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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第191話 春風、「店」を手伝う・2


 そんな訳で、春風とレナは現在、商業区の「歓楽通り」にあるナンシーの店を手伝っている。


 以前にも語ったが、ナンシーの店はちょっとした居酒屋兼食事処をしていて、そこでは数名の従業員が働いている。因みに、全員女性だ。


 そして、そこでの2人の仕事は、主に接客と厨房仕事の手伝いだ。


 そんな2人の仕事着はというと、春風の場合は普段着ている青いシャツに黒いズボン、レナの場合は真っ赤な衣服で、2人共その上にシンプルな茶色いエプロンをつけている。


 因みに、その姿の春風は、レナ、ナンシー、そして他の従業員曰く、


 『何だろう。エプロン姿がすっごいよく似合ってる』


 とのことで、その言葉を聞いた春風は、


 「あはは。あ、ありがとうございます」


 と、笑ってはいるが少し複雑そうな表情になった。


 まぁとにかく、準備が出来たところで、2人の仕事が始まった。


 最初は春風が厨房仕事の手伝い、レナが接客を担当していたが、ある時大勢の客が入ってきて、今出てるレナと従業員だけでは足りなくなったので、偶々厨房を出ていた春風が接客を手伝うことになったのだが、


 「いらっしゃませ」


 「こちらへどうぞ」


 「ご注文は以上でしょうか?」


 と、とても丁寧な仕事ぶりを発揮していたので、


 「よし、このままこっちを担当してもらおう!」


 と、ナンシーがそう提案し、以後春風が接客をすることになった。


 さて、そんなこんなで仕事をしていくうちに昼休憩になったので、春風とレナも休憩に入ろうとすると、


 「おーい、邪魔するよぉ」


 「あ、レベッカさん……」


 と、店内にレベッカが入ってきたのが見えたので、春風がそう挨拶しようとしたが、


 「……って、す、すみませんでした!」


 と、ハッとなってそう謝罪した後、「コホン」と咳き込んで、


 「いらっしゃませ」


 と、改めてレベッカに向かってそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「おやおや、今日はここで仕事をしてるのかい?」


 と、レベッカが春風に向かって目を大きくしながらそう尋ねると、


 「はい、()()さんからの依頼を受けまして。ああ、レナも一緒です」


 と、春風はナンシーを「店長さん」と呼びつつも、ここで働いている理由を説明したので、その説明を聞いたレベッカが「へぇ、そうかい……」と納得の表情を浮かべると、


 「お、レベッカ、来てたのか?」


 と、店内に現れたナンシーがレベッカに向かってそう尋ねてきたので、


 「ああ、そろそろ休憩かなと思ってな。夫が飯を用意してくれたよ」


 と、レベッカは持っていた布包を見せながらそう答えた。


 それを見たナンシーが、


 「お、いつもありがとうね」


 と、レベッカに向かってお礼を言うと、


 「みんな、一緒に食べるぞ」


 と、春風とレナ、そして従業員達に向かってそう言い、それを聞いた春風達は、


 『はい!』


 と、皆、元気よくそう返事した。


 そして現在、春風達は店内にある従業員専用の休憩室で、レベッカが持ってきたご飯や、店側で用意された賄い飯を食べている。


 その中には、レベッカの姿もあって、


 「ついでだから一緒にどう?」


 と、ナンシーにそう誘われたので、それを聞いたレベッカは「それじゃあ……」と一緒に食べることになった。


 そんな状況の中、


 「え、レベッカさんって元・ハンターだったんですか!?」


 と、レベッカの「過去話」を聞いた春風が、大きく目を見開きながらそう尋ねてきたので、


 「ああ、それも最高ランクの『白金級』さ。で、その当時は『バトル・ベア』の上位種で、体がデカくて戦闘力も戦い『ウォーズ・ベア』をぶっ殺しまくってたことから、『大熊殺し(ベア・スレイヤー)』なんて異名を持ってたのさ」


 と、ナンシーがその時のことについてそう説明し、


 「はは、もう随分昔のことさ。結婚をきっかけに引退して、今はこうして宿屋の女将をやってるって訳」


 と、レベッカも恥ずかしそうに顔を赤くしつつも、何処か誇らしげな表情を浮かべながらそう言った。


 2人の説明を聞いて、


 (ど、どうりで何処か只者じゃない雰囲気してるなって思った)


 と、春風が納得の表情を浮かべながら心の中でそう呟いていると、


 「それにしてもレベッカ、随分と()()()を泊めてくれたね」


 と、ナンシーがチラッと春風を見ながらレベッカに向かってそう言ったので、その言葉に春風が「ん?」と反応すると、


 「ん? そりゃどういう意味なんだい?」


 と、レベッカが首を傾げながらそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「この子の仕事ぶりを見たけど、とても丁寧で、お客さん1人1人としっかり向き合ってるっていうのかねぇ。とにかく、見ているこっちも『いいねぇ』って凄く感心してるんだよ」


 と、ナンシーがそう答えると、それに続くように、レナと他の従業員達も皆「うんうん」と頷いた。


 その答えを聞いて、


 「へぇ、あんたがそこまで言うなんてねぇ……」


 と、レベッカが興味津々に春風を見ると、


 「あ、いえ……俺の実家、喫茶店を経営してまして、規模は小さいですが結構色んなお客さんが来るんですよ。で、その人達を相手に接客していたら……」


 と、春風は恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう言ったので、


 「へぇ、それでかい!?」


 と、ナンシーが大きく目を見開き、


 「なるほどねぇ……」


 と、レベッカがそう呟くと、


 「あ! だったら、今度うちの手伝いもお願いしようかねぇ!」


 と、ポンッと相槌を打ちながらそう言ってきたので、それを聞いた春風は「あはは……」と苦笑いを浮かべた後、


 「そ、その時は、正式に依頼をしてください」


 と、レベッカに向かって少々ぎこちない笑みを浮かべながらそう返事し、


 「ああ、そうさせてもらうよ……」


 と、レベッカがコクリと頷きながらそう返事した、まさにその時、


 「ちょ、ちょっと、困ります!」


 と、店の方で何やらそんな声が聞こえたので、


 「ん? どうしたんだ?」


 と、ナンシーがそう呟くと、バッと座っていた椅子から立ち上がって休憩室を出ていき、それに続くように、


 「春風、私達も行こう!」


 「うん!」


 「あたしも行くよ!」


 と、レナ、春風、そしてレベッカも、ナンシーを追って休憩室を出た。


 そして、


 「どうした!? 何があったんだい!?」


 と、ナンシーと共に客席に出ると、


 「あ、店長!」


 そこには、今にも泣きそうな表情を浮かべた若い女性従業員と、彼女を取り囲むように立っている数人のガラの悪そうな男性達がいた。


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