第16話 「未熟な賢者」の能力(ちから)
今回は、最後に大事なお知らせがあります。
「よし、春風君。このまま他の項目も調べてみよう」
「はい、わかりました」
と、オーディンの言葉にそう返事した後、春風は他の項目について調べることにした。
(うーん、まずはやっぱりこれかな?)
と、そう考えた春風が最初に調べたのは……。
種族「神の分身」……「神」と契約を結んだ者がなる種族。高い戦闘力と耐久性、更には自己回復力を持ち、最終的には契約した『神』の力を扱うことが出来る。
「へぇ、そうなんだ……」
と、自身の「種族」の説明を読んだ春風がそう呟くと、
「……て、え!? てことは俺、オーディン様の力を使えるようになれるんですか!?」
と、大きく目を見開きながらオーディンに向かってそう尋ねた。
その質問に対して、オーディンは「あぁ……」と声をもらすと、
「うーん。なれるにはなれるんだけど、今の君じゃあ無理かなぁ」
と、春風のステータスウィンドウを指差しながらそう言ったので、それに合わせて春風も自分のステータスを見ると、
「あ、そっか。俺、『レベル1』でした」
と、納得の表情を浮かべて、その後はオーディンら地球の神々と「あははははは……!」と笑い合った。
そして、一頻り笑うと、
「よし! 次、調べてみよう!」
と、春風はそう言って別の項目を調べ始めた。
スキル「神眼」……種族「神の分身」の専用スキル。あらゆるものに記された「情報」や「嘘」などを解析することが出来る。
(おーこれはすごい。ていうか、もうこれだけでも十分チートなんじゃ……?)
スキル「無限倉庫」……様々なものを出し入れ出来る。どんなに大きなものでも入れることが可能で、「時間」や「変化」の概念がない。
(え、それってつまり、出来立ての熱々料理を入れたり、生のものをそのままの状態で持ち運べるってこと? また随分とチートな……)
スキル「体術」……鍛え上げた肉体で戦う全ての武術の基礎であるスキル。極めれば精神エネルギー「気」を用いた攻撃や回復を行うことが出来て、更には様々な状態異常に耐性が出来る。
スキル「風魔術」……風の力を扱う魔術。戦闘支援を得意とする。
使用可能魔術
・ウィンドスピア……風の槍を飛ばす。
・ウィンドヒール……優しい風で傷を癒す。
・アクセラレート……敏捷性を強化する。
スキル「炎魔術」……炎の力を扱う魔術。攻撃を得意とする。
使用可能魔術
・ファイアボール……火の玉を飛ばす。
・ファイアウェーブ……炎の波を起こす。
・ヒートアップ……戦闘力を強化する。
スキル「水魔術」……水の力を扱う魔術。回復を得意とする。
使用可能魔術
・ウォーターエッジ……水の刃で切り裂く。
・ヒールレイン……傷を癒す雨を降らせる。
・アンチポイズン……毒を治療する。
スキル「土魔術」……土の力を扱う魔術。防御を得意とする。
使用可能魔術
・アースハンマー……土の塊を落とす。
・アースブロック……土の壁で敵の攻撃を防ぐ。
・プロテクション……耐久性を強化する。
(うーん。『見習い賢者』の俺が使える魔術はこれだけか)
スキル「魔導具作成」……魔力と材料を用いて特殊なアイテム「魔導具」を作ることが出来る。
スキル「秘薬調合」……魔力と材料を用いて様々な効果を秘めた「秘薬」を作ることが出来る。
スキル「料理」……材料を用いて様々な料理を作ることが出来る。極めれば特殊な効果が付与された料理も作れる。
(え、待って。それって食べれば攻撃力とかが上がるものも作れるってこと? そんなのあり?)
