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第3話 ついに生えた機械工作

 お久しぶりです。展開に詰まってかなり時間がかかりました。これから先の事も曖昧ですが、どうかご容赦いただきたいです。

 今日も今日とて機械虫を踏み潰す1日⋯⋯だと思ってた日が俺にもありました。

 以前、ダンゴムシ型機械虫(試作ver.)という敵モブが居たのを覚えていらっしゃるでしょうか? はい、原寸大のダンゴムシ型機械虫です。それの説明欄に、正式型は人間大の大きさになるという一文があったわけですね。

 まあ、お察しの方はいらっしゃると思うんですけど⋯⋯現在、正式型から逃げております。

 想像してみてください。人間と同じ大きさの、金属製ダンゴムシが迫ってくる姿を。しかも、俺のサイズって成人男性の半分も無いんですよ。自分の倍以上大きいダンゴムシとか、勝てるわけないやん。

 昔見た映画のワンシーンを思い出すよね。あそこまで大群でも無いんだけどさ。


「硬い、デカい、重いって⋯⋯ただそれだけで脅威なんだよね⋯⋯」


 はい、死に戻りました。普通に轢き殺されたよ。

 ダメだ。あれはダメ。どうにかして対抗手段見つけないと。酸とか、高周波ブレードとか。

 アトランティスだし、万物溶解液(アルカヘスト)とかどっかに無いかな? あれ、万物溶解液はルルハリルってティンダロスの生成物だっけ。

 保管はされてねえかな⋯⋯? されてねえよな。万物溶解液だし、保管できねえよな⋯⋯。


「ここベリーハードとか通り越してルナティックだろ。難易度設定どうなってんだ⋯⋯」


 選んだのは自分なんだけどさぁ⋯⋯。心折れそうになりますよこんなん⋯⋯。まあ、折れねえんだけど。

 とりあえず武器の調達かな⋯⋯。自己改造しか出来ないから、どっかで加工設備とか見つけねえと。じゃあ、武器の調達のために加工設備の捜索か⋯⋯。

 あれ、加工設備を探してダンゴムシに会ったんだったっけ? なんでもいいや。まだ開けてない扉沢山あるし探そう。


 ──数十分後。


 俺は部品の山の上で不貞腐れていた。

 扉を開ければダンゴムシ。別の扉を開けてもダンゴムシ。また違う扉を開けてもダンゴムシ⋯⋯。なんなん? ここで働いてたやつはどんだけダンゴムシ好きなの?

 もっといたじゃん、クマムシとかカブト虫とか。なんでよりによってダンゴムシをリスペクトしちゃったの? ダンゴムシは確かに強いよ? 直径5ミリ弱のサイズとしては最高の硬さがある。よく見れば可愛げだってあるよ。オリハルコン製で、しかも人間大の大きさじゃなければの話だけど。

 いじけながら部品の山を漁っていて、ふと気付いた。溶接は出来ないのだろうか、と。

 正直なところ、試したことがないのが現状。よく良く考えてみれば、歯車の歯の数が変えられる時点で溶接ができないわけが無い。

 パーツ数の問題で悩んでいるのだが、溶接で複数のパーツがひとつにまとめられるなら問題はほとんど解決する。さらに言えば、溶接が出来るなら歯車や板金を資源に新しいパーツも作れる。ピストン機構やチェーンなんかも作れるかもしれない。


「試すだけならタダだし、化学反応もしないなら資源はほぼ無限⋯⋯か」


 まず溶接。板金を複数隣接させ、辺と辺がピッタリ合わさるようにしてから、それぞれがひとつにまとまるイメージをする。⋯⋯出来た。ステータス画面で確認しても合計パーツ数が1つ減っており、溶接(合成?接合?)が出来ていることがわかる。

 次に、新しいパーツの創造。繋ぎ合わせた板金を丸め、球体になるように加工する。これも出来た。

 今までの悩みがバカバカしく思えてくる。これが出来るなら、最初から悩むことなど何も無かった。

 晴れやかな気持ちで周囲を見渡す。パーツごとに分別され、規格ごとにまとめられ、同じ中身同士で寄せられた様々な機械部品。人の気配のない海底の工場で、ひっそりと佇むように安置された、数え切れない沢山の部品達。

 ──これらは全て、自由にしていい資源(リソース)だ。

 片っ端から一つの球にまとめていく。ボルトも、ビスも、ナットも、ワイヤーも、歯車も板金も何もかも。

 ほとんどの資源を回収し終えた後、残ったのは開始時の体を構成していたパーツ達と、巨大な金属球に繋がった俺だけだった。

 重たいので、1度オリハルコン球を切り離す。移動は球体なおかげでそこまで苦労しないものの、見た目が重い。自分の何倍どころか何十倍もある金属球だぞ? オーバー〇ウェポンもびっくりだわ。


