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第4話 武器に求めるもの

 エタッテナイヨ⋯⋯? エタッテナイヤデ?

 さて、パイルバンカーの設計すっか。

 とりあえずピストン機構は体に使ってるものをコピペして、射出は⋯⋯どうすっか。バネ使ってスリングショット⋯⋯は威力が足りねえかな。いっその事ボウガンみたいな感じにするか? もうパイルバンカーじゃなくねえかそれは。


「射出できないパイルバンカーって、もうパイルバンカーじゃねえよな。油がねえから、油圧式のブレーカーすら作れねえし⋯⋯」


 ⋯⋯うん、ボツだな。

 とりあえず爆発系の魔法か火薬が手に入るまではお蔵入りだな。もののあわれを感じる。

 つーか機械武器作っても動力源無しにどう動かせばいいのか⋯⋯。手動で動かすとかそれもう機械ってよりはカラクリだろ。

 いやでも、カラクリ⋯⋯カラクリってありじゃね? ゼンマイ式とかだと不便だけど、何かしら俺が自力で動力源として動かせるなら⋯⋯手を歯車にしたら動かせるのか?


「『自己改造』⋯⋯おっ、行ける。MP消費なのな」


 手を丸々軸にハマったむき出しの歯車(手のひらサイズ)にしてみたが、MP消費で回転出来た。手のひらでできるなら前腕の中間でも⋯⋯できるな。

 これが出来るなら、パイルバンカーは無理でもボウガンなら作れるかもしれん。

 まずクリップと同じ仕組みのバネを作り、それを搭載した弓幹を組む。また、せっかく短縮できる箇所があるのだから、バリスタのような機構の力で弦を引く仕組みを作る。ただ射出するだけじゃ命中率と威力が不安だな⋯⋯ライフリング加工した筒でもつけてみるか。

 筒に穴を開けて、上から矢⋯⋯いや、ボルト⋯⋯杭を装填できるようにして、腕に装着する形にすれば便利か? なんかどこかで見たことあるフォルムになったが⋯⋯あ、キラーマ〇ンの左手だこれ。

 仮称として試作一号【】としておこう。


「とりあえず試射してみるか」


 仮想敵はダンゴムシなので、そこそこの厚さがあるオリハルコンの球(中身空洞)を用意した。

 まず第一射。勢いよく射出されたオリハルコンの杭は風を斬りながら飛んでいく。そして球に直撃し⋯⋯






 ヒュンッ⋯⋯カツーンッ






 弾かれた。

 そりゃそうだよな。鉄板撃ち抜こうと思ったら、最低でも拳銃並の初速がねえと無理だわ。生物殺すには十分かもしれねえけど、俺が相手にしようとしてるの人間大の機械ダンゴムシだもん。そんな簡単に行かねえよな。

 というわけで第二案。近接武器を作る。

 機械を使った近接武器と言えば⋯⋯そう、高周波ブレードだ。まあ高周波が発生させられないからただのオリハルコンの板にしかならん。ボツ。

 まず俺の運動神経的に近距離武器はやめた方がいい気がする。二重の意味でボツ。

 やはり遠距離⋯⋯遠距離は全てを解決する。火薬無しの遠距離武器で威力を出そうとすると、必要なのは質量。運動エネルギー=質量×速さの二乗の半分。速さがそれなりにしかならないなら、大型化して威力の底上げこそが真理⋯⋯!

 先程作ったボウガンをそのまま大型化して再度作成。恐ろしく大量に必要な素材⋯⋯俺じゃなきゃ泣き出しちゃうね。


「これをこうして、出来た⋯⋯バカみたいなバリスタが」


 俺と比較して倍くらいあるな⋯⋯。とりあえず、デカァァァァい! 説明不要!!!!

 本体の全長、約3m60cm! 重量、測定不可! 矢の長さ、2m! 矢の半径、3cm! 矢の質量、約50kg! 試作二号【アンドレアス・ボーガン150%】だ!

 ⋯⋯うん、数字にするとバカさがよく分かるな。重すぎてライフリングとかそういう話じゃねえよこれ。普通に質量兵器もいいところだ。大型化したせいでバネも強くなったけど、運搬とか何も考えずに作ったからな。それはともかく試射。






 フォンッズガァァン!!






 ⋯⋯アホくせえ音がしたな。球が大きく変形して反対側にも穴が空いている。NARUT〇で似たようなの見た。

 弓幹を蛇尾〇みたいな構造にしてバネを連結させたのはやりすぎだったか?

 連射力はともかく、威力は過剰なロマン兵器が完成した。一発撃つ毎に俺のMPが消し飛ぶあたりもロマン要素だ。威力は過剰だが、ここまですれば勝てるのも分かった。後は最適化するだけだな。

 とりあえず一号の弓幹を二号と同じ仕組みにしてみる。うん、二号程じゃないがMP消費が増えたな。威力も上がってるから、試作一号改と呼ぼう。まあ、上がってると言っても貫通する程じゃないんだが。

 次、二号をそのまま縮小して全てのサイズを半分にしてみた。つまり少し大きめの成人男性とほぼ同じサイズのボウガンだな。有名なミニガン、M134の倍。試作三号【トールマン】。

