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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第189話 新たな出会い


 春風達が小闘技場を後にしたすぐ、廊下を歩いていると、


 「あ、そういえば」


 と、春風がふと何かを思い出したかのような表情でそう口を開いたので、レナをはじめとした一緒に廊下を歩いている者達が皆、「ん?」と反応すると、


 「エリックさん、あれから傷の具合はどうですか?」


 と、傍を歩いていたエリックに向かってそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 「ああ、もう大丈夫だ。君が魔術をかけてくれたおかげで早く治ったし、その後は飯食ってしっかり寝たから」


 と、エリックが笑顔でそう答えると、それに続くように、


 「ま、ルーシーには滅茶苦茶説教されたがな」


 「あはは、そうねぇ」


 と、イアン、ステラもそう口を開いたので、


 (ああ、なんか想像出来るなぁ……)


 と、春風がそんなことを考えていると、ふと「ん?」となって、


 「ところで、そのルーシーさんの方はあれから体調はどうなったんですか?」


 と、エリック達に向かって再びそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「ああ、ルーシーならあれからだいぶ良くなってきたが、無理させる訳にはいかねぇから、今は留守番してもらってる」


 と、今度はイアンがそう答えたので、


 「そうでしたか」


 と、春風はホッと胸を撫で下ろした。


 そして、廊下を出て様々な受け付けがある部屋に入ると、


 「それでは、私は仕事がありますのでこれで」


 と、フレデリックはそう言って1人春風達と別れてその場を離れ、それに続くように、


 「それじゃあ、私もこれから仕事があるんでな」


 「僕達もですよ。さ、行きましょうアーデさん」


 「……はい」


 と、ヴァレリー、タイラー、アーデも自分達の仕事をする為にその場から離れようとしたが、


 「なぁ、やっぱり私達『紅蓮の猛牛』に来ないか?」


 「『黄金の両手』でもいいですよ?」


 と、ヴァレリーとタイラー、2人して自分達のレギオンに誘ってきたので、


 「遠慮します」


 「絶対に嫌!」


 と、春風もレナも、ピシャリとその誘いを断った。


 その後、


 「「「むぅ、いけず……」」」


 と、頬を膨らませながら同時にそう言ったヴァレリー、タイラー、アーデはションボリとした表情でその場から離れて、


 「じゃあ、俺達もこれで」


 「またね」


 「じゃあな」


 と、最後にエリック、ステラ、イアンの3人も、春風とレナにそう別れを告げると、その場から離れた。勿論その際に、


 「ルーシーが元気になったら、改めてお礼をさせてほしい」


 というセリフも忘れずに、だ。


 そして、残された春風とレナはというと、


 「それじゃあ、私達も仕事しなきゃね」


 と、レナが春風に向かってそう言ってきたので、


 「うん、今日も頑張ろう」


 と、春風もレナに向かってそう返事し、2人で掲示板のもとへと向かうと、新たな仕事を探し始めた。


 その時だ。


 「ちょっと失礼」


 と、春風の背後で女性の声がしたと同時に、自身の肩にポンと手を置かれたので、


 「っ!」


 と、春風は思わずその場から飛び退いてすぐに後ろを振り向き、手を置いた相手を睨みながら、腰の翼丸の柄を握った。


 「ちょ!」


 そこにいたのは、イメージ的に「麗しのマダム」を思わせる、少々派手な衣服に身を包んだ1人の女性だった。


 「お、驚かせたのは悪かった。だから、そんなに警戒しないでほしいな」


 と、警戒を解かない春風に向かって女性がそう言うと、


 「春風、どうしたの!?」


 と、春風から少し離れた位置にいたレナが、大急ぎで春風のもとへと駆け寄ってきて、


 「……って、ナンシーさん?」


 と、春風の目の前にいる女性に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「ん? ああ、レナ」


 と、「ナンシーさん」と呼ばれた女性が、レナに向かってそう言ってきたので、


 「……レナ、知り合い?」


 と、未だ警戒を解かない状態の春風が、目の前の女性を睨みながらそう尋ねると、


 「うん、この人はナンシーさん。ちょっと性格に『問題』があるけど、悪い人じゃないから心配しないで」


 と、レナが「落ち着いて落ち着いて」と春風を宥めながらそう答え、


 「こらこら、『問題がある』とは酷い言い草だな」


 と、「ナンシーさん」と呼ばれた女性は、ムッとレナを睨みながらそう言った。


 その後、レナの言葉で漸く気持ちが落ち着いてきたのか、春風は「ふぅ」とひと息入れて、翼丸の柄から手を離すと、


 「すみませんでした」


 と、「ナンシーさん」と呼ばれた女性に向かって深々と頭を下げながらそう謝罪し、


 「いや、こっちこそ悪かったね。驚かせてしまって申し訳ない」


 と、「ナンシーさん」と呼ばれた女性も、春風に向かってそう謝罪した後、


 「自己紹介をさせておくれ。あたしはナンシー・ローハン。このフロントラルに『店』を構えている者さ」


 と、「ナンシーさん」と呼ばれた女性ーー以下、ナンシーは春風に向かってそう自己紹介し、


 「ああ、これはどうも。自分は春風と申します。一応言っておきますけど、顔はこんなですが、れっきとした『男』です」


 と、春風もナンシーに向かってそう自己紹介した。


 それを聞いて、


 「え、男なのかい?」


 と、ナンシーはそう疑問を口にした後、「ちょっと失礼」と春風に近づいて、ペタペタと顔を触ってきた。


 突然のことに対して、


 「あ、あの、何でしょうか?」


 と、春風は驚きつつも冷静な口調で顔を触ってくるナンシーに向かってそう尋ねると、


 「ふーん……」


 と、ナンシーはそう呟いた後、


 「ふむふむ……」


 と、声をもらして、春風の顔から手を離した。


 そして、春風とレナから1、2歩程離れると、


 「春風って言ったね?」


 と、今度はナンシーの方から春風に向かってそう尋ねてきたので、それに春風が「そうですけど」と再び警戒しつつそう返事すると、


 「あんた、まだ仕事は受けてないかい?」


 と、再びそう尋ねてきたので、春風は思わず隣のレナと顔を見合わせると、すぐにナンシーに視線を戻して、


 「ええ、今何か受けようかなって見てたところですが」


 と、ナンシーの質問にそう答えると、ナンシーは「じゃあ……」と呟いて、


 「あんた、あたしから仕事を受ける気はないかい?」


 と、ニヤッとしながらそう尋ねてきた。


 


 


 

 

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