スラム街の平民達への無属性魔法教育
無属性魔法
御機嫌よう、ジェンティーレ・プリンチペッサ・アポカリッセです。今日はスラム街の平民達への無属性魔法教育の日です。
「おはよう、みんな。今日は手ぶらでいいからなー」
「はーい、おはようございまーす」
「おはようございます」
「おはよー」
「おはようございます、みんな」
「おはようございます、皆さん」
「おはよう、みんな。おはようございます、ブルローネ先生」
「お、おはようございます。頑張っていきましょう」
ということで早速馬車に乗りスラム街へ出発します。
ー…
スラム街に着きました。ブルローネ先生が早速音声魔法でスラム街の民に呼びかけます。
「みんなー、今日は無属性魔法の授業をやるぞー。知っておけばもっと生活も楽になると思うからぜひ一度きてみてくれー!」
炊き出しの時と比べると明らかに少ないですが、それでもかなりの人が来てくれました。
「おお!結構来てくれたな!みんな、もし出来たらここに来てない奴らにも後で教えてやってくれ。頼めるか?」
「まあ、そのくらいなら」
「じゃあ、早速始めるぞ」
こうしてブルローネ先生と私達の無属性魔法の授業が始まりました。
「えっと、皆さんはどのくらい無属性魔法を使えますか?」
「どのくらいって言われてもな…」
「着火の魔法はどうでしょう?」
「着火?」
「えっと…そうですね。まずは、頭に弱い火を思い浮かべてください。弱い火、ですよ」
「弱い火を…」
「そうしたら、この藁にその火を移すイメージで無属性魔力を流すんです」
「…うわぁ!火がついた!」
平民さんはびっくりしています。
「じゃあ、次は水でこの火を消してみましょう」
「え?あ、えっと、水をイメージして、この火を消すイメージをして、無属性魔力を流す…」
バシャっと水が溢れて火を消します。
「いい感じですね!」
「これで火起こしと水汲みが必要なくなる…すごいなあんたら!」
「いえいえ、それほどではないですよ」
「他にも何かあるのか?」
「そうですね。風を起こして夏に涼しくしたり、でしょうか?」
「風を起こして夏に涼しく!?」
「はい、やってみましょう。これもさっきの応用で出来ますよ」
「えっと…風をイメージして、自分の周りにイメージして、無属性魔力を流す…」
風が吹きます。
「出来ましたね!」
「出来た!出来た!」
「これを応用して、掃除も出来ますよ!」
「掃除も!?」
「風でゴミを吹き集めるイメージをすればいいんですよ!」
「なるほど!やってみる!…風をイメージして、ゴミを風で掃くイメージをして、無属性魔力を流す…」
「すごいです!出来てますよ!」
「おおおおおお!じゃあ、落書き落としもさっきの水の魔法で出来るか!?」
「一回やってみましょう!」
「水をイメージして、落書きを落とすイメージをして、無属性魔力を流す…どうだ!」
「完全には消えてませんけど、大分落書きも薄くなりましたね!」
「おおお!ここの落書きはなかなか落ちなくて諦めてたのに…すごいな!」
「お友達の中でここに来てない人にも教えてあげてくださいね」
「ちょっと教えにいってくる!」
「はい、よろしくお願いします」
「ティーレ。そっちはどう?」
「リト!うん、意欲的に覚えてくれて、今お友達に教えにいってくれたよ」
「そうか。こっちもだよ。思ったより覚えがいい人が多いね」
「一気に何人もに教えるのはちょっと緊張するから、私は一人ずつ教えてるけど、リトは一気に教えてるよね。すごいなぁ」
「いやいや、さっき調子に乗って着火の魔法で危うく事故りかけたから、肝が冷えたところだよ」
「本当?私も気をつけてみるね」
「それがいい」
「なああんた、俺にも教えてくれよ」
「はい、教えられることがあればですが…無属性魔法はどこまで使えますか?」
