2022年2月8日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#22 駄菓子屋
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第21回目の今回は………
2022年2月8日放送。
妄想【愛の劇場】#22 駄菓子屋
立春も過ぎて、陽の明るい時間が少しだけ延びる二月。小学校の下校のチャイムが鳴り響く。
小学校六年生の八巻は一目散に家へと帰る。
毎週月曜日は、お小遣いがもらえる日。前日の日曜日にどれだけお手伝いをしたかによって、今週の八巻の懐が暖かくなるか寒くなるかが決まる。
八巻は昨日の日曜日のお手伝いに自信があった。
朝起きて、玄関の掃除をした。宿題をしたあと、お昼ご飯までの時間には、歳の離れた双子の妹と遊んであげたし、おやつの前には母に頼まれたお使いもした。
これだけお手伝いをしたのだから、少しはオマケもついてるはずだ。
八巻は心を踊らせながら家路を急ぐ。
家に帰り「ただいま」もそこそこに、八巻は家に居るはずの母を探した。
母はリビングで双子の妹を寝かしつけたすぐだったのか、息子の姿をひと目すると、口元に右手人差し指を当て「静かにね」と合図を送った。
八巻は母の用意したおやつを食べたあと、今週のお小遣いをもらった。
350円。
「頑張ってくれたからね」
母は優しい笑顔で八巻に微笑んだ。
早速今週の戦利品を握りしめて、八巻が通う小学校の近所にある駄菓子屋『はな』へと急いだ。
駄菓子屋『はな』は、70歳くらいのおじいさんが営んでいる小さな駄菓子屋さんだった。
駄菓子屋は子供たちの社交場だ。
自分の家のお小遣いはいくらだとか、最近、宿題をしないと遊びにいけなくなったとか。マンガ雑誌の新作が面白いとか。
もちろん、クラスのあの子が他のクラスのアイツの事を好きらしい、なんていうゴシップネタまで話題は様々だ。
「おじいちゃん、メロンソーダ!」
八巻は駄菓子屋『はな』に着くと、店の中に入るやいなや瓶のメロンソーダ80円を購入する。
「八巻。お前、金持ってんなあー!」
粉ジュースを飲んでいる駄菓子屋馴染みから、感嘆の声が挙がる。
瓶のメロンソーダやコーラを購入できるのは、お小遣いのたくさん貰えている子供に限られていたし、買える子供は最早英雄だった。
羨ましがる友人達を横目に、八巻は意気揚々とメロンソーダを飲み干した。
さぁ次はどうしようか。
空き瓶をおじいさんに渡して10円玉を受け取り、店内で駄菓子の獲物を物色する。
その時、他のクラスの女の子3人が八巻へと近づいて来た。
ひとりは、ポニーテール。
ひとりは、ベリーショートヘア。
もうひとりは、サイドの耳にかかる長い髪の部分をつむじの辺りで纏め、大きなレモン色のリボンのバレッタを着けている。耳よりも下の方の残った髪をストレートに流していた。
「八巻くん。ちょっといい?」
3人の中で一番しっかりとした、ポニーテールの女の子から声をかけられた。
八巻は訝しげながら「何?」とだけ返事をした。
「ちょっと話があるんだけど」
周りの子供達の視線を気にしながら、八巻へ言葉を続けた。
八巻も周りの視線を気にしながら「何?」とだけ答えた。
こっちに来てと言わんばかりに八巻に背中を向けた女の子達は、駄菓子屋の裏へと八巻を導く。
駄菓子屋の子供たちは、好奇な目で四人の様子を見ていた。
駄菓子屋の裏に来ると、八巻を駄菓子屋の壁側に寄せ囲む様に3人の女の子が八巻の前に立ちはだかる。
八巻はただ黙っていた。
「この子が話あるんだって」
ポニーテールの女の子が、レモン色のバレッタの女の子を指指さした。
ベリーショートヘアの女の子が、レモン色のバレッタの女の子の右腕を突いている。
意を決したようにレモン色のバレッタの女の子は、俯きながら両手にしていた黄色いギンガムチェックの紙袋を、八巻にグイっと差し出した。
八巻は差し出されたそれを見ているだけだった。
レモン色のバレッタの女の子は、一歩前に出て八巻に紙袋を押し付けた。
俯いているので表情はよく見えないが、レモン色のバレッタの女の子の耳は赤くなっているのが分かった。
八巻は紙袋を受け取った。
レモン色のバレッタの女の子は少しだけ顔を上げて上目遣いで八巻を見ると、顔を真っ赤にしてからすぐに俯き、恥ずかしそうにベリーショートヘアの女の子の後ろに隠れた。
「ありがとう」
レモン色のバレッタの女の子は、顔だけを少し出して小さくつぶやくように言った。
「みんなには、言わないでね」
そう言うと、右手人差し指を口元に当ててハニカんだ。
3人の女の子は八巻の前から逃げるように、でも何かをやり遂げたような満足感を携えながら、足元も軽く姿を消した。
駄菓子屋の裏でひとり取り残された八巻は、黄色いギンガムチェックの紙袋を両手で抱えながら、初めて女の子から貰ったバレンタインチョコである事を理解するのに、時間はかからなかった。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#23「雪」




