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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第5章 誕生、ユニークな「ハンター」?

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第112話 誕生、もう1つの「翼」

 


 それは、春風がヘリアテスの家で暮らし始めてから3日目のことだった。


 「ところで春風さん」


 と、ヘリアテスに声をかけられて、


 「は、はい、何ですか?」


 と、春風が恐る恐る返事すると、


 「()()()()()に備えて、どのような武器を使うか、もう考えてますか?」


 と、ヘリアテスは春風に向かってそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 「え、武器ですか?」


 と、春風は首を傾げると、「うーん」と唸りながら、


 「一応、あるにはありますが……」


 と、気まずそうにそう言って、自身の懐から、以前ヘリアテスと今はここにはいないレナに見せた、「師匠」と呼ぶ人物からもらった「お守り」こと黒い扇を取り出した。


 それを見て、


 「むむ! そ、それですか……」


 と、警戒しながらそう言ったヘリアテスに春風は「はは……」と苦笑いを浮かべた。


 何故、「女神」であるヘリアテスがここまで警戒しているのか?


 それは、今後についての話し合いが終わった直後のことだった。


 「ねぇ、春風。その真っ黒い扇、もっと見せてほしいんだけど、いいかな?」


 と、レナが手を差し出しながらそう言ってきたので、春風はそれに「え?」と反応すると、


 「いいけど……()()よ?」


 と言って、レナにその黒い扇を持たせた。


 そして、その言葉にレナも「え?」と反応しながら、春風から黒い扇を受け取ると、


 「うげ! な、何これ、お、重い……!」


 と、レナはまるで本当に重たいものを持ったかのような表情でそう言ったので、


 「え!? だ、大丈夫、レナ……!?」


 と、ヘリアテスはすぐにレナから黒い扇を取り上げようと、それを掴んだが、


 「うぅ! な、なんて重いの!?」


 と、その途端、ヘリアテスもレナと同じような表情でそう言った。


 そんな1人と1柱を見て、


 「す、すみません。実はその扇、『師匠』の手作りで、それを作った『師匠』と持ち主である俺以外の人間が持つとそんな反応をするみたいなんです」


 と、春風は謝罪しながらそう説明すると、


 「「は、は、早く言ってぇえええええっ!」」


 と、レナとヘリアテスは重たいものを持ったかの表情のまま、キッと春風を睨みながらそう怒鳴った。


 そしてそれ以来、レナとヘリアテスは黒い扇を警戒するようになり、現在に至る。


 まぁそれはさておき、春風の黒い扇にヘリアテスは、


 「ま、まぁ確かに、その武器ならいいかなとは思ってますが、相手は『神』を名乗っている者達ですから、もっと他にもいい武器があるのではないでしょうか?」


 と、警戒する姿勢を崩すことなくそう言った。


 その言葉に春風は「えぇ?」と首を傾げたが、すぐに「うーん」と考え込んだ後、


 「ヘリアテス様の言いたいことはわかりますが、『他の武器』となりますと、何を持てばいいのか……」


 と、なんとも歯切れの悪そうな感じの表情でそう返事した。


 その時だ。


 「トクン」という音と共に、


 ーー「刀」を振るって。


 と、春風の頭の中でそんな声が聞こえたので、


 「え……刀?」


 と、春風はそう反応した。


 そんな春風の様子を見て、


 「あ、あのぉ、春風さん?」


 と、ヘリアテスが恐る恐るそう尋ねると、


 「ヘリアテス様、精霊さん達を呼んできてほしいのですが」


 と、春風が真剣な表情でそうお願いしてきたので、


 「は、はい! すぐに呼んできますね!」


 と、ヘリアテス大慌てで精霊達を呼び始めた。


 その一方で、


 「……」


 と、春風は黙ったまま手に持っている黒い扇に視線を移すと、


 「……さっきのは、君が言ったのか?」


 と、その黒い扇に向かって小声でそう尋ねた。


 そう、春風は先程聞いた「トクン」という音と、「『刀』を振るって」という言葉は、その黒い扇から発せられているものだと感じたのだ。


 そして、先程の春風のセリフに続くように、


 「俺に『刀』を振れと、そう言っているのか?」


 と、再び黒い扇に向かってそう尋ねたが、残念なことに黒い扇からの答えはなかったので、春風は「はぁ」と溜め息を吐くと、


 (確かに、敵は『神』を名乗っている存在だ。そしてそういうのを相手にするなら、下手に凝った武器よりも、シンプルに『剣』や『槍』の方がいいんだろう)


 と心の中でそう結論づけた。


 だが、


 「刀……かぁ」


 と、静かにそう呟くと、春風の脳裏に「とある記憶」が浮かんだので、それが原因なのかズキンと頭痛くなり、思わず右手で自身のこめかみを押さえた。


 それは、春風にとってとても辛く、悲しい記憶だったので、春風はその時のこと思い出して、


 「……やっぱり、何度思い出しても辛いなぁ」


 と、小さくそう呟いた。


 その後、ヘリアテスに呼ばれた精霊達が次々と春風の前に現れると、春風はハッとなって首をブンブンと横に振ると、真っ直ぐ精霊達を見て、


 「精霊さんの皆さん。ちょっとお願いしたいことがあるのですが……」


 春風はそう言って、精霊達に()()()()()()をし、そのお願いを聞いて、精霊達は一瞬躊躇したが、


 「お願いします。どうか俺に、皆さんの力を貸してください」


 と、春風は精霊達に向かって深々と頭を下げてきたので、


 『いいよぉ!』


 と、精霊達はそう返事し、


 「ありがとうございます」


 と、春風は深々と頭を下げた。


 その後、精霊達の協力のもと、春風は早速自身の為の装備製作を始めた。


 最初は戦闘訓練以上にかなり苦戦させられたが、何度も失敗を重ねていき、漸く自身納得できる一振りが出来上がってきた。


 そして完成したのが、この世界で初めて見た「刀」ーー正確に言えば『日本刀』ですがーーで、その名前は……。


 霊刀・翼丸……精霊達の協力のもとに作り上げた刀。自身の魔力を流すことによって切れ味が大きくなる。


 出来上がったその刀を見て、


 「うん、これだ。これが、俺の『武器』にして、もう1つの『翼』なんだ」


 と、春風は小さな声でそう呟くと、


 「他の装備の方も、皆さんの力を貸してください」


 と、再び精霊たちに向かって深々と頭を下げながら言い、


 『いいよぉ!』


 と、精霊達もそんな春風のお願いを聞き入れた。


 そして、レナと再会した現在。


 「まさか、もうこいつを振ることになるなんてなぁ」


 と、春風は目の前にいるサーベル・ハウンドを見ながらそう言うと、手にした刀ーー「翼丸」をグッと握り締めた後、


 「……悪く思うなよ。これも俺自身の為なんだ」


 と、キッとサーベル・ハウンドを睨みつけながら、「翼丸」を構えて、戦闘態勢に入った。


 


 


 


 




謝罪)


 どうも、ハヤテです。


 大変申し訳ないのですが、昨日投稿した話ですが、誠に勝手ながらサブタイトルを変更し、内容の方も幾つか加筆修正させてもらいました。


 本当にすみません。

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