第148話 合流後のひと時
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
それから春風は、アーデにエリックを手当てした後のことについて説明した。
エリックを木の根本に座らせた後、
(出来ればすぐにここを離れたいけど、アーデさんと何処で待ち合わせするか話し合ってなかったし……)
と、春風はそう考えた後、
(それに、エリックさん達……特にお仲間さん達の表情がよくない。まぁ、あんな怖い思いをしたうえに、目の前で仲間を傷つけられたんだ)
と、エリックの傍にいるステラとイアンを見てそう思った春風は、
(よし、それなら、まず俺がやるべきことは……!)
と、「うん」と頷きながらとある結論に至ると、早速行動に移した。
そして現在、
「……なるほど、それでティータイムという訳ね?」
と、合流したアーデがそう尋ねてきたので、
「はい。危険なことをしてるのはわかってますが、まずはエリックさん達に精神的な余裕を持たせることが先決だと考えました」
と、春風は真剣な表情でそう答えた。
因みに、アーデの手には春風が淹れたであろうお茶が入ってるティーカップがあった。春風曰く、中身は気持ちを落ち着かせる為のハーブティーだそうだ。
ハーブティーを一口飲んだ後、
「……うん、状況はわかった。待っててくれてありがとう」
と、アーデは春風に向かってそうお礼を言うと、
「皆さん、もう大丈夫ですか?」
と、エリック、ステラ、イアンの3人に向かってそう尋ねた。
その質問に対して、
「ああ、彼のおかげでこうして動けるようになれた。そして、こうしてひと息吐くことが出来たおかげで、思い出したことがある」
と、エリックがアーデに向かってコクリと頷きながらそう答えると、
「君は、確か今日ハンターになったばかりの子だよね? 受け付けでの騒ぎを見てたよ」
と、春風を見てそう尋ねた。
その質問に、春風だけでなくレナまで「むむ!」と反応すると、
「あー、あれ見てましたか。お恥ずかしいところをお見せしてしまいました」
と、春風は恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう言うと、最後に「あはは」と苦笑いし、その後、ちょっと話題を変えようとレナの方を見て、
「と、ところでレナ、エリックさん達とは顔見知りだったの?」
と、尋ねた。
それにレナが「む……」と反応すると、
「……うん。何度か一緒に仕事したこと、あるんだ」
と、少し顔を赤くしながらそう答え、
「ところで、後1人はどうしたんですか? いつも4人で行動してましたよね?」
と、すぐにエリック達に向かってそう尋ねた。
その質問に対して、
「ああ、ルーシーなら今日は風邪でダウンしてるんだ。俺達は彼女を元気付けようと思って、その為に必要な資金を集めようと今回の仕事を引き受けたんだけど……」
と、今度はイアンがそう答え、その答えを聞いて、
「なるほど、その最中にあの「血濡れの両目」化したバトル・ベアに遭遇したんですね?」
と、アーデが納得の表情を浮かべながらそう尋ねてきたので、
「は、はい。本当は今日、都市内部の仕事を受けたかったんですけど、運悪く取れなかったから、仕方なく採取系の仕事を受けることにしたんです」
と、イアンの代わりにステラが表情を暗くしながらそう答えた。
そしてその後、
「ああ。元々、ルーシーは心配性な正確だから、都市の外に出る仕事は必ず4人でやると決めていたんだが、病気で弱っていたルーシーを喜ばせたかった一心で、俺達は今日の仕事に挑んだんだ。採取系の仕事だから、魔物に会わないようにすればいいと思っていたのに……」
と、ステラに続くようにエリックも暗い表情でそう言い、
「油断していた。最初は森の出入り口付近でやる予定だったんだが、奥に進めば進むほど、採れる量がどんどん増えていって、気付けばこのザマだ。これも、仲間に嘘をついた罰なんだろうな」
と、最後に手で顔を覆いながらそう付け加えた。その声色も僅かに震えていたので、かなり参ってるのだろうと感じた春風は、エリックと同じように表情を暗くした後、「いかんいかん」と首を横に振って、
「ところでエリックさん、手当てをする際に傷口が光ってたのが見えたんですが……?」
と、尋ねた。
その質問に対して、エリックは「え?」と反応すると、
「あ、ああ。奴から攻撃を仕掛けてきた時、咄嗟に防御系と回復系のスキルを使ったんだ。いざとなったら、俺が囮になってステラとイアンを逃す予定だったんだが、結果はご覧の通りさ。本当に駄目かと思ったよ」
と、エリックはマントをめくってバトル・ベアに攻撃を受けた部分を見せながらそう答え、
「だから、本当にありがとう。アーデが奴を引き付けて、君が回復魔術をかけてくれたおかげで、俺はこうして助かり、仲間を失わずに済んだから……」
と、最後にチラッとステラとイワンを見ながら、穏やかに笑いながらそうお礼を言った。
その言葉を聞いて、春風が恥ずかしそうに顔を赤くした、まさにその時、
「ちょっと待って」
と、アーデがそう口を開いたので、
「ん? どうしたんですか?」
と、春風がそう尋ねると、アーデはそれに答えず、
「エリックさん。今、何と言いました?」
と、エリックに向かってそう尋ねたので、
「え? だから、『仲間を失わずに済んだから』……」
と、エリックは首を傾げながらそう答えたが、
「違います、その前!」
と、アーデが強めな口調でそう言ってきたので、それにエリックは「え? え?」と戸惑った後、
「えっと、『君が回復魔術を……』、と」
と、春風を見ながらそう答えた。
その答えを聞いて、
(……あれ? 何か、嫌な予感が……)
と、春風がタラリと汗を流すと、アーデは春風に視線を向けながら、
「……春風」
と、声をかけてきたので、それに春風が「は、はい……」と返事すると、
「あなた、魔術使えるの?」
と、アーデは何処か低い声でそう尋ねてきた。
その質問を聞いて、レナは「うげ!」と声をもらし、
「……ええ、まぁ」
と、春風はダラダラと滝のように汗を流しながらそう答えると、
「聞いてないんだけど」
と、アーデが顔を近づきながらそう言ってきたので、
「……言ってませんからね」
と、春風はゆっくりとアーデに顔を背けながら言った。
それから数秒ほど、その場が重苦しい空気に包まれると、
「フロントラルに帰ったら、じっくり聞かせて」
と、アーデが春風に顔を近づけた状態でそう口を開き、
「あ、あの……それって……」
と、春風がそう返事しようとすると、それに被せるように、
「拒否権はないから」
と、アーデにそう言われてしまったので、
「……こ、答えられる範囲で、よろしければ」
と、春風はどうにか言葉を絞り出した。
その言葉を聞いて、アーデは無言でジーッと春風を見つめた後、
「うん、じゃあ決まり」
と、ニコッとしながらそう言ったので、それを聞いた春風は、
「は、はは……」
と、今にも魂が口から出そうな感じの様子でそう苦笑いし、
「「「あわわわわ……」」」
と、エリック、ステラ、イアンの3人はオロオロしながら春風とアーデを交互に見て、
「あ〜あ……」
と、レナは顔を青くしながら右手で顔を覆った。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたらその日のうちに終わらせることが出来ませんでした。
本当にすみません。




