第192話 トラブル発生!
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、今回はいつもより長めの話になります。
それは春風達が昼休憩に入ってる最中のことだった。
「ふー、スッキリした」
と、ナンシーの店で働く若い女性従業員がトイレから出ると、ギィッと店の扉が開く音がしたので、
(ん? お客さんかな……)
と、女性従業員が扉の方へと振り向くと、
「うぇーい、来てやったぜぇ……」
と、扉の向こうから、ガラの悪そうな数人の男性達が入ってきた。
よく見ると、明らかに酔っ払ってるのがわかるくらいに彼らの顔は赤く、その表情も緩んでいて、おまけに今にも倒れそうなくらいフラフラになっていたので、
「す、すみません! 今は休憩中ですので、時間を置いて……」
と、女性従業員はそう言って男性達を店から出そうとしたが、その言葉が気に食わなかったのか、
「なんだぁ? 客を追い出す気かぁ?」
『追い出す気かぁ?』
と、彼らはそう言って女性従業員に近付き、彼女を取り囲もうとしたので、
「ちょ、ちょっと、困ります!」
と、女性従業員がそう悲鳴をあげると、店内にある休憩室の扉がバンッと開かれて、
「どうした!? 何があったんだい!?」
と、そこから店長であるナンシーが現れて、現在に至る。
そして今、
(う! こいつら、酔っ払ってるのかよ!?)
と、ガラの悪そうな男性達と、彼らから発せられた嫌な臭いに、春風は思わず顔を顰めた。
いや、春風だけではない。隣に立つレナやレベッカ、更にはナンシーと他の女性従業員も、彼らの明らかに酔っ払ってる雰囲気に、皆、嫌そうな顔をしていた。
そんな状況の中、
「あ、店長!」
と、ナンシーの姿を見た女性従業員が、今にも泣き出しそうな顔でナンシーのもとへと向かおうとしたが、
「おおっと、逃がさねぇよ」
と、ガラの悪そうな男性達の1人に腕を掴まれてしまい、
「ひぃ!」
と、女性従業員は短く悲鳴をあげた。
それを見て、
「ちょっとあんた! うちの子に何してんだい!?」
と、ナンシーが腕を掴んでいる男性に向かってそう怒鳴り、
「その子を離しなさい!」
別の女性従業員が助けに入ろうと前に出たが、
「うるせぇ!」
と、他のガラの悪そうな男性達の1人に阻まれただけでなく思いっきり突き飛ばされてしまい、
「ぎゃ!」
なんと、彼女は背後の柱に後頭部をぶつけてしまい、そのままズルズルと崩れ落ちてしまった。
それを見た瞬間、
「おい」
という低い声がしたので、それを聞いたナンシーや女性従業員達、そしてガラの悪そうな男達が一斉にその声がした方へと向くと、
「お前ら……何をしてる?」
そこには、ゴゴゴと尋常じゃないプレッシャーを放つレベッカがいて、
(あ。これ、あいつら終わったかも……)
と、その様子を見たレナはタラリと汗を流しながら、心の中でそう呟いた。
そんなレナを他所に、レベッカが1歩、また1歩とガラの悪い男性達の前に出て、
「その子を離しな」
と、彼らをギロリと睨みながらそう言った。
その言葉を聞いて、
「お、おい、この女……」
「ま、間違いねぇ、『大熊殺し』のレベッカだ!」
「は、白金級の!」
と、ガラの悪い男性達が震えながらそう言ったが、
「び、ビビることはねぇ!」
「そ、そうさ、もうこいつは引退してるんだ!」
「つ、強さなら俺らの方が上だし、数だってこっちが有利なんだ!」
と、別の男性達からそんな声が上がったので、最初にビビっていた男性達も、その言葉に勇気付けられたのか、皆、キッとレベッカを睨みつけた。
その視線を受けて、
「ほう。なら、かかってくるかい?」
と、レベッカは不敵な笑みを浮かべながらそう言うと、まるで……否、完全に挑発するかのように手をクイックイッと動かした。
睨み合うレベッカとガラの悪い男性達。
そんな彼女達の様子を見て、流石に「まずい!」と感じたのか、
「あ、あんた達、ちょっと待ちな……!」
と、ナンシーが止めに入ろうとした、まさにその時、
「あー。ちょっとよろしいですか?」
『っ!』
なんと、いつの間にかレベッカとガラ悪そうな男性達の間に立っていた春風がそう口を開いたので、
「え!? 春風、いつからそこに!?」
と、驚いたレナもそう口を開いた。
そんな状況の中、春風は女性従業員の腕を掴むガラの悪そうな男性達の1人に近付いて、
「すみません」
と、申し訳なさそうな笑みを浮かべながらそう言うと、
「ふ!」
と、彼の左足を思いっきり踏んづけた。
「うぎゃあ!」
突然のことに男性が悲鳴をあげると、踏まれた足を触ろうとして女性従業員の手を離した。
その後、春風は「よっと!」と解放された女性従業員を抱き止めると、
「ナンシーさん達のところへ」
と、彼女をナンシーのもとへと送り出した。
そして、春風は左足を踏んづけた男性の傍に立つと、
「ふん!」
なんと、今度は彼の右足を思いっきり踏んづけた。
「うぎゃあああ!」
両足を踏んづけられて、男性が痛そうに悲鳴をあげながらその場に崩れ落ちると、
「うるさいですよ」
と、春風はそう言って自信の右足を振り上げると、それを男性の後頭部目掛けて力いっぱい振り下ろした。
そう、踵落としである。
ーーガッ!
