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悪役王女に転生しました。でも、パパは何故か私を溺愛してきます。  作者: 下菊みこと


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魔力の暴走です!

魔力の暴走

ご機嫌よう。ジェンティーレ・プリンチペッサ・アポカリッセです。


今日も今日とてパパとティータイムです!


「パパ!風で髪がさらさら綺麗!」


「俺にはお前の銀髪の方が好ましいがな」


「ティーレ様の銀髪は俺なんかとは違い特別さらさらで艶が良いですからね」


「もう!オネストったら上手なんだから!」


オネストが側に控えて、パパと私で紅茶を飲んでケーキを食べる。ああ、なんて素敵な日常!


「そういえば、なんでパパには専属護衛騎士がいないの?」


「俺は男だし魔力の第二次覚醒も迎えている。護衛は必要ない」


この世界では魔力の覚醒が二回起こる。年齢は人によってまちまち。でも稀に、覚醒が起こる前に魔力の暴走がある人もいるらしい。


「そっかぁ。私も魔力の第二次覚醒したらオネストとバイバイするの?」


それはちょっと寂しい。


「そんな顔をするな。お前は女だしお姫様なんだ。専属護衛騎士は外さないよ」


「よかったぁ」


私がにこにこ笑うと、何故かオネストが胸を押さえて蹲ります。なに?


「ふっ、お前も大変だな。護衛」


「ええ…とても…ティーレ様は俺を翻弄するのがよほど楽しいようで」


「え?」


何の話?


「魔力の覚醒といえば、お前はまだ第一次覚醒も来てないな」


「そうだね。はやく来ないかなぁ」


「あんまり遅くなると魔力の暴走が起きやすいからな」


心配そうに私の頭を撫でてくれるパパ。


でも、そういえば乙女ゲームの中ではジェンティーレは五歳で魔力の第一次覚醒が起こっていた。


もしかして私、今あんまりよろしくない状態なのでは?


そう思うと、そういえばなんだか今日は頭がくらくらして、ぼーっとして、体が熱い。


…もう、ダメかも。


どさっと私は椅子から落っこちる。


「ティーレ!」


「ティーレ様!?」


二人が心配して駆け寄ってくれる。ごめんなさい。ちょっとだけ、眠ってもいい?


「ティーレ…おい、護衛!今すぐ宮廷魔術師と宮廷治療術師を呼んでこい!俺はティーレを俺の部屋まで運ぶ!」


「はい!国王陛下の部屋に呼べばいいんですね?すぐ行きます!」


「ティーレ…少し、眠ってろ」


パパが、私の頭を撫でてくれます。おやすみなさい。


ー…


「…王女殿下の状態は、魔力の暴走のようです」


「治療は?」


「普通の子供の魔力暴走であれば、余って暴走している分の魔力を私達魔術師が吸い取り、治療術師が経過を観察しつつ解熱作用がある薬を煎じれば治るのですが…」


「が?」


「…残念ながら、私達宮廷魔術師だけでは力不足です」


「…なんだと?」


「王女殿下の魔力は桁外れに高いのです。まるで、二人分の魔力を持つかのように…ですから、残念ながら私達がいくら魔力を吸い取っても追いつかないのです。第一次覚醒が起こってくれれば、魔力の器も今の王女殿下の魔力に合わせてくれるので、治ります。が、そんなに都合よく魔力の覚醒は起こりません」


「…っ!この役立たずが!」


「申し訳ございません!」


「国王陛下!俺、心当たりがあります!」


「…なに?」


「魔力の器だけなんでかでかくて、そのくせ魔力を持ってない奴!俺の幼馴染です!」


「…魔術師団長の息子か!」


「俺、今から走ってきます!」


「いやいい!転移魔法で俺が行く!」


「お願いします!」


ー…


「うーん…」


「ティーレ様!お目覚めですか!?」


「オネスト?」


「ティーレ。俺がわかるか?」


「パパ?」


「ああ…よかった…」


オネストがベッドの上の私にしがみついて泣きじゃくる。心配かけてごめんね。


「その護衛が魔術師団長の息子が使えると教えてくれてな。護衛と魔術師団長の息子に感謝することだ」


「国王陛下が転移魔法でヴィドを呼んでくれたんですよ…心配かけないでくださいよもう…」


「うん、二人ともありがとう。ヴィドもありがとう」


オネストにヴィドと呼ばれた魔術師団長令息のパーヴィド・リートにお礼を言う。パーヴィドも攻略対象者。おどおどしていて、弱気で臆病な性格だ。何故魔術師団長令息なのにそんなに臆病なのかというと、実は彼、魔力の器は人一倍大きいのに、魔力の第二次覚醒が起こるまで魔力がからっきしなのだ。


「お、お初にお目にかかります、パーヴィド・リートと申します。ジェンティーレ・プリンチペッサ・アポカリッセ王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく…」


言葉こそ流暢だけれど、びくびくとしながら挨拶をするヴィド。まだ幼い見た目もあって、可愛い。


「ヴィド、どうやって私を助けてくれたの?」


「そ、その、王女殿下の暴走した魔力を、僕の空っぽの器に入れたんです。宮廷魔術師さんに手伝ってもらって。それで、今後もその、魔力の第一次覚醒が起きるまでは定期的に魔力を移さなくちゃいけなくて…だから、毎日ティータイムにお邪魔する運びとなりました…」


「なるほど」


さすが悪役王女。魔力は並みじゃないのね。宮廷魔術師だけでなんとか出来ないなんて。


「じゃあ、これからよろしくね。ヴィド」


「は、はい。よろしくお願いします…」


「ヴィドだけ愛称で呼ばれるなんて狡い!ティーレ様、俺のことも愛称で呼んで!」


「じゃあ、ネスト?」


「…ありがとう」


愛称で呼んでというから呼んだのに、照れて撃沈するネスト。可愛いなぁ。と、和んでいると部屋のドアをノックされます。…あれ、そういえばすごくナチュラルにパパの部屋にいる。いいのかな、こんなにみんなパパの部屋にいて。


「…ティーレ、失礼します」


「リト!来てくれたの?」


リトが来てくれました。


「ティーレ、心配しましたよ。でも、無事で何よりです」


私の手を握って優しく両手で包んでくれるリト。安心するなぁ。


「急いで駆けつけたので、お土産がないんです。すみません」


「そんな、リトが来てくれて嬉しいよ!」


リトは優しく微笑みます。癒されるー。


「さあ、王女殿下。解熱剤を飲み、寝ましょう」


宮廷治療術師さんに促されてお薬を飲む。苦い。


「じゃあみんな、せっかく来てくれたのにごめんね。おやすみなさい」


「おやすみ、ティーレ。いい夢を」


「ティーレ。私が側にいますから、安心しておやすみください」


「ティーレ様、はやく第一次覚醒が来るといいな。…おやすみ」


「王女殿下。ゆ、ゆっくり寝て、はやく回復されますように」


ということで、寝ます!

第一次覚醒はもうちょっとしてから

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