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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第162話 水音達、「報告」を受ける


 遡ること少し前。


 それは、帝城内の案内の翌朝のことだった。


 食堂で水音達が朝食をとっていると、


 「おはよう、勇者諸君」


 と、何やら真剣な様子のヴィンセントが現れたので、


 『お、おはようございます』


 と、水音達が緊張した様子でそう返事すると、


 「みんなに()()()()があるんだ。食事が終わり次第、俺の執務室に来てくれ」


 と、ヴィンセントはそう言ってその場から立ち去った。


 そんなヴィンセントの背中を見て、


 「な、何なんだ? 一体……」


 と、進がそう口を開いたので、


 『さ、さあ?』


 と、水音達は首を傾げた。


 朝食を終えると、水音達はすぐにヴィンセントの執務室に向かった。


 執務室の扉近くに着くと、


 「あれ? エレクトラ様?」


 「やぁ」


 扉の前には、ヴィンセントの娘にして第2皇女のエレクトラがいたので、互い「おはよう」挨拶し合うと、エレクトラがトントンと扉をノックした。


 「父様、水音達が来ました」


 と、エレクトラがそう声をかけると、


 「おう、入ってくれ」


 と、扉の向こうでヴィンセントがそう返事したので、エレクトラはすぐに扉を開けて、


 「失礼します」


 と、先に中に入り、その後に続くように、


 『し、失礼します』


 と、水音達も扉を潜って執務室に入った。


 そこには、朝食の時と同じ真剣な表情をしているヴィンセントの他に、妻である皇妃キャロライン、息子にしてエレクトラの兄である皇子レオナルドもいたので、


 (え、えぇ? 何この状況?)


 と、水音は緊張のあまりタラリと汗を流した。当然、それは他の勇者達も同様だった。


 しかし、いつまでも緊張していられないと思い、


 「あの、ヴィンセント陛下。一体どうかしたのですか?」


 と、水音は恐る恐るヴィンセントに向かってそう尋ねた。ただ、緊張が抜けてないのか、少し質問の内容がおかしくなってはいるが。


 しかし、そんな水音の質問に対して、


 「喜べ水音……いや、勇者諸君」


 と、ヴィンセントが真剣な表情を崩さずにそう返事したので、それを聞いた水音達は「な、何だ何だ?」と再び緊張し出して、皆、ゴクリと唾を飲むと、


 「雪村春風が、中立都市フロントラルに現れた」


 と、ヴィンセントは水音達に向かってそう言った。


 その言葉を聞いて、執務室内がシーンと静まり返ると、


 『えぇ!?』


 と、水音ら勇者達は目を大きく見開きながら、驚きに満ちた叫びをあげた。


 その後、


 「そ、それは、本当ですか!?」


 と、耕が大きく目を見開いた状態のままそう尋ねると、ヴィンセントは「ふっ」と笑って、


 「ああ。昨夜、フロントラルで暮らしているアーデ……いや、我が娘アデレードから『報告』があったんだ」


 と、不敵な笑みを浮かべながらそう答えたので、


 「まぁ! アーデちゃんから!?」


 「え、姉様から!?」


 と、今度はキャロラインとエレクトラが驚きの声をあげて、


 「そうでしたか。それで、アデレードは他に何と?」


 と、レオナルドは冷静な態度で、ヴィンセントに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、ヴィンセントは「うむ」と頷くと、


 「アデレードからの『報告』によると、雪村春風はレナ・ヒューズと共に『ハンターギルド総本部』に現れ、そこで『ハンター』の登録をしたそうだ」


 と、レオナルドに向かってそう答えた。


 それを聞いた瞬間、それまで表情を明るくしていた水音達の表情がピシッと強張ったので、


 「あら、みんなどうしたのぉ?」


 と、それを見たキャロラインが水音達に向かってそう尋ねると、


 「……あの、ヴィンセント陛下」


 と、水音がそう口を開いたので、


 「ん? 何だ水音?」


 と、ヴィンセントがそう反応すると、


 「今、『レナ・ヒューズ』と言ったのですか?」


 と、水音は何やら暗い表情でそう尋ね、その質問が出た瞬間、水音だけでなく進達までもが暗い表情になったので、


 「あらあらぁ、みんなどうしたのかしらぁ?」


 と、キャロラインは困った表情になった。


 そんなキャロラインに、


 「あー、気にすんな。水音達はその『レナ・ヒューズ』に対して()()()()()を抱いてるだけだ」


 と、ヴィンセントがそう答えると、水音達は「ええ、まぁ……」と暗い表情のままそう声をもらしたので、その態度にキャロラインは「むむ!」となったが、


 「……そう、そういうことにしておくわぁ」


 と、表情を変えながらそう言った。


 その後、


 「確認したいんですけどぉ、その雪村春風って子は、フロントラルで『ハンター』になったってことでいいんですよね?」


 と、キャロラインにそう尋ねられたので、その質問に対してヴィンセントは「ああ」と返事すると、


 「ただなぁ、それと同時にちょっと()()()()()が起きたんだよなぁ」


 と、水音達以上に暗い表情でそう言って、最後に「はぁ」と溜め息を吐いた。


 そんなヴィンセントを見て、


 「え、あの、ヴィンセント陛下? 『厄介なこと』って、何ですか?」


 と、水音が再び恐る恐るそう声をかけると、


 「……エレクトラ」


 と、ヴィンセントはチラッとエレクトラを見ながらそう口を開いたので、


 「はい、何でしょうか?」


 と、エレクトラは首を傾げながらそう返事した。


 すると、ヴィンセントは再び「はぁ」と溜め息を吐いて、


 「お前、ルーセンティア王国で爽子センセや水音を相手に戦ったことや、その後に謁見の間で盗み聞きした話の内容を、ヴァレリーに報告しただろ?」


 と、エレクトラに向かって鋭い視線を向けながらそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 (ん? 『ヴァレリー』って?)


 と、水音が首を傾げながらそう疑問に思っている中、


 「うぐ! えっとぉ、そのぉ、なんと言いますかぁ、あはは……」


 と、エレクトラは答え難そうな表情になった後、そこから先は何も言えなくなったのか、そっぽを向いて口笛を吹き始めた。


 それを見て、ヴィンセントは三度「はぁあああ」と今度は更に深めに溜め息を吐くと、


 「お前がヴァレリーに報告したのをキッカケに……雪村春風が『異世界人』だというのがバレた」


 と、エレクトラをギロリと睨みながらそう言ったので、それを聞いた水音達は「え?」と一瞬ポカンとなった後、


 『な、何だってぇえええええええっ!?』


 と、再び大きく目を見開きながら、驚きに満ちた叫びをあげた。


 


 

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