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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第1章 誕生、ユニークな「賢者」?
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第10話 そして、契約へ


 「「ちょっと待てい!」」


 そう言って、アマテラスの肩をガシッと掴んだゼウスとオーディン。


 そんな彼らに対して、


 「……何? ゼウスにオーディン」


 と、アマテラスが今にも「ちっ!」と舌打ちしそうな表情でそう尋ねると、


 「アマテラス。お前、何しれっと契約に入ろうとしてんだ?」


 「そうですよ。何を勝手なことをしてるのですか?」


 と、ゼウスとオーディンは何やら尋常じゃないくらいのプレッシャーを放ちながらそう尋ね返した。その際、春風は彼らの背後に「ゴゴゴ……」と交換音らしきものが見えた気がしたが、神々の放つプレッシャーにビビりまくって何も質問することが出来ないでいた。


 そんな状態の春風を無視して、


 「いやいやいや。だって、春風君『日本人』なんだよ? そして、今は地球の危機なんだよ? だったら、日本の主神であるこの私が彼と契約するのは当然じゃないの?」


 と、アマテラスが「何言ってんの?」と言わんばかりの表情でそう言うと、


 「ふざけんな! 地球の危機なら俺だって春風と契約する権利あるわ!」


 「それは僕も同じですよ。それと、春風君をここに運んだ際に少し調べたんですが、どうも僕、彼との()()は抜群のようなんですよ。ならば、ここは僕に契約させてくれませんか? きっと素晴らしい奇跡を起こせるかもしれませんよ?」


 と、ゼウスとオーディンも「お前こそ何言ってんだ?」と言わんばかりの表情でそう言い返した。ただ、オーディンの口から発せられた()()()言葉を聞いた春風は、


 (え? 『相性』って何? 『相性』って何ぃ!?)


 と、身の危険を感じたのかブルリと体を震わせた。


 その後、ますます激しくなる3柱の神々の口論に、春風は「何か言わなきゃ!」と感じたのか、


 「あのぉ。ちょっと気になってたんですが、もしかして、神様との契約にも『ルール』とかあるんですか?」


 と、ソーッと手を上げながら、恐る恐るアマテラス達に向かってそう尋ねると、アマテラス達はそれに「む!」と反応して、


 「ええ、そうよ春風君。『人間』が『神』と契約出来る数は1人につき1柱までなの」


 「おうよ。何せ、『神』の力ってのは『人間』にはデカすぎるからな。やり過ぎると肉体だけじゃなく『魂』までもが崩壊しちまうんだ」


 「そうそう。そうなってしまったら、幾ら『神』である僕達でも修復は出来ないんだよ」


 と、3柱とも真顔でそう答えたので、


 (こっわ! 神様との契約こっわ!)

 

 と、春風は再びビビってブルブルと体を震わせた。


 しかし、その後も続くアマテラス達の口論に、


 (こ、これ、いつまで続くんだ?)


 と、春風は別の意味で不安になったのか、


 「あ、あのぉ……」


 と、声をかけようとした、まさにその時、


 『ちょおっと待ったぁあああああああっ!』


 と、何処からか大勢の人達による叫び声が聞こえたので、春風だけでなくアマテラス達までもが、


 『な、何者!?』


 と、一斉に辺りをキョロキョロすると、スーッという音と共に大勢の人と、「人」の形をしてるが、明らかに「人」ではない者達が現れた。


 全員、服装こそ色違いはあるがアマテラス、ゼウス、オーディンと同じワイシャツとジーンズ姿をしてはいるが、アマテラス達と同じような20代前半くらいの男女もいれば、幼い子供からお年寄りもいて、更には犬顔、猫顔、そして()()の顔をした者達もいた。因みに、全員裸足である。


 春風はそんな彼らを見ながら、


 「あのぉ、アマテラス様。まさかとは思いますが、この方達も……?」


 と、アマテラスに向かって恐る恐るそう尋ねると、


 「ええ、そうよ春風君。みんな、私達と同じ『地球の神々』よ」


 と、アマテラスも目の前にいる者達を見ながらそう答えたので、


 (も、もしかして、皆さんアマテラス様達を止めにきたのかな!?)


 と、春風はパァッと表情を明るくしながらそう期待したが、


 「彼と契約するのは私だ!」


 と、現れた者達……否、新たな地球の神々の1柱が、ビシッと春風を指差しながらそう言ったので、


 「……へ?」


 と、春風は間の抜けた声を出しながら首を傾げていると、


 「いいや、この僕だ!」


 「ちげーよ! この俺様だ!」


 「儂じゃよ! 儂ぃ!」


 「いいえ、私よぉ!」

 

 「彼はあたしと契約するの!」


 「わ、私ですぅ!」


 「何言ってんだい! あたしと契約するんだよ!」


 と、全員口々に、「自分が春風と契約する!」と言い出したので、


 「ずこぉおおおおお!」


 と、春風はそう叫びながら、思いっきりその場にずっこけた。


 (お、おいおい。何だよこの状況は?)


 と、春風は心の中でそう呟いたが、その後も神々の口論は止まるどころか、新たな「地球の神々」が加わったことでますますヒートアップしてきたので、


 (ていうか、みんな地球の危機だっていうのに何やってんだよ!)


 と、春風は「怒り」を込めて再び心の中でそう呟いた。


 そして、とうとう我慢の限界が来たのか、春風はゆっくりと立ち上がると、


 「あーもう! だったら、()()()()()で決めたらいいじゃないですかぁ!」


 と、目の前にいる「地球の神々」に向かってそう怒声を浴びせた。


 その瞬間、


 『え?』


 と、それまで激しく口論していた神々がピタッと静かになったので、


 「……あ」


 (あああああ、しまったぁあああああ! 俺は何ということをぉおおおおお!)


 と、春風は心の中でそう絶叫した。何故なら、冷静になったことで自身が()()()()()()()()()()を口走ってしまったのを理解したからだ。


 それからすぐに、


 「す、す、すみません! 今のはなし! なしということで……!」


 と、春風は大慌てで謝罪したが、


 「どうやら、()()で決着つけるしかないようね」


 「みてぇだな」


 「ええ、そうと決まれば早速やりましょう」


 「くっくっく、腕がなるぜぇ」


 「絶対に勝ってやる!」


 と、神々は全員やる気に満ち溢れ出したので、


 「だぁあああああ! やめてぇえええええ! やめてくださいいいいい!」


 と、春風は大急ぎで神々を止めようとしたが、


 『じゃーん、けーん……!』


 と、1歩遅かったようで、


 『ぽん!』


 神々はそれぞれ「グー」、「チョキ」、「パー」のどれかを一斉に出した。


 その結果……1柱だけ「グー」を出して、残りは全員「チョキ」を出した。


 勝ったのは……オーディンだった。


 「よっしゃあああああ!」


 と、ただ1柱、「グー」を出したオーディンは勝利した嬉しさで力一杯そう叫び、「チョキ」を出した残りの神々はというと、


 『ちぃくしょおおおおおおおう!』


 全員、悔しそうに真っ白な地面をドンドンと叩きながらそう叫んだ。よく見ると、目から血の涙を流している神様もいたので、それを見た春風は、


 (うわぁ、どんだけ悔しかったんだよ皆さん)


 と、若干ドン引きした後、ゆっくりと深呼吸して、


 「すみませんでしたぁあああああ!」


 と、春風は神々に向かって、叫ぶようにそう謝罪した。


 


 

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