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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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202/260

第196話 再び都市の外へ

 お待たせしました、1日遅れの投稿です。


 そして、今回はいつもより長めの話になります。


 翌日、春風はレナと共にフロントラルの外に出ていた。


 目的は勿論ハンターとしての仕事で、今日、春風が受けたのは、初仕事の時と同じ「薬草の採取」に加えて、この時期大量発生する魔物「ブルー・スライム」の討伐。一方レナが受けたのは、森を荒らしまわる大きな猪の魔物「アーマー・ボア」と、猛毒の刃を持つ蟷螂の魔物「ポイズン・マンティス」の討伐だ。


 どれも森に生息している魔物で、水属性の魔力を操るブルー・スライムは主に水辺を棲家としているが、アーマー・ボアとポイズン・マンティスに至っては常に森の中を移動しているので、普通なら見つけるのは困難なのだが、春風とレナには「精霊」という心強い味方がいる為、今回は2人だけで仕事をすることになったのだ。


 ただ、

 

 「ふぅ」


 仕事を引き受ける前から、春風は既に疲れた表情をしていた。


 何故なら、今朝までは普通によく眠れて、普通にギルド総本部に行き、昨日のナンシーから引き受けた仕事の報告をしてその報酬を受け取ったのだが、


 (な、何だろう。何か変な目で見られてる気がする)


 と、春風がタラリと汗を流しながら心の中でそう呟いたように、ギルド総本部に入ってから、春風は何やら周囲から妙な視線を受けていたのだ。チラッとよく見ると、


 (うん。あちこちに昨日のお客さんがいるんですけど)


 周りの人達の中に、昨日春風が「スカーレット」として働いていたナンシーの店に来ていたお客さんが混じっていて、皆、春風を見て頬を赤くし、酷いものなら「じゅるり」と涎を垂らす者もいたので、


 (ま、まさか、俺が『スカーレット』だってバレたのか?)


 と、春風は顔を真っ青にした。


 更に、


 「私も、春風様のドレス姿を見たかったです」


 と、春風の左腕につけた銀の籠手、その内部にセットされたマジスマから、グラシアの不貞腐れた声が聞こえたので、


 「ぐ、グラシアさん! しー! しー!」


 と、春風は周りに見られないように隅っこによって、マジスマ内のグラシアに向かって小声で注意した。


 それだけでも気が滅入るのに、


 「ねぇ。昨日のあれは、何?」


 と、運悪く(?)アーデに見つかり、昨日の仕事について詰め寄られてしまったので、


 「え、いやぁ、そのぉ……」


 と、春風は困った表情を浮かべたのだが、


 「こらこら。気持ちはわかりますが、彼を困らせてはいけませんよ」


 と、背後から現れたタイラーに首根っこを掴まれて、


 「は、離してくださいいいいい!」


 と、アーデは悲鳴をあげながら、ズルズルとタイラーに引き摺られていったので、


 (ありがとうございますタイラーさん)


 と、春風は心の中でタイラーに向かってお礼を言うと、今度何かお礼しようと誓った。勿論、レギオン加入以外で。


 まぁとにかく、そんなちょっとしたイベントはあったが、春風はどうにか気を取り直すと、改めて先程語った仕事を引き受けて、レナと共にフロントラルの外へと出た。


 そして現在、疲れたような表情を浮かべた春風に向かって、


 「だ、大丈夫? 春風」


 と、レナが心配そうにそう尋ねると、


 「ん? あー、もう大丈夫、落ち着いてきたから。いつまでも暗い顔なんかしてられないしね」


 と、春風はニコッとしながらそう答えた。


 今、春風とレナはフロントラルから近い位置にある森の中を歩いていた。今回は2人だけの仕事なので、遠くの方は避けようと決めていたからだ。


 勿論、この森にも「精霊」達がいて、今は春風のターゲットであるブルー・スライムのもとへと案内してもらっている。


 そして、暫く歩いていると、小さな川と滝が見える場所に出たので、早速2人がブルー・スライムを探していると、


 「あ、見つけたよ!」


 と、レナがとある方向を指差しながら、小声でそう言ってきた。


 それを聞いて、春風が「どれどれ」とその指差した方向を見ると、滝の近くに青い半透明な丸い物体が幾つかいたので、


 「あ、本当だ」


 と、春風も小声でそう呟くと、見つからないようにそっと茂みに隠れて、ゆっくりとその丸い物体に近づいた。


 その後、その丸い物体から少し離れた位置に着くと、春風とレナはその丸い物体……ブルー・スライムをジッと観察した。


 この世界に存在している「スライム」という魔物は、内部にある「核」と呼ばれる赤い宝石を中心に丸みのある半透明の体をしていて、魔力の用いた攻撃を得意としている。


 そして、今回春風のターゲットであるブルー・スライムは、先程語ったように水属性の魔力を使った攻撃を得意としている。


 しかし、「火に強い」という訳でもなく、ブルー・スライム以外にも何種類もいる「スライム」という魔物は総じて炎属性の攻撃に弱く、強い火力で熱せられると、「核」を残して体は溶けてしまうそうだ。


