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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第169話 みんなで「記録」を見る・5


 ヴィンセントが2つめの映像記録用魔導具を起動した瞬間、再び周囲の景色が変わった。


 その瞬間、


 「え? 森?」


 と、水音がそう呟いたように、自分達の目の前に「森」が現れたので、思わずギョッと目を大きく見開いた。


 しかし、よく見ると、


 「あ、雪村がいる!」


 「レナって女の子もいるよ!」


 と、進と祭がそう驚いたように、森の前に春風とレナ、そして、


 「うむ、アデレードもいるな」


 と、ヴィンセントがそう呟いたように、2人の傍にはヴィンセントのもう1人の娘であるアデレードの姿もあった。


 3人の姿を確認した後、


 「あの、ヴィンセント陛下。この映像って確か、春風が初仕事をしたの映像なんですよね?」


 と、水音がヴィンセントに向かってそう尋ねると、


 「ああ、そうだ。因みに、雪村春風の仕事内容は少し前に説明したように薬草採取なんだが、レナ・ヒューズは彼とは別の仕事を受けていた」


 と、ヴィンセントは頷きながらそう答え、そこへ更に、


 「何ですか? 別の仕事って……」


 と、今度は祭がそう尋ねてきたので、


 「アデレードの報告によると、この日レナ・ヒューズは、『ジャベリン・ラビット』という魔物の討伐を請け負っていたそうだ」


 と、ヴィンセントは祭を見つめながらそう答えると、


 「ら、ラビット……って、兎型の魔物ですか?」


 と、祭に続くように祈もそう尋ねてきたので、


 「ああ。名前の通り頭に槍の穂先に似た鋭い角が生えてるのが特徴で、戦闘時にはそれに風を纏わせて突進するのを得意とするんだ。それだけでも厄介だってのに、この魔物、薬草が好物っつう困った奴でな、丁度この時期になると森には薬草が大量に生えてきて、それを狙って現れるという」


 と、ヴィンセントは祈に視線を向けながらそう答えた。


 その答えを聞いて、


 (うわぁ、なんて迷惑な魔物なんだ)


 と、水音が内心ドン引きしていると、


 「で、アデレードなんだが、この日は仕事を受けてなくて、ヴァレリーとの戦いやその後の会話をキッカケに雪村春風に興味を持ったそうでな、その為にもっと彼のことを知りたいと思って仕事に同行したという」


 と、ヴィンセントが続けてそう説明したので、


 (え、それって……)


 と、それを聞いた水音が「ん?」と首を傾げていると、


 「あ、3人が森に入りました」


 と、レオナルドがそう口を開いたので、水音はすぐに気持ちを切り替えると、目の前の森に入った映像の春風達を目で追った。


 それから少しして、


 『うわぁ……』


 と、映像とはいえ森の中を見回していた水音ら勇者達がそう歓声をあげたので、


 「あらぁ、皆さん森を見るのは初めてなのぉ?」


 と、キャロラインがそう尋ねると、


 「あ、はい。実は僕達、ルーセンティア王国に召喚されてから王城の外に出たことがなくて……」


 と、水音は恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう答えた。当然、進達も「あはは」と苦笑いしながら、水音と同じように顔を赤くしていたので、


 「まぁ! そうだったのぉ!? もう、ウィルフちゃんったら……」


 と、キャロラインはそう言うと、最後にプクーッと頬を膨らませた。


 それから暫くすると、映像の春風達がピタッと止まったので、水音達は「何だ?」と3人の視線の先を見つけると、そこには大きな木があって、その木の根本には、()()()()()()()()()()1()()()()がいた。


 その兎を見て、


 「ヴィンセント陛下、もしかして()()が?」


 と、進がその兎(?)を指差しながらそう尋ねると、


 「そうだ、あれが『ジャベリン・ラビット』。そして、奴がモシャモシャと食っているのが、雪村春風が探している薬草だ」


 と、ヴィンセントはその兎(?)……否、ジャベリン・ラビットに視線を向けた状態でそう答えので、


 (むむ! あれがそうなのか!?)


 と、水音は心の中でそう呟きながら、目の前のジャベリン・ラビットを凝視した。


 その後……。


 ーーいくよ!


 と、映像のレナがそう言うと、映像のアデレードと共に目の前のジャベリン・ラビットに飛びかかって、薬草から引き離した。


 そして、薬草から離れた位置で、映像のレナは腰のポーチから長い棒を、アデレードは2振りの小振りの剣を構えた。


 次の瞬間、薬草から引き離されたジャベリン・ラビットの角からキィンと音が鳴ったので、水音達が「な、何!?」と驚いていると、周りの木々から別のジャベリン・ラビットが5匹現れたので、


 「え!? なんか増えたんですけど!?」


 と、耕が驚いていると、


 「ああ、言い忘れてたが、ジャベリン・ラビットはああやって角を鳴らすことによって仲間を呼び寄せることが出来るんだ」


 と、ヴィンセントが落ち着いた様子でそう答えたので、


 『それ先に言ってください!』


 と、水音ら6人の勇者達はヴィンセントに向かってそうツッコミを入れた。


 そんな水音達を他所に、映像のレナとアデレードはジャベリン・ラビットとの戦いを開始していた。


 「うーん、あのレナって子、凄く強いな」


 「そうだね。そして、あのアデレード……様って人も強いよ」


 と、2人の戦いぶりを見て進と耕がそう感心していると、


 「……って、あ! 1匹雪村君のところに!」


 と、祭がそう気付いたように、1匹のジャベリン・ラビットが、春風に向かって突撃してきたので、


 『あ、危ない!』


 と、水音ら勇者達がギョッと目を大きく見開くと……。


 ーーザシュ!


 ーーボトッ!


 何と、映像の春風が腰の剣を鞘から引き抜いて、それで突撃してきた1匹のジャベリン・ラビットの首を斬り落としたのだ。


 また更にその後……。


 ーーん? 何か言った?


 と、剣を持った映像の春風がそう尋ねてきたので、それを聞いた映像のレナとアデレードはというと……。


 ーーお、お見事。


 と、2人同時にそう言った。


 そして、そんな映像の3人を見て、


 『う、うそーーん!』


 と、水音ら勇者達は目を大きく見開きながら、驚きに満ちた叫びをあげた。

 

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