表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第5章 誕生、ユニークな「ハンター」?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/262

第158話 帰り道

 今回は、いつもより短めの話になります。

 

 中立都市フロントラル。


 時刻は既に夜を回っている為、空はすっかり暗くなったが、都市の内部はというと、夜であるのにも関わらず、幾つもの街灯と建物の明かりで照らされていた。


 そして、それらによって明るくなっていた都市内の道を、多くの人達が行き来しているので、最早、内部の様子は昼間と同じくらい賑わっていた。


 そんな状況の中、多くの人達で賑わう商店通りを、


 「はぁ。もう本当に疲れた……」


 少年・雪村春風は、もの凄く疲れ切った表情で溜め息を吐きながら進んでいた。


 そんな状態の春風を見て、


 「ほら、もうすぐ白い風見鶏だから、頑張って」


 と、隣にいるレナがそう話しかけると、


 「え? ああ、うん。ごめん」


 と、春風はまるで今になって声に気付いたかのようにハッとなってそう返事した。


 遡ること少し前。


 あれからどうにか()()を解くことに成功した春風達は、ルーシーに今日仕事中に起きた出来事を話した。


 当然、その中にはエリックが「血塗れの両目」と化したバトル・ベアにやられて重症を負わされたことも含まれていたので、そのことにルーシーは「そんな……」とショックで顔を真っ青にした後、


 「もう! ホントに、本当に心配したんだからぁ!」


 と、エリック達に向かってそう怒鳴った。その際、エリックの胴体をポカポカと叩いていたので、


 (あ、そこ怪我した部分!)


 と、春風はギョッと目を見開いたが、レナとアーデに止められてしまった。


 そして、全ての話を聞き終えると、


 「ほんっとうに、申し訳ありませんでした! そして、仲間を助けてくださって、ありがとうございました!」


 と、ルーシーに全力で謝罪とお礼を言われて、春風、レナ、アーデはオロオロしつつも、「気にしないでください」と言った。


 その後、


 「今日は本当にありがとう。後日改めてお礼をさせてほしい」


 と、エリックからそう言われて、春風はそれに「いいですよ」と返事すると、エリック、ステラ、イアンは、今にもダウンしそうになってるルーシーを連れて総本部を出ていった。


 そして、彼らを見送った後、


 「えっと、それじゃあ俺達も帰ろっか」


 「そうだね」


 と、春風とレナもそう言い合うと、フレデリック、オードリー、そしてアーデに


 「それでは、自分達もこれで失礼します」


 「失礼します」


 と、別れを告げて、一緒に総本部を後にした。その際に、


 「春風さん、また()()もよろしくお願いしますね」


 と、フレデリックにそう言われたので、春風はそれに「う……」と一瞬不安そうな表情になったが、


 「はい。では、また……」


 と、少々弱々しいが、笑顔でフレデリックに向かってそう返事した。


 そして現在、明るく照らされた商店通りで、


 「ああ、本当に今日は色々あったなぁ」


 と、春風がそう呟くと、


 「あはは、そうだね春風」


 と、それを聞いたレナは苦笑いしながらそう返事した。


 すると、


 「『明日もよろしく』、か」


 と、春風が暗い表情でそう言ったので、それにレナが「どうしたの?」と尋ねると、


 「俺、明日もっていうか、これからもちゃんとハンターの仕事、出来るのかな?」


 と、春風は不安そうな表情で尋ね返すようにそう答えた。


 その言葉に対して、レナは「それは……」と声をもらすと、春風の腕にギュッとしがみついて、


 「……大丈夫だよ。春風には私とグラシアさんがいるし、それに……」


 「それに?」


 「春風、エリックさん達のこと、色々な意味で助けてくれたじゃない。それが出来れば、きっとハンターを続けられるよ」


 と、レナは笑顔を浮かべながら、小声でそう言ってきたので、その言葉に対して春風も「あ……」と声をもらすと、ニコッと笑って、


 「ありがとう。今の言葉で、少し自信がついたよ」


 と、レナに向かってそう言った。


 それから2人は仲良く商店通りを歩き、その途中で昨日立ち寄った魔物の素材を買い取ってくれる店に寄って、今日の仕事の最中に倒した魔物達の素材をお金に変えた。


 その後、2人が店を出て暫く歩いていると、やがて白い風見鶏へと続く道に出た。


 そこは、昨日と同じように様々な宿屋や食堂が開かれていて、多くの人達がそこに入っていくのが見えた。


 そして、目的地である白い風見鶏に着くと、そこも明かりがついていて、よく見ると出入り口前に誰かが立っているのが見えたので、それに気付いた春風が、


 (ん? 誰だろう?)


 と、疑問に思っていると、


 「あ、レベッカさん」


 と、春風がそう呟いたように、その正体は女将であるレベッカだとわかった。


 そして、それと同時に、出入り口前に立つレベッカが「あ」と2人に気付くと、


 「おかえり、2人とも!」


 と、元気よくそう挨拶してきた。


 それを聞いた次の瞬間、


 (あ……)


 ーーおかえり、春風。


 と、春風の脳裏に、()()の家族である1人の男性の姿が浮かび上がったので、春風は一瞬泣きそうになったが、すぐにハッとなって首をブンブンと左右に振った後、


 「ただいま戻りました」


 と、笑顔でレベッカに向かってそう言い、その言葉を聞いて、レナは「ふふ」と笑った。


 そんな2人を前に、


 「アンタ達、お腹空いてるだろ? 食堂、まだ開いてるからね!」


 と、レベッカは元気よくそう言うと、中へと入っていった。


 そんな彼女の背中を見て、


 「行こ、春風!」


 と、レナが春風の手を握りながらそう言うと、


 「うん、行こう!」


 と、春風も笑顔でそう返事すると、レベッカを追いかけるように中へと入った。


 


 

 次回で今章最終話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