第145話 あるハンター達の「悲劇」
本日2本目の投稿です。
ーー迂闊だった。
そう思った時には、既に何もかもが遅かった。
その日、若い男性2人と若い女性1人の3人のハンター達が、とある「目的」の為にフロントラルから離れたところのある森を訪れていた。
彼らは元々4人で活動していたのだが、その内の1人である女性が風邪をひいて倒れてしまった為、残された3人は彼女を元気付けようと思い、その為の資金を得ようと3人で仕事をすることにした。
しかし、運が悪いことにこの日の都市内の仕事は全て他のハンター達に取られていたので、仕方なく3人は都市外の仕事、それも、討伐系の仕事ではなく採取系の仕事を受けることにした。採取系の仕事なら、魔物に遭遇しないように注意すればいいと、この時の彼らはそう考えていたからだ。
それが、「悲劇」の始まりになることも知らずに。
そして、
「ご、ごめんね、私が動けなくて。本当に大丈夫なの?」
と、病気で動けなくなったことを謝罪しながらそう尋ねてきた女性に対して、
「心配ない。都市の中でやるタイプの仕事だ」
「そうそう。だから、私達のことは気にしないで、ゆっくり休んでね」
と、彼らは彼女にそう嘘をつくと、必要最低限の装備と道具を持ってフロントラルの外に出た。
その後、そこから少し離れたところにある大きな森の中で、3人は魔物に遭遇しないように注意して進みながら、目的のものを採っていった。
それから暫くして、
「よし、大分手に入ったな」
「うん、これだけあれば十分よね?」
「それじゃあ、今のうちにここを出て……」
と、目的のものが手に入ったので、3人は森を出てフロントラルに戻ろうとした、まさにその時、
「「「……え?」」」
彼らは出会ってしまった。
「ば、バトル・ベア!?」
「し、しかも、『血濡れの両目』化してる!?」
そう、不気味な赤いオーラを纏い、まるで血のように真っ赤に染まった両目を持つ魔物ーー「血濡れの両目」とかしたバトル・ベアに、だ。
3人のレベルや実力はそれなりにある方なのだが、今、目の前にいるのは、自分達よりも上の存在であるバトル・ベアという魔物。
それだけでも十分脅威なのに、更に危険な存在である「血濡れの両目」と化していたので、それが3人に大きな「恐怖」を植え付けいた。
(な、何でここに『血濡れの両目』がいるんだよ!?)
(う、嘘でしょ? まさか、こんなことになるなんて!)
(ど、どうすればいいんだ!?)
元々、魔物との戦闘を意識してなかった3人は、先程語ったように必要最低限の装備と道具しか持ってきてなかったので、
(と、とにかく早くここから……!)
と、今、自分達の目の前にいるバトル・ベアに対してどうにかして逃げなきゃと考えてはいたが、
「グルル」
「「「ひっ!」」」
「血濡れの両目」化したバトル・ベアを前に、全員が恐怖でガタガタと震えるだけで、その場から動けずにいた。
そして、
「グルゥ……」
と、バトル・ベアが唸りながら、怯える3人を見てスッと右腕を上げた。
ギラリと光る鋭い爪が伸びたその赤いオーラを纏った右腕が、3人に向かって振り下ろさようとしたので、
「あ、危ない!」
と、仲間の1人である鎧を纏った男性が前に出て、持っていた頑丈そうな盾でその爪を防ごうと構えたのだが……。
ーーザシュ!
無常にも、盾諸共振り下ろされた鋭い爪の餌食となってしまい、
「ギャアアアアア!」
と、彼は悲鳴をあげながらその場に崩れ落ちた。
その瞬間、
「イヤァアアアアア!」
と、同じく仲間の1人であるローブ姿の女性も、倒れた男性を見て悲鳴をあげた。
自分達の目の前で倒れ伏した仲間。
その体の下からドクドクと赤い血が流れている。
残されたのは、ローブ姿の女性と、革製の胸当てに弓矢を携えたもう1人の男性。
そんな2人の目の前には、仲間を傷付けた「血濡れの両目」となったバトル・ベアがいて、その右腕の爪は、倒れた男性の血で真っ赤に染まっていた。
本当なら仲間を傷付けた報いを与えたいのに、目の前の赤いオーラを纏ったバトル・ベアに対して、仲間を傷付けられた「怒り」よりも、これから自分達に訪れようとしている「死の恐怖」が勝ってしまい、2人は完全に戦意を失っていた。
そして、恐怖に怯える2人に対して、バトル・ベアが再び右腕を振り上げようとした、まさにその時……。
ーーゴッ!
(え?)
(何だ? 今の音は……)
突然、バトル・ベアの後頭部からそんな音が聞こえたので、それを聞いた2人が一瞬ポカンとなると、その後すぐに、
「ほらほらぁ、こっちこっち!」
と、何処からか若い女性のものと思われる声がしたので、目の前のバトル・ベアだけでなく女性と男性も、
(え? 今の声って……)
と、その声がした方向へと視線を向けると、
「あ、『黄金の両手』のアーデ……?」
その正体は女性が知ってる人物だったので、思わず女性はそう声をもらした。
そんな女性をよそに、
「じゃあね!」
と、その人物がその場から駆け出すと、
「グルァ!」
と、それを追いかけるようにバトル・ベアもその場から去っていった。
そして、その姿が完全に自分達から見えなくなったので、
「い、行っちゃった……」
「た、助かったのか?」
と、女性と男性がヘナヘナとその場にへたり込みそうになった、まさにその時、
「すみません、大丈夫ですか!?」
と、自分達のもとに2人の少年少女が駆け寄ってきたので、
「「……え?」」
と、女性と男性はそう声をもらした。
謝罪)
大変申し訳ありません。誠に勝手ながら、前回投稿した話の内容を少し修正させてもらいました。
本当にすみません。




