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後日談

マーベリンは困っていた。


騒ぎが納まって数日後、ハイルハイム王から呼び出しがあった。

わざわざ滞在している部屋に招いてお茶を振る舞われるだけでも一介の騎士にとっては身に余るのに、王は謝罪したいと申し出られたのだ。


「この度の騒ぎで一番迷惑をかけたのは間違いなく君だ。しかもユーフラが運命の人と出会えたきっかけにもなってくれた。ぜひお礼をさせて欲しい」

レギュール王からそう申し出られた。


ユーフラ王女も心を痛めた様子で

「顔の傷はスピネルの鱗を使った軟膏で治せるの。ごめんなさい、傷のせいで対の姿だと思い込んじゃって本当に迷惑をかけてしまったわ」

美しい17歳の女性にふさわしいたおやかな姿で謝ってくる。


まさかあの幼女がこんなに美しくなるなんて、まさに蝶が羽化したようだ。


「陛下、ユーフラ王女、どうかお気になさらないで下さい。姫の運命の人が見つかって、お姿が戻られただけで私も嬉しく思います」


マーベリンは高貴な立場でありながら心からの謝罪と感謝を述べる二人に感動していた。

偉そうぶって騎士なんかただの野蛮なやつだと見下す貴族もいるのに、王と王女が心を砕いてくださる。

それに応えたいと騎士らしく凛とした顔で胸に手を当てて頭を下げる。

その姿は眩しいほどに決まっていた。


「なんて謙虚なのかしら。こんなに素晴らしいのに、年齢=彼女いない歴だなんて...」

ポツリと洩らしたユーフラの声をハイルハイム王がすかさず拾う。


「ええ!? こんなに素晴らしい騎士なのに年齢=彼女いない歴なの?! この国の令嬢は見る目がないな!」


「お父様もそう思うでしょう? こんなに素晴らしい騎士なのに年齢=彼女いない歴だなんて、我が国に来たらすぐに引く手あまたなのに!」


「ああ、本当だ!こんなに素晴らしい騎士なのに年齢=彼女いない歴だなんてもったいない!ぜひ我が国に来ないか?」


「そうよ!そうすればすぐに年齢=彼女いない歴なんて払拭できるわ!」



年齢=彼女いない歴を連呼する親子は確かに血の繋がりを感じるな、とマーベリンは顔をひきつらせながら控えている。


そこにアンデルハイムがやって来て

「ユーフラ、ハイルハイム王、廊下までマーベリンが年齢=彼女いない歴だって響いていますよ」

と苦笑している。


いやいやいや、そこは(苦笑)じゃないんで!

殿下のためにきちんと身を引いた俺を労って下さい!


じとっとした目でアンデルハイムを見るとすまない、と口パクで謝られる。


「でもアンデルハイム、マーベリンって素晴らしい騎士でしょう?年齢=彼女いない歴だなんてもったいないわ。きっとちゃんと知り合えばどんな令嬢だって好きになるはずよ!」


両手を豊かな胸の前で組んだユーフラにアンデルハイムはぴくりと反応する。


「どんな令嬢だって好きになる...? ユーフラ、君もそんな風に思うのかい? 許せないな、君の心を僅かでも揺するなんて」

そう言うとユーフラを長い腕で囲むとマーベリンを睨んでくる。


やめて下さい!俺のせいじゃありません!

っていうか、さらっと俺をだしにのろけるのやめてもらえませんか?!

こちとら、年齢=彼女いない歴なんで!!!




最後の最後まで振り回されたマーベリンは、後日王宮で年齢=彼女いない歴がどこまで伸びるか賭けにされていることを知って自暴自棄に陥るのだった。



(後日)

お礼は膨大な量の魔石を贈られ、マーベリンは財産を持っている狙い目の騎士として令嬢達に追いかけられることになりました。

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