「後は⋯⋯これか」


 これとはもちろん開始時に体を構成していたパーツの事だ。すぐにその場にあったオリハルコンの部品と交換してしまったから、材質も名前も何も知らない。けれど、部品そのものの加工が可能となった今なら、今だから、自らの原初⋯⋯オリジンとでも言うべきものに目を向けることが出来る。


「『鑑定』」

『名前:スクラップパーツ

 説明:材質不明の部品。錆びず、欠けず、磨耗もしないが、何故か性能が良くない不思議な物体。』

「とんでもねぇ爆弾を放置してたもんだぜ⋯⋯」


 俺の種族、スクラップはその特性上どうしても外せないパーツが存在する。ステータスの計算に含まれず、ダメージ計算ではほぼ100パーセントの⋯⋯理論上のダメージが通る弱点中の弱点。動力部と言っても過言ではない『リファレンスギア』。

 そこにスクラップパーツを直接繋げ、混ぜ、同じ大きさになるように圧縮する。

 可不可は不明。ただただ質量保存の法則に従って、材質、密度だけを変化させながらその形を保つ。その行為は何か特別なものなのか、俯瞰するような視点に切り替わり全体像を確認させてくれる。溶けて混ざりあったパーツは眩いほどの光を放ち、周囲を明るく照らしていく。

 HPは時間とともに減少し、システムウィンドウが警告を促してくる⋯⋯が、なんの問題もないな! HPが0になるよりも、俺の改造が終わるほうが早いから!

 警告メッセージ(こんなもの)で今更止まれるか! ここで止まるような人間なら、俺はこのゲームに手を伸ばしてなんか居ないだろうからな!

 何より、この改造は今までの改造とは根本的にやっていることが違う。今までの改造が1をベースに四則演算をするものなら、これは1を別の数字に変えるもの。故に──


「──|Hello World《こんにちは、世界》!」

『リファレンスギアの改造を確認。保有リソース──規定値以上。自己改造回数──規定値以上。昇格条件、全完了を確認。昇格を開始します』


 リファレンスギアの改造が終わると同時に、システムメッセージが流れた。昇格とは何か、昇格条件の詳細は、頭の中を様々な疑問が駆け巡る。

 そして通常視点へと戻り、光が収まるとステータス画面が開いた。


『名前:エクスマキナ

 種族:オリハルコンスクラップドール

 Lv:20

 筋力:15

 耐久:63

 敏捷:24

 魔攻:1

 魔防:65

 器用:18

 SP:55


 スキル:鑑定Lv2 HP自動回復Lv3 捕食 集合体 改造進化 自己改造』


 魔攻以外のステが軒並み上がってるな。レベルもかなり上がってる。何故だ? ダンゴムシに負けてから経験値は得ていな⋯⋯そうか。文字通り”経験”の値って事か。

 パーツ数は比例どころじゃない。昇格とやらの影響なのか、開始時の20倍どころかその数倍⋯⋯リファレンスギアが変わったから、それに伴って定数も変わったってことか。何倍だこれ? えーっと、レベル1換算で7倍くらいか。

 開始時と比較して140倍くらいになるな。増えすぎじゃね?


「随分自由度上がったじゃねえか⋯⋯楽しくなってきたな!」


 特大オリハルコン球から必要なパーツを作り出す。太さや厚さの違うパイプ、板金、ワイヤー等々。それらを組み合わせ、ピストンを作り、関節を作り、四肢や胴体を組み上げていく。

 原始的なてこに始まり、自らのもつ機械工学の知識を総動員し、机上の空論でしか無いものすら試して、自らの体に盛り込んでいく。

 そして出来上がったのは、オリハルコンで出来たマネキン人形のようなものだった。


『名前:エクスマキナ

 種族:オリハルコンドール

 Lv:20

 筋力:57

 耐久:83

 敏捷:32

 魔攻:1

 魔防:85

 器用:54

 SP:55


 スキル:鑑定Lv2 HP自動回復Lv3 捕食 集合体 改造進化 自己改造 機械工作』


 種族名からはスクラップの文字が消え、相変わらず1の魔攻以外が大きく上昇した。更にスキルに機械工作が生えたため、わざわざ取り込まなくても物を作れるようになった! ⋯⋯自己改造出来ないとパーツ作れないから、今はあんまり意味ないかもな。

 それはともかく、素体が出来たから次は武器だな。せっかく機械工作なんてスキルが生えたんだ、とことん活用してやろうじゃないか! ちなみに、作るものは既に決まっている。ロマン武器⋯⋯パイルバンカーだ!

 溶接を思いつくまでにここまでかかりました。作者の知識が乏しくて申し訳ありません。

 この作品を読んで何か感じていただけたら感想を賜りたく思います。面白いと思って頂けましたら★★★★★評価、よろしくお願い致します。

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