「どこまでといっても。魔法自体そんなに使えないからな」
「なら、着火の魔法からやっていきましょうか」
「着火?」
ー…
「お嬢ちゃん、ありがとうな!お陰で生活が大分楽になりそうだ!」
「いえいえ。こちらこそ意欲的に覚えてくださってありがとうございました」
「ティーレ様!」
「ネスト!そっちはどう?」
「それがさぁ。みんなやる気がありすぎて水の無属性魔法でびしょ濡れ。見てよこれ。俺までちょっと濡れたし」
「風で乾かせばいいじゃない」
「…あ、その手があった!俺ちょっと戻るね!」
もう、慌ただしいんだから。
「あんた、手が空いたんだろ。次は俺に教えてくれよ」
「もちろんです。では、まずは着火の魔法からやっていきましょう」
ー…
「ありがとうな、お嬢ちゃん。あと、炊き出しの飯、美味かったぜ」
「え?覚えていてくださったのですか?」
「ああ。最高に美味いもんを食えていい夢まで見れたぜ」
「それは良かったです」
「じゃあ、ちょっとここに来てない奴らに教えにいってくるわ」
「はい、よろしくお願いします」
「ティーレ様」
「ヴィド!どう?進んでる?」
「は、はい。皆さん、と、とても覚えが、よ、よくて。すぐに理解してモノにしてくれるので…」
「きっとヴィドの教え方が上手いんだね!」
「そ、そうでしょうか?」
「うん、前も言ったでしょ。ヴィドは努力の天才だもの。その分人に教えるのも上手いんだよ」
「あ、ありがとうございます…も、もう一回別の方たちにも教えてきます…!」
ヴィドはいってしまいます。真面目で偉いなぁ。
「お嬢ちゃん!次は俺な!」
「はい!」
ー…
「お嬢ちゃんありがとうな!俺はちょっと相棒に教えにいってくるわ!」
「はい、いってらっしゃいませ」
「あはは。行ってきます!」
「ティーレ様!」
「ミミさん!」
「私、教え方が下手なのでしょうか。皆さんなかなか上達しなくて…」
「それなら教え方を、変えてみるとかでしょうか?」
「教え方を、変える?」
「はい。ちょっとついていってもいいですか?」
「はい」
「皆さん、どこで躓いてます?」
「いやぁ、火をイメージするのは大丈夫なんだけど、それをしながら無属性魔力を流すってのがなぁ」
「ああ、それなら火をイメージしながら別のパワーをイメージしてその両方を藁にどーん!してください」
「え?」
「お、それならできそうだな!どーん!」
「で、出来た!」
「いやあ、微妙なニュアンスが難しいですよね」
「さすがティーレ様ですわ!すごい!私ももっと頑張って教えますわ!」
「おう、頼むぜ嬢ちゃん!」
「お嬢ちゃん、次は俺に教えてくれよ」
「はい!」
ー…
「ありがとうな、お嬢ちゃん。俺もちょっと他の奴らに教えにいってくるわ」
「はい、よろしくお願いします」
「ティーレ様!」
「ビビさん!」
「やっぱりティーレ様も一人ずつ教えてるんですね!よかった!」
「どうかしました?」
「アルが一気にみんなに教えてて…なんか、私、ダメなのかなって思って…」
「そんな、人によりけりですよ」
「そうじゃなくて、その、…アルの、隣に立つ、ために…」
…あらまあ。
「大丈夫ですよ、ビビさん。アル王太子殿下はビビさんにぞっこんですし、ビビさんは貴重な光属性持ちですし、それに…」
「それに?」
高貴な身分な方ですから、なんて言えない。
「とにかく、お二人ともお似合いですから!大丈夫ですよ!」
「は、はい。ありがとうございます」
「みんなー、そろそろ帰る時間だぞー」
ということで馬車に乗って学園に帰ります。そっかー。ビビさんもついにアル王太子殿下を意識し始めましたか。可愛くて応援したくなってしまいます。どうか私の破滅フラグに繋がりませんように!
ようは生活に応用できるほぼなんでもありの魔法。でもその分各属性魔法ほどの魔力も器にないし平民なら余計にない。ただすごく便利。




