


 と、レナが「怒り」から「困惑」に満ちた表情に変えながらそう口を開いたので、


 「そうだね。これ絶対逃げられないよね」


 と、春風も目の前の魔物達を見ながらそう返事し、


 (それだけじゃない。ここはフロントラル近くの森だ。もし、俺達がここか逃げ出そうものなら、こいつら絶対にフロントラルにまで追っかけてきそうなんだけど!)


 と、心の中でそう考えた後、


 「……やっぱり、こいつらはここで倒さなくちゃ」


 と、ボソリとそう呟き、それに賛成するかのように、レナも「そうだよね」と返事した。


 その返事の後、


 「でも……ちょっとこの数は苦戦しそうなんだけど」


 と、レナがそう呟いたので、春風は「うーん」と唸りながら考えると、


 「レナ、ちょっと()()()()()()があるんだけど、いいかな?」


 と、目の前のポイズン・マンティス達を見つめたままレナに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「え? いいけど、何するつもりなの?」


 と、レナがそう尋ね返すと、春風はレナよりも一歩前に出ながら、


 「上手くいけば、少し数を減らせるかもしれないんだ」


 と、答えたので、その答えにレナは「マジで!?」と大きく目を見開くと、


 「わかった、お願い」


 と、キリッとした表情でそう言ったので、その言葉に春風は、


 「ありがとう」


 と、お礼を言うと、目の前のポイズン・マンティス達を睨みながらスッと自身の両腕を上げた。


 そして、ゆっくりと深呼吸しながら両目を閉じた次の瞬間、春風の右手が赤、左手が青く光り出した。


 それを見て、


 「え、何!?」


 と、レナは驚いたが、そんなレナを無視して、春風は青く光った左手を地面に置き、それに重ねるように、赤く光った右手を青く光った左手の上に置いた。


 その後、


 「貫け、『氷槍』!」


 と、春風がそう叫んだ次の瞬間、地面に置いた左手から青い光が10個に分かれて、それぞれ地面を伝ってポイズン・マンティスのもとへと向かった。


 そして、青い光がそれぞれポイズン・マンティス達の前で止まると、そこからもの凄い勢いで槍のように鋭く尖った氷の塊が現れて、ポイズン・マンティス達の体を貫いた。


 「え!? 何今の!?」


 『ギギッ!』


 目の前で起きた突然の出来事に、レナだけでなくポイズン・マンティス達とデッド・マンティスが驚きの声をあげたが、その直後、数体のポイズン・マンティス達が、ドサドサと音を立てながらその場に倒れ出した。


 それを見て、僅かに生き残ったポイズン・マンティスがその場から逃げ出そうとしたが、


 「逃がすかよ……」


 と、それを見た春風がボソリとそう呟くと、


 「『氷槍』!」


 と、再びそう叫んで、その直後、新たに現れた鋭く尖った氷の塊が地面からもの凄い勢いで現れて、それが生き残ったポイズン・マンティス達の体を貫いた。


 そして、先に倒されたポイズン・マンティス達と同じようにドサドサと地面に倒れると、


 「あ、しまった!」


 と、春風が何かに気付いたようにハッとなったので、


 「ど、どうしたの春風!?」


 と、レナがギョッとしながらそう尋ねると、


 「ごめん、レナ。全部倒しちゃった」


 と、春風は申し訳なさそうな表情でレナに向かってそう謝罪した。


 その謝罪を聞いて、レナは「え?」と首を傾げた後、すぐに「あ!」となって、


 「いいよいいよ! こんな状況だし、全然気にしてないから!」


 と、大慌てで春風に向かってそう言ったので、それに春風が「ありがとう」と返事すると、


 「ギギィイイイイイッ!」


 と、残された「血濡れの両目」化したデッド・マンティスがそう叫び出したので、それを聞いた春風とレナはギョッとなってデッド・マンティスに視線を向けた後、


 「春風、色々と聞きたいことがあるけど、今はあいつをやっつけることに専念しよう」


 と、レナは春風に向かってそう言い、


 「そうだね。一緒にあいつを倒そう」


 と、春風もコクリと頷きながらそう返事した。

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