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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第167話 みんなで「記録」を見る・3


 その後も続く映像の春風とヴァレリーの会話。


 映像越しとはいえ、2人の唯ならぬ雰囲気を見て、水音ら勇者達が「あわわわ……」と狼狽えていると……。


 ーー皆さんでしたら、どうしますかぁ!?


 と、急に映像の春風が周囲を見回しながら大声でそう言ったので、


 『え!? 何事ぉ!?』


 と、水音達がギョッと目を大きく見開くと……。


 ーーいや、お見通しでしたか!


 という声がして、その後すぐに新たな人物として1人の男性と眼鏡をかけた若い女性。そして更にその後すぐに……。


 ーー驚いたねぇ、いつから気付いてたんだい?


 とい声と共にもう1人の女性が現れたので、


 「え!? 何か新しい人が増えたんですけど!?」


 と、進が驚きに満ちた声をあげた。


 それからすぐに、ヴィンセントは「ふむ」と声をもらして映像を止めると、


 「みんな、紹介しよう。最初に出てきた眼鏡をかけた女の子が、俺とキャロラインのもう1人の娘、アデレード・ニコラ・ストロザイア。そして、その隣にいる男が、アデレードが所属しているレギオン『黄金の両手』リーダーの、タイラー・ポッターだ」


 と、最初に出てきた男女についてそう紹介し、


 「で、その次に出てきた女の人が、レベッカちゃんことレベッカ・シンプソン。()()()()()()()()だったんだけど、結婚を期に引退して、今は宿屋の女将をやってるの」


 と、キャロラインがその後に出てきた女性についてそう紹介した。


 その紹介を聞いて、水音達が「おぉ」と声をもらすと、


 「あの、『凄腕』って、どれくらい凄いんですか?」


 と、祭が「はい」と手を上げながらそう尋ねてきたので、


 「俺と同じ、最高ランクの『白金級』だ」


 と、ヴィンセントがそう答えた。


 その答えに水音達が再び「おぉ!」と声をもらすと、


 「そんじゃ、続きを見ていこうぜ」


 と、ヴィンセントはそう言って一時停止を解除した。


 その後、映像の春風は映像のフレデリック達に改めて自己紹介した。その際に……。


 ーーすみませんレベッカさん、騙すようなことをしてしまって……。


 と、映像の女性ーーレベッカに向かってそう謝罪していたので、


 「ふむ。どうやら雪村春風は今、彼女の宿屋に泊まっているみてぇだな」


 と、ヴィンセントは真剣な表情でそう呟いた。


 そこから更に、映像の雪村春風は、自身が「勇者」ではないことと、レナと共にルーセンティア王国を飛び出した経緯を説明し……。


 ーー辛くなかったですか? 事情はどうあれ、あなたは同郷の人達を置いてルーセンティア王国を出て行くことになってしまったのですから。


 と、その経緯を聞き終えた映像のフレデリックがそう尋ねてきたので、その質問を聞いた水音達は、


 『うっ!』


 と、皆、一斉に不安に満ちた表情になった。もしも、映像のフレデリックの質問に対して、


 「いえ、辛くないです」


 なんて答えが出てきたらどうしようと思ってしまったからだ。


 しかし……。


 ーー辛いですよ、もの凄く。


 と、映像の春風がそう即答したので、水音達はホッと胸を撫で下ろした。


 その後、映像の春風は映像のヴァレリーに事情を詳しく知りすぎていることに関して質問すると、一昨日の夜に自身のレギオンメンバーから通信が入ったと答えたので、


 「あ、これ私のことだ」


 と、エレクトラが「しまった!」と言わんばかりに手で自身の口を覆いながら言った。


 そんなエレクトラを他所に、映像のヴァレリーはレギオンメンバー……以下、エレクトラから来た通信の内容について、映像の春風に説明を始めた。その中には当然、エレクトラが爽子と戦った時の話も含まれていて……。


 ーー……は? それってつまり……ソイツ、先生に酷いことをしたと?


 と、その話を聞いた春風が恐ろしく低い声でそう尋ねてきたので、


 「ふぐぅ!」


 と、その質問を聞いたエレクトラは、映像の春風の雰囲気に圧倒されたのか、思わず苦しそうに自身の胸を押さえて、それを見た水音は、


 (エレクトラ様、ご愁傷様です)


 と、心の中で合掌した。


 更にその後、映像のヴァレリーはエレクトラと水音の戦いを語り……。


 ーーそっか……水音が……。


 と、映像の春風が不安そうな表情を浮かべたので……。


 ーーその人ともお知り合いでしたか?


 と、映像のフレデリックがそう尋ねると……。


 ーーええ、クラスメイトに1人で……俺にとって『大切な人達』の1人です。


 と、映像の春風がグッと自身の胸を掴みながらそう答えたので、


 「は、春風!」


 と、それを聞いた水音は思わず涙目になりそうになり、


 「はは。よかったな水音」


 と、ヴィンセントは水音を見てニヤリとしながらそう言った。


 また更にその後、今度はエレクトラとの戦いを制した水音が、ヴィンセントらと共にストロザイア帝国へと旅立ったことを話したので、それを聞いた映像の春風は「はぁあ!?」と驚きに満ちた叫びをあげた後……。


 ーーちょ、ちょっと待ってくださいヴァレリーさん! 今のは何の冗談なんですか!?


 と、ヴァレリーに掴み掛かる勢いでそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 (ああ、春風が凄いショックを受けてる)


 と、水音がホッコリしていると、映像のヴァレリーは「冗談ではない」と言って、その戦いの後、勇者達とルーセンティア王国の王族達、そして、ストロザイア帝国の皇帝ヴィンセントととの間で行われた「話し合い」について語り出した。


 そして、映像のヴァレリーはその「話し合い」の最中に、春風が異世界「地球」の神々が送り込んだ固有職保持者で、春風を連れ出したレナが封印から目覚めた「邪神」となんらかの繋がりがあるかもしれないという疑惑と、そんな春風に対抗する強さを身に付けたいと考えていたところに、ヴィンセントから「ストロザイア帝国に来ないか?」と誘いを受けて、それに「行きます」と答えた水音は、数人の仲間と共にストロザイア帝国へと旅立ったことについても語った。


 そして、それらの話を聞き終えると……。


 ーー……じゃあ、それってつまり、俺の所為ってことじゃないですかぁ。


 と、その場に膝から崩れ落ちた映像の春風が、震えた声でそう言ったので、


 (は、春風……)


 と、それを見た水音は複雑な表情を浮かべながら、心の中でそう呟いた。


 


 

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