スキル「細工」……材料を用いて様々な装飾品や工芸品を作ることが出来る。
(へぇ。アクセサリ以外も作れるんだ)
スキル「隠密」……魔力を用いて姿を隠すことが出来る。ただし、制限時間付き。
スキル「偽装」……魔力を用いて他者の目を騙す「偽り」を作ることが出来る。
スキル「偽証」……嘘の証言で他者を欺く。
「うーん」
と、自身が持つ全ての「所持スキル」を調べ終えた春風が、難しい表情でそう唸ると、
「どうしたんだい春風君?」
と、オーディンがそう尋ねてきたので、
「いえ、『見習い賢者』関係のスキルとは別に手に入れたスキルなんですけど、何で俺こんなのまで手に入れたんだろうって疑問に思ってまして……」
と、春風は「納得出来ん!」と言わんばかりの表情でそう答えた。
すると、
「あー、多分それって……」
と、それまで黙ってたアマテラスがそう口を開いたので、それを聞いた春風とオーディンが「ん?」とアマテラスの方に視線を向けると、
「春風君が今日まで経験してきた出来事とかから、エルードの『現在の理』がそう判断したんじゃないかな?」
と、アマテラスは自信なさそうにそう答えて、最後に「まぁ、多分だけど……」と付け加えた。
その答えを聞いて、春風は「え?」と声をもらした後、
「俺の……経験してきた出来事?」
と、呟きながら、「うーん」と考え込んだ。
すると、
「あ!」
と、春風は何かを思い出したかのようにハッとなったので、
「え、どうしたんだい春風君!? 何か心当たりがあるのかい!?」
と、驚いたオーディンがそう尋ねると、
「……いやぁ……そのぉ……何と言うべきか……」
と、春風は気まずそうにそう答えながら、ダラダラと滝のように汗を流したので、
(あ、これ心当たりがあるな)
と、オーディンをはじめとした地球の神々はそう結論した。
そんな神々を前に、
「さ、さーて、最後にこれですね!」
と、春風は誤魔化すようにそう言うと、文字通り最後の項目を調べ始めた。
称号「異世界人」……文字通り別次元に存在する世界の住人。他の世界の言語が読めたり話せるようになる。
称号「神と契約を結びし者」……「神」と直接契約を結んだ人間。
契約神……オーディン
称号「固有職保持者」……特殊な職能「固有職能」を宿した人間。「悪魔の力を持つ者」と恐れられている。
『……ん?』
と、最後の称号を読み終えて、春風だけでなく神々までもがそう声をもらした。
「ちょっと待って。これ、どういうことでしょうか?」
と、春風はオーディンに向かって恐る恐るそう尋ねたが、オーディンどころかアマテラスやゼウス、そして他の神々も、皆「わ、わからん!」と言わんばかりに首を横に振った。
その様子を見て、春風は「どうなってるんだ?」とその「固有職能」について調べ始めた。
すると、新たなメッセージウィンドウが現れて、そこにはこう記されていた。
固有職能……その人が持つ『強い魂の輝き』が変化した職能。その職能に因んだスキルの他にも様々なスキルを入手することが可能で、スキルの構成次第では戦闘から生産まで幅広く活躍することが出来るが、「神の加護」を持たない為、「悪魔の力」として恐れられている。
その説明文を読み終えると、
「お、オーディン様……」
と、春風は真っ青な顔でそう口を開いたので、
「な、何だい春風君……?」
と、オーディンも顔を真っ青にしながらそう返事すると、
「俺、どうやら『悪魔の力』に目覚めたみたいですけど」
と、春風は更に顔を真っ青にしつつ、今にも泣き出すんじゃないかと思われるくらい震えた声でそう言ったので、
「あ、あはは。そうみたいだねぇ」
と、オーディンも春風と同じように、今にも泣き出すんじゃないかと思われるくらい震えた声でそう返事した。
どうも、ハヤテです。
今日まで大分話が進みましたので、今日から他の小説投稿サイトでも本作品の投稿を始めます。
詳しいサイト名は活動報告で書かせてもらいますが、こちらでも話を書いて投稿するのは変わらないですので、皆様、何卒よろしくお願いします。