 まぁそれはさておき、今、春風達の目の前にはブルー・スライムが5匹いて、まだこちらに気付いてないのがわかると、


 「春風、いける?」

 

 と、レナが小声でそう尋ねてきたので、


 「うん、大丈夫」


 と、春風がコクリと頷きながらそう言うと、腰のケースに入ってる夜羽を抜いて、ゆっくりと茂みから出てブルー・スライム達に近付いた。


 そして、それを察知したのか、5匹のブルー・スライム達が春風の方へと振り向くと、春風は夜羽の先をブルー・スライムの1匹に向けて、


 「『ファイアボール』!」


 と、自身が持つ炎属性の魔術「ファイアボール」を唱えた。


 次の瞬間、手にした夜羽が赤く光り、その先からサッカーボールと同じくらいの大きさをした火の玉が現れて、もの凄い速さでブルー・スライムへと飛んだ。


 それを見て、4匹のブルー・スライムはそれぞれその場から飛び退いたが、ターゲットにされた1匹だけは避けることが出来ずに、飛んできた火の玉をもろに受けた。


 その瞬間、火の玉を受けたブルー・スライムの体は溶けて、その場には「核」である赤い宝石だけが残された。


 生き残った4匹のブルー・スライム達はそれに驚いたが、春風はそれに構わず、


 「『ファイアボール』!」


 と、2匹目のブルー・に向けて再び「ファイアボール」を放った。


 勿論、2匹目のブルー・スライムもそれを受けて、1匹目と同じように「核」を残して体を溶かされた。


 それを見て、残りの3匹は流石に怒ったのか、皆、春風をギロリと睨んだ。ただ、何処に目があるのかわからない為、「睨んだ」という表現は正しくはないかもしれないが。


 しかし、そんな状況の中でも春風は戦闘体勢を解くことはなく、襲ってきた3匹のブルー・スライムに対して、

 

 「『ファイアボール』! 『ファイアボール』! 『ファイアボール』!」


 と、連続して「ファイアボール」を放った。


 結果、全てのブルー・スライムは体を溶かされて、「核」だけが残されることになったので、それを見たレナは


 「おお、すっごーい……!」


 と、拍手しながらそう言ったが、春風はそれでも戦闘体勢を解くことはなかった。


 そして次の瞬間、バシャアッという音と共に、春風の真横の川から、5匹の新たなブルー・スライムが現れて、春風に向かって水の攻撃を放った。


 それを見て、


 「危ない!」


 と、レナは叫んだが、春風は落ち着いた表情でそれら全てを避けると、


 「いくよ、夜羽」


 と呟いた。


 次の瞬間、夜羽が再び赤く輝くと、ボゥッと音を立てて燃え出した。


 勢いよく真っ直ぐ燃えるそれは、まさに「火柱」と呼ぶに相応しいもので、春風はその状態の夜羽を両手でグッと握り締めると、ダッと5匹のブルー・スライムへと駆け出した。


 それを見て、5匹のブルー・スライム達も体を青く光らせながら、春風に襲いかかった。


 そして、


 「はっ!」


 と、春風は小さくそう叫ぶと、「火柱」を出した夜羽を、まるで剣のように振り、それを1匹、また1匹とブルー・スライム達にぶつけた。


 その瞬間、先程倒した5匹のブルー・スライム達と同じように、新たな5匹のブルー・スライム達は皆、「核」だけを残して倒れていった。


 そして、全てのブルー・スライムが倒されると、春風は火柱を出す夜羽を構えながら、ジィッと周囲を見回した。


 その後、


 「うん、何もないな」


 と呟くと、夜羽から出てきた火柱を消して、静かに夜羽を腰のケースに納めながら、


 「レナ、終わったよ」


 と、レナの方を見ずにそう言い、それを聞いたレナは、


 「うん。お疲れ様、春風」


 と、春風に向かって笑顔でそう言った。

謝罪)


 大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたらその日のうちに終わらせることが出来ずに、結果、1日遅れの投稿となってしまいました。


 本当にすみません。

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