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曇らせ趣味な幼馴染  作者: にやり
4/11

4 僕にも友達が?



それからというもの、莉緒との時間は、朝の登校時のみとなっていった。


その登校時も、クラスの他の友達に会うとそこで終わりだ。


何度か会話に入ろうとしたものの、僕の知らない話題で盛り上がっている莉緒達相手では難しかった。


どうしたらいいのだろう。


相変わらず僕には友達が居ない。


莉緒も僕との時間を作るつもりは無いようだ。


このまま一人ぼっちで高校生活を送らなければならないのか。



「あっ」


ガシャンッ!!


ん?なんだ?


横を見ると、隣の席の子が筆箱を落としていた。


シャーペンやら消しゴムやらが床に散らばった。


その子は慌ててそれらを拾い集めている。


あ、僕の足元にも……。


大変そうだし、拾ってあげよう。


手渡ししようとしたら、まだその子はしゃがんで落ちたものを拾っていた。


机に置いといてあげよう。


拾った消しゴムをその子の机に置く。


と、机の上に広がったノートが目に入った。


これは授業のノートじゃない。


小説……?


これ、この子が書いてるのか?


へえ、自分で小説を書いてるんだ……。


凄いな。



「あっ!!」


「え?」



その子と目が合った。



「み、見ました?」


「え、あ、ご、ごめん!ワザとじゃないんだ!」


「や、やだ……」


「あ!ホントごめん!」


「あ、い、いえ、いいです。消しゴム拾ってくれたんですよね?」


「あ、そ、そう!僕の足元に落ちてたから……」


「あ、ありがとうございます。」


「う、うん。あのごめんね?見るつもりはなかったんだけど、気になっちゃって……」


「いえ、いいです。誰にも言わないで下さいね?」


「言わないよ?で、でも凄いね!自分で小説を書いてるの?」


「あ、その、見よう見まねで……」


「いや、凄いと思うよ?」


「いえ、全然すごくなんかないですよ?」


「どんなの書いてるの?」


「え、あの、お恥ずかしながら恋愛物とか……」


「へえ!僕あんまり小説とか読んだことないから、凄く興味ある!」


「え?そ、そうですか?」


「うん!高校生になったらなんか趣味見つけようかなって思ってたし!」


「そ、そうなんですか」



正直興味がある。特にこの子が書いた小説とか。


えーと、この子、名前なんて言ったっけ?


自己紹介の時聞いたと思うんだけど……。



「えーと、あ、ごめん、まだ君の名前覚えてないや……」


「あ、私、小嶋和奏(こじまわかな)っていいます」


「あ、僕は宮沢大輝」


「えーと、宮沢君は小説に興味あるんですか?」


「うん!そうだね。小説に興味があるっていうより、僕と同じ高校生の小嶋さんが、どんな小説を書くのか興味あるんだよね」


「や、やめて下さい!まだ人に見せられるようなものじゃ……」


「でも誰かに読まれないと、小説が可哀想じゃない?」


「小説が可哀想……?プっ!あははっ!!」


「え?何か変なこと言った?」


「だって!小説が可哀想って!……あはははっ!」


「で、でもそうでしょ?せっかく書いたのに読まれないのは悲しいよ」


「そ、そうですか?」


「そうだよ!だからもし嫌じゃなければ、小嶋さんが書いた小説読みたいな!」


「え、ええ?」


「だ、ダメかな?あっ、ちゃんとした感想が言えるように、僕も小説とか読んでおくから!」


「え?小説、読むんですか?」


「今までは読んだことあんまりないけど、これからは色々読んでみようかと……」


「そ、それなら……。私も小説の感想とか言い合える友達欲しかったんです!」


「ほ、ホント?じゃあ、小嶋さんが面白いと思った小説教えてよ!」


「いいですよ?あ、じゃあ、私沢山小説持ってるから、いくつかピックアップしてきましょうか?」


「え?いいの?!」


「はい、お貸しします。そのかわり、読んだら感想を聞かせて下さいね?」


「そのくらいでいいなら、喜んで!」


「はい。じゃあ、明日持ってきます」


「ありがとう!」



初めて話したのに、こんなに自然に会話できるなんて……。


どうしてだろう?


小嶋さんも僕と同じく、目立つタイプじゃない。


休み時間は、一人で静かに過ごすタイプだし。


だからかな?


大人しい性格同士、気が合ったとか?


でも、小嶋さんの笑顔、可愛かったな。


莉緒みたいに、誰もが認める美少女ってワケじゃないんだけど。


凄く愛嬌があるっていうか。


僕は小嶋さん自身に興味があるんだろうか。


前から小説に興味があった訳じゃない。


小嶋さんがどんなのを書いてるか気になっただけだ。


不思議だ、今日初めて話したのに。


もっと小嶋さんと話したいな。


高校に入ってから初めて楽しい気持ちになれた。


これって、友達ってことでいいのかな?


嬉しい、小嶋さんが友達だったら。


自分の表情はわからないけど、僕は今、嬉しいって表情になっているんだろう。


と、莉緒と目が合った。






























莉緒は厳しい表情で僕を見つめていた。





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[一言] 今さらの感想ですが、最後の部分みて素でやべぇ~と声に出た(笑)
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