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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第197話 レナ、「ターゲット」に遭遇する

 本日2本目の投稿です。


 その後、春風は倒したブルー・スライムの「核」を回収した。なんでもこの「核」には少量の魔力が込められていて、主に魔導具の材料として使われているそうだ。


 今回、春風の仕事であるブルー・スライムの討伐は5匹だけなので、最初に倒した5匹のブルー・スライムの「核」はギルド総本部に提出し、後に倒した5匹のブルー・スライムの「核」はというと、少し考えた末、3つは店に売り、残った2つは自分で使うことに決めた。


 (スキルで魔導具作れるからね)


 そして、合計10個のブルー・スライムの「核」を無限倉庫にしまった後、春風はもう1つの仕事である薬草の採取を始めた。その最中、薬草を餌とするジャベリン・ラビットに遭遇したが、レナと共に問題なく倒すことが出来た。


 そんな時だ。


 「あ、そうだ春風」


 と、レナがハッと何かに気付いたかのようにそう口を開いたので、それに春風が「ん?」と反応すると、


 「アーデさんとの戦いの時、夜羽で『風の剣』を作ってたよね。でも、最初にシーフ・ファルコンと戦った時と見た目が違うんだけど?」


 と、レナは首を傾げながら、「どういうこと?」と言わんばかりの表情でそう尋ねた。


 その質問に対して、春風は「あー」と声をもらすと、


 「シーフ・ファルコンの時は、ただ()()()()()()()()で、別に『剣』みたいに形作る必要はなかったんだけど、アーデさんの時はなんていうか、『あの人に応えなきゃ』って想いもあったから、()()()()()()()()でいかないと失礼だなってね……」


 と、ボリボリと頭を掻きながらそう答えたので、それにレナは「そうなんだ」と納得の表情を浮かべた。


 ただ、


 (ま、それもあるけど……)


 と、春風は心の中でそう呟きながら、チラッとケースに納めた夜羽に視線を向けると、


 (『夜羽がそう言ってた』って、言えるわけないもんなぁ)


 と、再び心の中でそう呟いて、最後に「はぁ」と溜め息を吐いた。


 それから春風が順調に薬草を集めていると、


 「待って!」


 と、急にレナが「待った」をかけてきたので、


 「ど、どうしたのレナ?」


 と、春風は恐る恐るそう尋ねた。


 その質問に対して、レナは自身の人差し指を立ててそれを口元に近づけて「しー」と静かにするよう促してきたので、春風はすぐにそれに従って静かにしていると、遠くから何かが近づいてくる音が聞こえた。


 そして、だんだん近づいてくる音が大きくなったので、春風とレナは恐る恐るその音がした方へと向くと、そこには()()()()()()()が1匹、こちらに向かってもの凄い勢いで突進してくるのが見えたので、


 「「うげ!」」


 と、2人はそう悲鳴じみた叫びをあげると、すぐにその場から飛び退いた。


 その瞬間、猪のようなものはもの凄い勢いで2人の前を通り過ぎると、その先にある木に激突した。


 すると、木はメキメキと音を立てながら前の方へと折れるように倒れていき、最後はドーンと大きな音を立てて地面に倒れた。


 一方、猪のようなものは木に激突したにも関わらず特に怪我もしてないみたいで、そのままゆっくりと春風とレナがいる方へと全身を向けた後、「フン!」と鼻を鳴らした。


 さて、遅くなってしまったが、何故、猪ではなく「猪のようなもの」と語ったかというと、その猪のようなものは春風とレナの倍くらい大きな体をしていて、口から鋭そうな大きな牙が伸びている以外は、まるで「装甲」を纏っているかのように全身が岩のようなもので覆われていた。


 そんな猪のようなものを見て、


 「ねぇ、レナ。まさかとは思うけど、もしかして()()()が?」


 と、春風がレナに向かって再び恐る恐るそう尋ねると、


 「うん。こいつが私のターゲット、『アーマー・ボア』だよ」


 と、レナはコクリと頷きながらそう答えた。


 目の前にいる猪のようなもの……否、アーマー・ボアは、「フン!」と大きく鼻を鳴らしながら、春風とレナを睨みつけている。よく見ると、片方の後ろ足で地面を蹴っていたので、今にも再び突進してきそうな状態なのがわかり、春風はゴクリと唾を飲んだ。


 その後、


 「レナ、()()はいる?」


 と、目の前のアーマー・ボアに視線を向けたまま、春風がレナに向かって小声でそう尋ねると、


 「ううん、大丈夫。()1()()で十分だよ」


 と、レナは落ち着いた口調でそう答えた。


 その後、レナは春風より1歩前に出ると、腰のポーチから自身の武器である棒を取り出して、それを両手でグッと握り締めると、目の前のアーマー・ボアに向かって構えた。


 それを見て、アーマー・ボアは何かを感じたのか、更に「フン! フン!」と鼻を鳴らしながら、片方の後ろ足で何度も地面を蹴り始めた。


 そんなアーマー・ボアの様子に、


 「ほ、本当に大丈夫なの?」


 と、春風はまたレナに向かって恐る恐るそう尋ねると、


 「はは、大丈夫だって。春風はさっき1人でブルー・スライムと戦ったでしょ? だったら、次は私の番なんだから」


 と、レナは笑いながらそう答えたので、それを聞いた春風は少し考えた後、


 「わかった、気をつけてね」


 と、落ち着いた口調でそう言って、レナから数歩ほど離れた。


 それを見て、アーマー・ボアは「あ!」と何かに気付いたかのようにハッとなり、「怒り」を表そうと目を吊り上がらせたが、


 「おい、()()()()


 と、レナが恐ろしく低い声でそう言ってきたので、その言葉を聞いたアーマー・ボアはすぐにレナに視線を向けると、


 「お前の相手は、私だよ」


 と、レナは低い声のまま、アーマー・ボアを睨みながらそう言った。


 その言葉を聞いて、アーマー・ボアはピキッとなったのか……。


 ーーじゃあお前から相手してやるよ!


 と、言わんばかりに、レナをギロリと睨みつけた。


 そしてその頃には、春風は少し離れた位置にある木の傍にいて、睨み合うレナとアーマー・ボアを見て、


 「レナ、頑張って!」


 と、そう言ってレナを応援し、その応援を受けたレナは、


 「任せて!」


 と、グッと親指を立てながら、春風に向かってそう返事した。


 

 


 


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