第187話 見せられたのは……
今回は、ちょっとグロテスクかもしれない表現が入ってます。
気分を悪くしたらすみません。
それから間もなくして、春風とレナはハンターギルド総本部に着いたが、
「やぁ、2人ともおはよう」
と、出入り口に立っていたアーデに挨拶されて、
「お、おはようございます」
と、春風はヒクヒクと頬を引き攣らせながらそう挨拶を返し、
「げっ!」
と、レナはアーデを見て本気で嫌そうな表情になったので、
「むぅ。レナ酷い」
と、アーデは頬を膨らませた。
その後、アーデは春風とレナに近づくと、
「ん……」
と言って2人の手を取ったので、
「え、何ですか?」
「ちょ、何?」
と、それに2人が驚いていると、
「来て。総本部とうちのリーダー、それにヴァレリーさんが呼んでる」
と、アーデはそう言って2人の手を引っ張りながら、ハンターギルド総本部の中へと入った。
当然、
「「ちょ、ちょおっとぉ!」」
と叫ぶ2人を無視して、だ。
そんな感じで、3人がハンターギルド総本部に入ると、そのまま廊下を突き進んで、着いた場所は、
「……小闘技場」
そう、春風が昨日ヴァレリーと「手合わせ」し、アーデと1対1で戦った、小闘技場だったので、
(またここかよ)
と、春風は心の中でそう呟くと、「はぁ」と溜め息を吐いた。
「なんか俺、ハンターになってからここに連れ込まれてばかりなんだけど」
と、春風が暗い表情でそう呟き、
「あ、あはは……」
と、レナが苦笑いを浮かべたが、アーデはそんな2人を再び引っ張りながら、中央にある小闘技台に上がると、
「連れてきました」
と、その上に立つ人達に向かってそう言った。
小闘技台の上に立っていたのは、ここハンターギルド総本部長であるフレデリックと、アーデが所属しているレギオン「黄金の両手」のリーダーのタイラー。昨日春風が相手をしたレギオン「紅蓮の猛牛」のリーダーのヴァレリー。そして、見覚えのある2人の若い男性と1人の若い女性だった。
そんな彼らの姿を見た春風は、
「お、おはようございますフレデリック総本部長さん」
と、まずはフレデリックに向かってそう挨拶し、
「それに、タイラーさんにヴァレリーさんもおはようございます」
と、次にタイラーとヴァレリー、そして、
「エリックさん、イアンさん、ステラさんもおはようございます」
と、最後に2人の若い男性と1人の若い女性に向かってそう挨拶した。そう、3人の正体は、昨日春風が初仕事中に助けた3人のハンターである、エリック、ステラ、イアンだったのだ。
まぁそれはさておき、春風に挨拶されて、
「おはようございます、春風さん」
と、フレデリックも春風に向かって挨拶を返し、それに続くように、
「やぁ、おはよう春風君」
「おう、おはよう春風」
と、タイラーとヴァレリー、そして、
「やぁ!」
「よう!」
「おはよう」
と、エリック、イアン、ステラの3人も、春風に向かってそう挨拶を返した。
そんなフレデリック達の挨拶を聞いた後、
(それにしても、どうしてフレデリック総本部長さん達がここに?)
と、春風が心の中でそう疑問に思っていると、
「あのぉ……何で私達、ここに連れ込まれたんですか?」
と、レナが「はい」と手を上げながら、恐る恐るフレデリックに向かってそう尋ねたので、それを聞いたフレデリックは「それはですね……」と真面目な表情になると、
「ちょっと皆さんに、見てほしいものがあるのですよ」
と言って、タイラーとヴァレリーと共にその場から少し離れて、春風とレナ、アーデ、そしてエリック、イアン、ステラに「あるもの」を見せた。
そこには、白い布を被せられた「何か」が置かれていた。
こんもりと小さな山のようになっているところから、何か大きなものであることは間違いないだろうが、
(な、何だこりゃ……?)
と、思った春風がその「何か」に近づくと、
「うっ!」
その瞬間、何やら腐った肉のような匂いがしたので、春風は思わず手で自身の鼻と口を覆った。勿論、レナ、アーデ、エリック、イアン、ステラ、そしてフレデリック、タイラー、アーデも、春風と同じように手で鼻と口を覆っていた。
その後、
「な、何ですかこれ?」
と、春風が鼻と口を覆ったまま、フレデリックに向かってそう尋ねると、
「それはですね……」
と、フレデリックはそう言ってヴァレリーに視線を向けた。
そして、それを受けたヴァレリーは嫌そうな顔をしつつもコクリと頷くと、春風達の目の前で白い布をひっぺがし、その布の下にあったものを見て、
『こ、これは!』
と、春風、レナ、アーデ、エリック、イアン、ステラが同時にそう口を開き、
「皆さん、これに見覚えはありませんか?」
と、フレデリックが布の下にあったものをチラリと見ながらそう尋ねてきた。
布の下にあった「何か」の正体。
それは、首と胴体に分けられた、とある1匹の魔物の死骸だった。
その死骸を見て、
(おいおい、朝っぱらからなんてもん見せんだよ……!)
と、春風は心の中で文句を言ったが、よく見ると、
「……あれ? こいつ、何処かで見た記憶が……」
と、春風がそう呟いたように、その魔物は見覚えがあったものだったので、
「ねぇ、レナ。これ……」
と、春風がレナに尋ねようとすると、
「……ん? どうしたんですかエリックさん、イアンさん、ステラさん?」
と、不意に視界にエリック、イアン、ステラが入ったので、レナではなく3人に尋ねることにした。
ただ、彼らの様子が何処かおかしく、皆、まるで何かに怯えているかのように顔を真っ青にしながら、ブルブルと体を震わせていたので、
(ま、まさか……)
と、春風は何か思い出したかのようにハッとしたが、それを無視するかのように、
(ん? アーデさん?)
と、アーデがその魔物の死骸に近づいたので、
「あの……アーデさん?」
と、春風はアーデに向かってそう声をかけたが、その質問も無視して、アーデは魔物の死骸の、首の方を調べ出した。
その両目は大きく見開かれていて、死んでいるにも関わらず、目の色は左右どちらも、まるで血のように真っ赤に染まっていたので、アーデはその魔物の首を持ち上げると、
「ねぇ。多分だけどこれって……」
と、未だ怯えた様子のエリック、イアン、ステラの3人にそれを見せた。
その首を見て、エリックはビクッとなったが、そのすぐに、
「……ああ、覚えてるよ」
と、エリックはコクリと頷きながらそう言い、それに続くように、
「……間違いねぇよ」
「うん、昨日私達を襲ってきた……」
と、イアンもステラも、体を震わせながらそう答えて、
「「バトル・ベアだ」」
と、最後に春風とレナもそう答えた。
そう、それはまさしく、昨日の初仕事の最中に見た、エリックに傷を負わせたうえにイアンとステラ恐怖を植え付けた、「血濡れの両目」化した、バトル・ベアの死骸だったのだ。
謝罪)
大変申し訳ありません、誠に勝手ながら、前回投稿した話の内容を、一部加筆修正させてもらいました。
それと、前書きにも書きましたように、今回はちょっとグロテスクかもしれない表現が入ってますおります。
気分を悪くしたら、本当に申し訳ありません。




