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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第5章 誕生、ユニークな「ハンター」?

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第146話 春風の「応急手当て」


 「よ、よし、俺達も行こう!」


 「う、うん!」


 そう言って、春風とレナは目の前ーーといっても2人から離れた位置ーーで倒れている人物とその人物を前に動けずにいる2人の男女のもとへと駆け出した。


 そしてその男女の近くで、


 「すみません、大丈夫ですか!?」


 と、春風がそう声をかけると、


 「「……え?」」


 と、男女が呆けた様子でそう返事したので、


 (よかった、あっちの2人は大丈夫そうだな。なら……)


 と、春風はそう考えると、


 「レナ、2人の方をお願い。俺は倒れてる人を見るから」


 と、隣で走ってるレナに向かってそう言い、


 「うん、わかった!」


 と、レナはその言葉にコクリと頷きながら返事すると、レナは呆けてる男女の方へと向かい、春風は倒れてる人物へと向かった。

 

 倒れているのは男性で、格好からして戦士系の職能保持者、そしてその周りには盾の残骸らしき破片が幾つも散らばってたので、恐らくは「盾役(タンク)」だろうなと春風はそう考えていたが、男性から流れてる大量の血を見て、すぐに「いかんいかん!」と首を横に振ると、


 「大丈夫ですか!? しっかりしてください!」


 と、男性に向かってそう声をかけた。


 最初は「手遅れか?」と思っていた春風だったが、次の瞬間、


 「……う、うぅ」


 と、倒れた男性がそう呻き声をあげたので、


 「まだ息がある!」


 と、春風は少しだけ表情を明るくした。


 それを聞いて、


 「「「ほ、本当に!?」」」


 と、レナだけでなく2人の男女も表情を明るくすると、


 「すみません、手当てをしたいので、ちょっと手伝ってください!」


 と、春風がそう言ってきたので、


 「わ、わかった!」


 と、もう1人の男性がそう返事をした。


 その後、


 「傷口を見ますので、ひっくり返すのを手伝ってください」


 と、春風がもう1人の男性にそうお願いすると、


 「あ、ああ、わかった」


 と、もう1人の男性がコクリ頷きながら返事したので、


 「それでは、ゆっくりとお願いします」


 と、春風がもう1人の男性に向かってそう言った後、


 「せーの!」


 と掛け声をあげながら、もう1人の男性と一緒に倒れてた男性をひっくり返した。勿論、倒れてた男性がダメージを受けないように、ゆっくりとだ。


 そして、倒れてた男性を仰向けにすると、


 (う……!)


 と、春風は思わず顔を顰めた。


 倒れてた男性の状態はあまりにも酷く、身に纏っていた鎧と衣服は無惨に引き裂かれていて、そこから露出した地肌に刻まれていた4本の大きな傷からは血がドクドクと出ていたのだが、


 (ん? 何だこれ?)


 よく見ると、その傷口が何やら青白く光っていたので、春風は「何だろう?」とその光を更によく見ると、少しずつではあるが傷が塞がっているのが見えた。


 その光を見て、


 (この光、もしかしてこの人のスキルか何かか?)


 と、春風はそう疑問に思ったが、


 「ううぅ……」


 (だ、駄目だ。治りが遅すぎる)


 それでも酷い怪我なのには変わりなく、倒れた男性も更に苦しそうに呻いていたので、このままでは傷口が塞がる前に倒れてた男性が更に危険な状態になってしまうと考えた春風は、すぐに自信の左手を倒れてた男性の傷口に翳した。


 それを見て、


 「ま、待って、はる……!」


 と、レナはハッとなったが、それを遮るかのように、


 「『ウィンドヒール』!」


 と、春風は自身のスキル「風魔術」の「ウインドヒール」を唱えた。


 次の瞬間、春風の左腕につけた銀の籠手が緑色に輝き、その光が掌からまるで優しく吹く風のように放たれて、倒れた男性の傷口を覆った。


 すると、緑色の光は傷口を少しずつ治してた青白い光と合わさって、倒れてた男性の傷をスーッと治し始めた。


 その様子を春風達が見守る中、やがて傷口は完全に塞がり、血が出ることはなくなったので、それを見た春風は、


 「よし」


 小さくガッツポーズをとると、


 「う、ああ……」


 と、先程まで苦しそうに呻いていた倒れてた男性の表情が和らいでいき、その後すぐに、


 「あ……あれ?」


 と、倒れてた男性がゆっくりと目を開けながらそう口を開いたので、


 「大丈夫ですか? 俺の声が聞こえますか?」


 と、春風は倒れてた男性に向かって真剣な表情でそう尋ねた。


 その質問に対して、男性はゆっくりと瞬きした後、


 「……あ、ああ。聞こえる」


 と、答えたので、それを聞いたレナ、女性、そしてもう1人の男性がパァッと表情を明るくした。


 そんなレナ達を前に、春風もホッと胸を撫で下ろしたが、その後すぐにまた真剣な表情に戻って、


 「すみませんが、ご自分の名前はちゃんと言えますか? ああ、因みに俺は春風と申します」


 と、自己紹介しながら倒れてた男性の名前を尋ねた。


 その質問に対して、男性は再びゆっくりと瞬きすると、


 「……え、エリックです」


 と、倒れてた男性がそう名乗ったので、


 「え、エリック!」


 「エリック!」


 と、それを聞いた女性ともう1人の男性が再びパァッと表情を明るくしながら、倒れてた男性……否、エリックの名前を呼んだ。


 その声にエリックはビクッとなったが、すぐにゆっくりと女性ともう1人の男性に視線を向けると、


 「あ……ステラに、イアン」


 と、女性を「ステラ」、もう1人の男性を「イアン」と呼び、


 「そこにいるのは……レナか?」


 と、最後にレナの名前を呼んだので、


 「ええ、そうですよ」


 と、名前を呼ばれたレナはそう返事した。


 その返事を聞いた後、


 「お……俺は、助かったのか?」


 と、エリックは虚空を見つめながら尋ねるようにそう口を開くと、


 「はい、傷口は塞がりました。もう大丈夫です」


 と、春風がそれに答えたので、エリックは「そ、そうか……」と呟きながら、ゆっくりと春風に視線を向けると、


 「……お、()()()()()が助けてくれたのか?」


 と、春風に向かってそう尋ねてきたので、その質問に春風は「あぁ?」とピキッとなったが、すぐに首ブンブンと横に振ると、


 「『お嬢ちゃん』じゃないです。()()()()()()ですが、俺は男です」


 と、エリックを刺激しないように冷静な態度と口調でそう訂正した後、


 「あと改めて……俺は春風。()()()()()()()()()()()()()()()です」


 と、エリックに向かって改めてそう自己紹介した。


 


 


 


 


 

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