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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第6章 動き出した「運命」

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第160話 ヴィンセント、「報告」を受ける

 お待たせしました、本編新章の開幕です。


 異世界エルードに存在する大国の1つである、ストロザイア帝国。


 その主要都市「帝都」のシンボルである「帝城」内にある一室。


 そこは、皇帝ヴィンセントが仕事をする為の執務室で、その日もヴィンセントは「皇帝」の業務として書類仕事をこなしていた。


 机の上には山のように積み上げられた大量の書類があり、ヴィンセントはそれら1枚1枚に目を通しては、持っている羽ペンでその全てにサインをしていった。


 そして、最早何枚目なのかわからない書類にサインし終わると、


 「ふぅ……」


 と、ヴィンセントはサインに使っていた羽ペンを置いてひと息入れて、


 「だぁー! かったりぃ! 椅子に座りっぱなしじゃあ、体固まっちまうよ畜生!」


 と、腕や上半身を動かしたりしながら文句を言った。


 ただ、その日執務室にはヴィンセント1人だけだったので、その文句が誰かに届くことはなかったが。


 暫く上半身を動かした後、ヴィンセントは再び「ふぅ」とひと息入れて、


 「ま、文句言ってもしゃーねーから、続きしちまうか……」


 と、仕事をしようとして羽ペンを手に取ろうとしたまさにその時、机近くの壁際に置かれた大鏡についている青い宝石が光り出したので、


 (お、こんな時間に誰だ?)


 と、それを見たヴィンセントは首を傾げながらそう思った後、すぐに真面目な表情になってその大鏡に近づき、青い宝石に触れた。


 次の瞬間、大鏡が眩い光を放ち、その光が弱まると、そこにはヴィンセントの代わりに若い女性が映っていたので、


 「おう、アーデ。こんな夜遅くにどうしたんだ?」


 と、ヴィンセントは若い女性に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「こんばんは、父様。実はご報告したいことがあります」


 と、「アーデ」と呼ばれた若い女性ーー以下、アーデが、ヴィンセントを「父様」と呼びながら真剣な表情でそう答えると、


 (むむ! もしや……!)


 と、ヴィンセントは気持ちを昂らせたが、


 (は! いかんいかん! 落ち着くんだ俺!)


 と、すぐにクビをブンブンと左右に振ってそれを落ち着かせると、


 「むむ、どうした? いつになく真剣だな」


 と、アーデに向かって少しふざけた感じで身構えながら尋ねた。


 そんなヴィンセントに向かって、アーデは真剣な表情のまま答える。


 「雪村春風が、フロントラルに現れました」


 その答えを聞いて、


 (お、落ち着け! 落ち着くんだ俺ぇ!)


 と、ヴィンセントは表情に出さないようにどうにか自身の気持ちを抑えながら、


 「……それは、マジな話なのか?」


 と、アーデと同じ真剣な表情でそう尋ねると、


 「はい、父様の言う通り、『可愛い女の子のような顔付きをした黒髪の少年』でした。そして、その傍にはレナ・ヒューズの姿もありましたので、間違いありません」


 と、アーデは真剣な表情を崩さずにそう答えたので、


 「……そうか」


 と、ヴィンセントがそう返事すると、


 「アーデ……いや、我が娘、アデレード・ニコラ・ストロザイアよ。この父、ヴィンセント・リアム・ストロザイアに、詳しい話を聞かせてほしい」


 と、「皇帝」らしい威厳に満ちた態度で、アーデ……否、アデレードに向かってそう言った。


 それからアデレードは、ヴィンセントに向かって今日自身が遭遇した出来事について話し……否、報告した。


 そして、報告を全て聞き終えたヴィンセントが「ふーむ」と考え込むと、


 「それで、お前のことだ、()()はちゃんと撮ってあるんだろ?」


 と、アデレードに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「はい、ちゃんと用意してますので、今からそちらとウィルフレッド陛下の方に()()します」


 と、アデレードはコクリと頷きながらそう答えた。


 次の瞬間、大鏡の横のクローゼットがピカッと光り出したので、ヴィンセントが無言でそのクローゼットを開くと、そこには弱々しい光を放つ、シンプルな装飾が施された、手の平サイズの小さな木箱が3つ置かれていた。


 ヴィンセントは何の躊躇いもなくその木箱を手に取ると、


 「確かに受け取ったぞアデレード。ご苦労だった」


 と、それをアデレードに見せながら言った。


 その言葉を聞いて、アデレードは「ありがとうございます」と言うと、


 「では、明日も仕事がありますので、おやすみなさい」


 と、ペコリと頭を下げながらそう付け加えたので、


 「おう、おやすみ。ゆっくり休めよな」


 と、ヴィンセントは先ほどの威厳に満ちた態度から、「父親」らしい態度かつ笑顔でそう返事した。


 そして、アデレードが「では」と言うと、大鏡が光って、アデレードの代わりにヴィンセントが映し出されるようになった。


 その後、ヴィンセントは手にした3つの木箱に視線を向けると、


 「……ふ、ふは、ふははははははは!」


 と、声に出して笑い出し、


 「いよっしゃあああああああ! 来たぜ来たぜ来たぜぇえええええ!」


 と、その3つの木箱を上にかざしながら叫んだ。


 それから暫くの間、ヴィンセントが木箱を手に狂喜乱舞していると、


 「おっと、こうしちゃいられねぇ!」


 と、何かに気付いたかのようにハッとなって、再び大鏡の青い宝石に触れた。


 次の瞬間、再び大鏡が光り出すと、


 「よう、ウィルフ!」


 と、今度はもう1つの大国であるルーセンティア王国国王のウィルフレッドの姿が映し出された。


 ヴィンセントに声かけられて、


 「ヴィンスか……」


 と、ウィルフレッドがそう答えると、


 「これ、来たか?」


 と、ヴィンセントはウィルフレッドに木箱を見せながらそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「……ふ」


 と、ウィルフレッドが不敵な笑みを浮かべると、


 「ああ。先ほど、アデレード殿から送られて来たよ」


 と、その手に持っている、ヴィンセントのものと同じ3つの木箱を見せながらそう答えたので、


 「くっくっく。そうかそうか」


 と、ヴィンセントもチラッと自身の木箱を見ながら、ウィルフレッドと同じく不敵な笑みを浮かべた。

 


 


 どうも、ハヤテです。


 最後の投稿から1日休ませてもらいましたが、前書きにも書きましたように、今日から本編新章の開始となります。


 レナと再会し、無事に「ハンター」となった春風。次に彼を待ち受ける出来事は一体何か?


 彼と、彼の周囲の人達の今後の行動に、ご期待ください。


 それと、遅くなって申し訳ありませんが、誠に勝手ながら第159話の話の内容を、少し加筆修正させてもらいました。




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