「がはぁ!」
後頭部に強烈な一撃を入れられて、男性がそう悲鳴をあげると、そのまま意識を失ってしまった。
それを見て、
「て、てめぇ!」
「何しやがる!」
と、男性の仲間2人が怒って春風に掴みかかろうとしたが、他の仲間の1人が、
「ん? おい、ちょっと待て、そいつは……!」
と、春風を見て何かに気付いたかのようにそう叫んだ。
しかし、その叫びが届くことはなく、
「ふん!」
と、春風は男性2人を最初と同じように両足を踏んで体勢を崩した後、その後頭部目掛けて踵落としを繰り出した。
結果、男性2人も最初の男性と同じようにそのまま意識を失い、その瞬間、店内がシーンと静かになった。
誰もがポカンと何も言えないでいる状況の中、
「まだやりますか?」
と、ガラの悪そうな男性達に向かってそう尋ねる春風。
そんな春風の質問に対して、
「お、お前、昨日、『黄金の両手』のアーデと戦っていた奴だな?」
と、先程男性2人を止めようとした別の男性がそう尋ね返して来たので、
「あー、あれ見てた人でしたかぁ……」
と、春風は「ヤッベぇ」と言わんばかりに苦笑いすると、
「……おっと失礼」
と、そう呟いて「コホン」と咳き込んだ。
その後、春風はガラの悪そうな男性達に向き直ると、
「お客様」
と、丁寧な口調でそう口を開いたので、それを聞いたガラの悪そうな男性達が「は、はい!」と皆ビクッとしながらそう返事すると、
「只今当店はお昼休みの最中ですので、大変申し訳ありませんが、お時間を置いてまた来てください」
と、春風は丁寧な口調のまま謝罪しながらそう言ったので、それを聞いたガラの悪そうな男性達は皆、タラリと汗を流しながら、
『あ、はい。わかりました』
と、返事すると、気を失った仲間3を抱えてその場を去ろうとした。
ところが、
「あ、ちょっと待ってください!」
と、春風に呼び止められたので、それを聞いた男性達が「はい!?」とビビりながら返事すると、
「重ねて申し訳ありませんが、彼女達への謝罪をお願いします」
と、春風はチラッと先程まで腕を掴まれてた若い女性従業員と、彼女を助けようとして突き飛ばされたもう1人の女性従業員を見ながらそうお願いしてきた。
因みに、もう1人の方はというと、まだ痛そう頭を押さえながらもなんとか立っていた。
それはさておき、そんな2人の女性従業員達を見て、ガラの悪そうな男性達が「あ……」と声をもらすと、
『す、すみませんでした』
と、皆、女性従業員達に向かって深々と頭を下げながらそう謝罪し、その後、気まずそうにゾロゾロと店を出ていった。
さて、ガラの悪そうな男性達を見送った後、
「はー、怖かったぁ」
と、春風が「終わった終わったぁ」と言わんばかりの表情でそう口を開くと、
「ちょいとあんた!」
と、ナンシーが春風の両肩をガシッと掴んできたので、
「ふえ!? ど、どうしたんですかナンシーさん!?」
と、驚いた春風がそう尋ねると、
「頼む! このまま、『夜』の方も店を手伝ってくれ!」
と、ナンシーはギュッと春風の両肩を掴む力を強くしながらそう答えた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたらその日のうちに終わらせることが出来ずに、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




