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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第188話 見せられたのは……・2


 フレデリックらが春風達に見せたもの。


 それは、昨日エリック、ステラ、イアンが遭遇した、「血濡れの両目」化したバトル・ベアの死骸だった。


 死骸は首と胴体に分けられていて、どちらからも腐臭を発していた為、春風をはじめとしたその場にいる者達は皆、手で鼻と口を覆っていた。


 ただ、


 (ほ、本当にこいつ、昨日見たものと同じ奴なのか?)


 と、春風はその死骸が本当に昨日見たバトル・ベアなのか疑っていた為、「ちょっと失礼」と思いながら、そっとその死骸に近づいて、自身の頭につけたゴーグルをかけると、


 (『神眼』、発動)


 と、自身のスキルの1つである「神眼」を発動した。


 実は、昨日の初仕事で「血濡れの両目」化したバトル・ベアを見つけた時、傍にいたアーデに気付かれないようにこっそりと「神眼」を発動していたのだ。従って、もしこの死骸が昨日見たバトル・ベアと同じ奴なら、「神眼」が「同じ奴だ」と教えてくれるという。


 そして、「神眼」で見た結果、


 (間違いない。昨日見た奴だ)


 その死骸は、間違いなく昨日見たバトル・ベアとわかったので、春風はすぐにその場から離れると、


 「これって、誰か別のハンターが倒したのですか?」


 と、フレデリック、ヴァレリー、タイラーに向かってそう尋ねた。


 すると、3人は何やら表情を曇らせたので、それを見た春風が「ん?」と首を傾げていると、


 「……実は春風さんとアーデさんの戦いの後、私はヴァレリーさん達『紅蓮の猛牛』に討伐依頼を出しました」


 と、フレデリックがそう口を開き、


 「ああ。その依頼を受けた後、私は動けるメンバー達に声をかけて討伐部隊を編成して、お前達が教えてくれた森へと向かったんだ」


 と、それに続くようにヴァレリーもそう口を開いたので、


 (ああ、そういえばフレデリックさんそんなこと言ってたなぁ)


 と、春風が今になってその時のことを思い出してると、


 「ところが、いざその森のすぐ近くに着くと、既にこの死骸が出来上がっていたって訳さ」


 と、ヴァレリーはチラッとバトル・ベアの死骸を見ながらそう答えたので、


 「え? それってつまり、ヴァレリーさんやメンバーさん以外の、別の誰かがこいつを討伐したってことですか?」


 と、春風がそう尋ねると、ヴァレリーは「いや……」と首を左右に振って、


 「調べてみたところ、こいつは人間の手によるものじゃなかった。まるで()()()()と戦って敗れたかのような感じだったんだ。その証拠に、こいつは()()()()で放置されていたんだ」


 と、春風に向かってそう答えたので、


 「え、それってどういう……」


 と、春風は「どういう意味ですか?」と再び尋ねようとしたが、ふと視界に入ったバトル・ベアの死骸を見て、


 (……あれ? そういえばこいつ、何で()()()()()()()()()()?)


 と、何かに気付いたかのような表情を浮かべたので、それを見たヴァレリーは、


 「気付いたか? そうだ、元々バトル・ベアからは優れた装備を作れる素材がとれるんだが、こいつからはそれがとられた形跡がない。つまり、こいつは人間ではなく別の存在によって殺されたということになるんだ」


 と、春風に向かってそう説明した。


 すると、


 「ちょっと待ってよ! 確か『血濡れの両目』化した魔物って、普通の魔物より強いんでしょ!? そんな奴を相手に戦える奴っているの!?」


 と、今度はレナがヴァレリーに向かってそう尋ねたので、それにヴァレリーが「それは……」と答えようとすると、


 「可能性の話になりますが、1()()()()いるではありませんか」


 と、ヴァレリーではなくフレデリックがピッと人差し指を立てながらそう口を開いた。


 それを聞いて、レナが「え?」と首を傾げると、


 「封印から目覚めた『邪神』と、その『眷属』ですよ」


 と、フレデリックは真剣な表情でそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「え? 『邪神』とその『眷属』ですか? 一体どうして……?」


 と、それまで黙って話を聞いていたエリックがそう尋ねてきたので、


 「それはわかりません。あくまでも『可能性』の話ですし、何の確証だってないのですから。ですが、『血濡れの両目』化した魔物など、危険すぎて普通の人や魔物は真っ先に逃げ出すでしょうし……」


 と、フレデリックは首を左右に振りながらそう答えた。


 その答えを聞いて、誰もが何も言えないでいる中、


 (確かに、こうして死骸になってるとはいえ、こいつから何やら()()()()()()を感じる。もしこいつが生きてる状態だったら、俺はこんなの相手に戦えるのかなぁ?)


 と、春風はそう疑問に思った後、


 (ま、ここで考えても仕方ないよな)


 と、首を左右に振りながら、心の中でそう呟くと、


 「とにかく、今やるべきことは1つだけだ」


 と、今度は声に出して、


 「フレデリック総本部長さん」


 と、フレデリックに向かってそう声をかけた。


 それを受けて、


 「おや? 何でしょうか春風さん?」


 と、フレデリックがそう返事すると、


 「取り敢えず、皆さんこの場から離れませんか? 凄く臭いですし」


 と、春風は本気で「臭すぎます!」と言わんばかりの表情でそう言ったので、


 「そうですね。後は解体係の職員さんにお任せして、皆さん、ここから離れましょう」


 と、フレデリックは春風だけでなく周りの人達を見回しながらそう言った。


 その言葉を聞いて、


 『あー、はい。そうしましょう』


 と、春風を除いた周囲の人達もそう返事したので、フレデリックを先頭に全員小闘技場から出て行った。


 さて、一方その頃、ハンターギルド総本部内。


 その中にある仕事を依頼する為の受け付けではというと、その受け付けを担当している職員の前に1人の女性が現れて、


 「ちょっといいかい?」


 と、職員に向かってそう声をかけてきたので、


 「はい、何でしょうか?」


 と、職員が丁寧な口調でそう尋ねると、


 「『仕事』を依頼したいんだ。内容は……」


 と、女性はその職員に向かって、依頼したい仕事の内容について説明を始めた。



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