第139話 春風とレナ、スカウトされる!?
遅くなりました、1日遅れの投稿です。
「気に入ったよ。お前を『紅蓮の猛牛』にスカウトする! 勿論……レナ、お前も一緒にだ!」
「いやいやいやヴァレリーさん、何をしれっと彼を引き入れようとしているのですか? 僕にも彼をスカウトさせてくださいよ。話を聞いて、是非とも彼を『黄金の両手』に入れたいと思ってるんですから。ああ、勿論レナさんも一緒にですが」
ヴァレリーとタイラーから発せられたまさかのセリフに、
(こ、この人達、一体何を言ってるんだ!?)
と、春風が困惑していると、
「ちょ、ちょおっとぉおおおおお! アンタ達一体何言ってるのさ!?」
と、レナが口論している2人に向かって怒鳴りながらそう尋ねたので、
(うわ、びっくりしたぁ!)
と、突然のことに春風はギョッとなってレナを見た。
一方、レナの質問に対して、ヴァレリーもタイラーも「ん?」と首を傾げると、
「いや、言葉の通りだよレナ。私は、お前と春風をうちのメンバーに加えたいんだ」
と、ヴァレリーはレナに向かってそう答え、
「いやいやいや、待ってくださいよヴァレリーさん。春風君とレナさんには、是非とも僕達の仲間になってほしいんですが……」
と、タイラーは「そうはいくか!」と言わんばかりにレナとヴァレリーの間に割って入りながらそう言い、その後「なにおう!」と怒ったヴァレリーと口論しだした。
そんな彼女達の言葉を聞いて、春風は一瞬遠い目をした後、
「いやいやいや! ヴァレリーさんもタイラーさんもちょっと待ってくださいよ! 俺の話、ちゃんと聞いてました!?」
と、すぐにハッとなってヴァレリーとタイラーに向かってそう尋ねた。
すると、ヴァレリーとタイラーは再び「ん?」と首を傾げて、
「勿論聞いてたさ」
「ええ、聞いてましたよ。そのうえで君とレナさんをスカウトしようとしてるんじゃないですか」
と、真っ直ぐ春風を見ながらそう答えた。
その答えを聞いて、春風は「な!?」と思わず白目をむいて後ろに倒れそうになったが、すぐにハッとなってどうにか踏ん張ると、
「いやいや! だからぁ! おかしいでしょ!? 今の俺の話を聞いて、なんでその結論に至ったんですか!? 俺、言いましたよね!? 『俺自身は凄く悪い人間』だって!」
と、ヴァレリーとタイラーに詰め寄ろうとする勢いで再びそう尋ねると、
「……それの何が悪いんだ?」
「……それの何が悪いんですか?」
と、ヴァレリーもタイラーも「何言ってんだお前?」と言わんばかりに首を傾げながら逆にそう尋ねられてしまい、それを聞いた春風は、
「え? いや、何が悪いって……俺、『大切な人達』を置いてルーセンティア王国を飛び出したわけで、おまけに目的の為なら平気で他人を利用する卑怯な人間で……」
と、戸惑いながらもいかに自分が最低な人間かについてそう説明しようとしたが、
「はいはいわかったわかった、そういうことにしといてやるよ」
と、ヴァレリーは「やれやれ」と言わんばかりに何処か投げやりな感じでそう言い、そんなヴァレリーの横で、
「うんうん」
と、タイラーが「わかってますよ」と何度も頷いていたので、
「そ、『そういうことに』って……!」
と、ヴァレリーのあまりのセリフに春風はショックを受けた後、
(こ、こいつらぁ! 絶対にわかってない気がするぅ!)
と、グッと拳を握り締めながら、ブルブルと怒りで体を震わせた。
その後、
「ふ、フレデリック総本部長さん! すみませんがこの2人をどうにか……!」
と、春風は怒りのままにフレデリックに助けを求めたが、
「ほほう、それが本日の特別メニューですか?」
「ああ、うちの夫の『新しい自信作』でな、良ければ総本部長にも食べてもらいたんだが……」
「ええ、では本日の仕事が終了次第其方にお伺いしますので……」
と、こちらもレベッカと何やら楽しそうな会話をしていたので、
(ああ、総本部長お前もか!?)
と、春風は怒りで更に拳をグッと握り締めた。
そして、そんな春風に、
「で、どうするんだ春風? レナと一緒にうちに来るか?」
「それとも、僕達の仲間になりませんか?」
と、ヴァレリーとタイラーが2人して「ほれほれ……」とグイグイと迫ってきて、
「ちょ、あの……ですからぁ……」
とそんな2人に向かって春風が何か言おうとした、まさにその時、
「うがぁあああああ! アンタらいい加減にしろぉおおおおお!」
と、レナが大きな怒声をあげたので、それには春風をはじめとしたその場にいる者達全員が「何事!?」と言わんばかりに目を大きく見開くと、
「さっきから好き放題言って! 私も春風もアンタらのレギオンには入りませんから!」
と、レナは顔を真っ赤にしながらプンスカと怒鳴ると、呆然としている春風の手を掴んで、
「行こ、春風! 早くしないと、なんの仕事も受けられないまま1日が終わっちゃうよ!」
と言って、春風の手を引きながら、フレデリック達に向かって「じゃ、お仕事行ってきます!」と言ってその場から駆け出し、
「「あ、こら、ちょっと!」」
と、呼び止めようするヴァレリーとタイラーを無視して小闘技場を出て行った。
その後、残された人達はというと、
「おいぃ! タイラーの所為でまたスカウト失敗したじゃないか!
「むむ! 失敬な! 人の所為にしないでください!」
と、ヴァレリーとタイラーが言い争いを始め、
「あれま、怒らせてしまいましたか」
「うーん、ちょっと悪いことしちゃったねぇ」
と、フレデリックとレベッカは「いっけね!」と言わんばかりに反省しだした。
そして、最後にタイラーの助手であるアーデはというと、
「……」
と、春風とレナが通った小闘技場の出入り口をジッと見つめて、
「……ふーん」
と、僅かに口もとを醜く歪めると、
「面白そう……」
と、小さな声でそう呟いて、最後にペロリと舌なめずりした。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日の内に終わらせることが出来ず、投稿が遅れてしまいました。
本当にすみません。