 威力は上々、貫通してそのまま反対側から突き出た。もう少し縮小しても良さそうだ。

 全長を約1mにしてみた。だいたい一号の倍くらいかな? 試作四号。ギリギリ手で持ち運べるサイズだが、やはり連射力はお察し。威力は球の反対側から突き出ないくらい。これでいいか。


「無骨なのも良いんだが、やっぱ装飾したいよな。何にすっかなぁ⋯⋯胸びれ広げたトビウオみたいだしトビウオをベースにするか。名前もフライングフィッシュをベースにしよう」


 そうすると突き出たバレルがイマイチ合わないな。串焼きみたいにしても良いんだが、やはり奇を衒うほうが面白いだろう。カジキにしようか、それともダツにしようか⋯⋯迷うな。サイズ的にカジキは合わないか、ダツだな。アイアンサイト代わりにリュウグウノツカイの背鰭(長いところだけ)もつけてみよう。

 試作四号改め、【FF-ガー・レガレクス】。ちなみにFFはFlyingFish(トビウオ)の略。塗料が無いため金一色だが、塗料が手に入った暁には精巧なキメラにしてやると誓った。略称はトビウオ。

 トビウオを左腕に装着し、何度か練習する。機械の力で弦を引くから人より早いものの、MP消費が気になるな。素材がほぼ無限にあるからか、エネルギーだけが気になってしまう。まあ、種族特性上素材さえあれば耐久値とか気にしなくていいのは助かるんだが。


「矢筒よし、装填練習よし、トビウオよし、命中率もとりあえずよし! 行くぞダンゴムシ! 懺悔の用意は十分か!」


 ダンゴムシの居場所は変わらないから、最短ルートを進みながら弦を引く。予め引いておけばその分の減少は考えなくて済むからな。

 相手がどう言った方法でこちらを感知してるかは分からない。だが、部屋に入る前に対処されたことは一度もないから、部屋の入口にセンサーがあるか、部屋に入ってきた存在を識別しているかのどちらか。重要なのは、相手が動き出す前に行動を阻害できるかどうか!

 MPが回復するのを待ち、その間に集中力を高める。機械なので息はしてないが、深呼吸に近い精神統一法で心を落ち着かせる。相手の動き方的に、一度でも杭が刺されば無力化できるはず。それなら、後は当てるだけだ。


「MP回復⋯⋯よし」


 トビウオを構え、扉を勢いよく開け放つ。こちらに気付いたダンゴムシが転がり始める前に、一番近い個体を撃つ。総数は三体か。

 中に機構が詰まっているだけあり、杭は半ばまで刺さって止まる。だが、それで十分。機能停止まで行かなくとも、動きを阻害すればそれでいい。効果を実感しつつ、次弾の装填。MPの回復率と総MP的に、残りの攻撃回数は五回くらいが限界だろうか。

 丸まれないダンゴムシを壁にし、第二射を放つ。二体目の壁が出来た。立ち位置さえ調節すれば、人間大ダンゴムシなんて転がりより遅い突進くらいしか怖くない! しかも正面にさえ居なければ突進も怖くない!


「第三射! 命中確認。俺の勝ち、なんで負けたか機能停止までに考えてレポートとして提出してください」


 レポートまとめる時間はやらねえけどな!

 ロクに攻撃出来なくなったダンゴムシ達をゆっくりと処理し、解体してその構造を解析する。

 死体が残るのは便利で助かるな。逆説的に、綺麗に殺さないと綺麗な素材も剥ぎ取れないんだが。おっ、回路あんじゃん。ラッキー! 電気で動いてるわけじゃないみたいだが、鑑定したら何かわかるかもしれん。


「『鑑定』」

『名前:魔力基板 品質:A

 説明:魔力を用いた回路の基板。絶縁体には樹脂が使用されている』

「樹脂ゲット! ついでに被覆されたケーブルとかもゲットだぜ!」


 外側の装甲を箱に加工し、大まかな種類ごとに分けておく。ちなみにオリハルコンじゃないものだけだ。オリハルコンは分子単位で資源だからね。仕方ないね。

 あとは⋯⋯あった。動力源らしき物体を見つけた。多面体の形をしたオリハルコン。オリハルコンは恐らく保護用の外装で、中にあるものが本体だろう。とりあえずオリハルコンを剥がす前に鑑定しておこう。


「『鑑定』っと」

『名前:オリハルコンマシンコア 品質:A

 説明:オリハルコンで作られた動力源。アトランティス文明でよく使われていた汎用部品。大気中の魔力と水を使いエネルギーと水素、酸素を生み出す永久機関。また、水素と酸素から水を生成できる。現在は停止している』

「永久機関!? 人類の夢じゃねえか、やべえなアトランティス」


 オリハルコンを剥がしていたら多分ゴミになってただろうな⋯⋯。下手したら全部オリハルコンかもしれんし。

 パイプが繋がってるのはパイプでエネルギーの供給をしていたからか⋯⋯。それにしても、水と魔力でエネルギーを作り出すってどういうことだよ。俺これ体に組み込んでいい? 良いよ。良かった、ありがとう(自問自答)。

 昇格したリファレンスギアと混ぜてみたいが⋯⋯多分今のままじゃ無理だな。エネルギーを供給する仕組みが体の中に無いし。とりあえず全部保存しとこう。


「⋯⋯これ、武器に使えね?」


 目的を達成するために武器を作った。

 目的を達成した後は何をする?

 知らんのか、武器を作る。

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