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悪役王女に転生しました。でも、パパは何故か私を溺愛してきます。  作者: 下菊みこと


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孤児院への慰問

孤児院

御機嫌よう、ジェンティーレ・プリンチペッサ・アポカリッセです。今日は孤児院への慰問の日です。


「みんなー、準備はしてきたか?」


ブルローネ先生が聞きます。


「準備は万端です!」


「私もです!」


「私は土さえあればいいので」


「俺も大丈夫です」


「俺もー」


「私もです」


「ぼ、僕もです」


「じゃあ行くぞー。気合い入れて行こうぜ!」


「おー!」


ということで馬車で孤児院へ向かいます。


ー…


孤児院に着きました。広くて清潔です。孤児院の子供達も健康状態は良好のようです。


「ここが孤児院?思ったより広くて清潔だな」


「国王陛下の方針よ。国王陛下って本当にすごいよね!」


「そうだな…学園など所詮コネ作りの場だと侮っていたが、この国ではたくさん、学ぶべきことがあるようだ」


「はは!そいつに気がついたか!そりゃあいい!学ぶべきことを学べるのは若いうちだけだぜ!」


まだ若いブルローネ先生が何か言っています。


「もう、そんなおじいちゃんみたいなこと言わないでください!」


貴方は腐っても攻略対象者なんですから!


「ははは!」


ということで早速事前にアポイントメントを取っていた孤児院の院長に挨拶をして、子供達を庭に集めてもらいます。


「えっと…はじめまして!皆さんこんにちは!」


まずはビビさんがみんなに挨拶をします。


「こんにちはー!」


子供達も元気に挨拶を返してくれます。


「今日はみんなに楽しんでもらおうと思って、色々なものを用意してきました!楽しんでくれると嬉しいです!」


「わーい!」


「なにしてくれるのー?」


「楽しいことー?」


「楽しいことですよー!」


うんうん。掴みはバッチリ。


「じゃあ、トップバッターは私が行きますね!」


私はみんなの前に出て、幻術を披露します。なにから見せようかなぁと先週から考えてきたので、楽しんでくれると嬉しいです。


まずは可愛らしい動物の着ぐるみを生み出してみせます。どこからともなく出てきた着ぐるみにみんな興奮します。


「なにあれー!」


「急に出てきたー!」


「すごいすごい!」


そして私は、着ぐるみ達にナイフ投げや手品、綱渡りや空中ブランコ、トランポリンや人間ピラミッド、ワイングラスを乗せたテーブルでテーブルクロス引きなど、思いつく限りの芸を披露させました。


「きゃー!」


「うわぁ!」


「すごいすごーい!」


うんうん、好評なようです。よかった。


…と、思ったのですが。


「お空が曇ってきたねー」


「この空模様じゃ雨降るなー」


「もう曲芸みれないのー?」


雨が今にも降り出しそうな天気です。うーん。子供達に風邪をひかせるわけにはいきませんから、今日はここまででしょうか?


「おっと。なら私の出番だな?」


…ちょっと。ブルローネ先生まさかここで『妖精魔法』を使う気ですか?正体バレますよ?


思わずじっとりとした目でブルローネ先生を見てしまいます。するとブルローネ先生は私の視線とその意味に気付いたようで、驚いたような表情をした後困ったように笑い『しーっ』とポーズを取ります。いや、私が黙っていても子供達以外みんな気付きますから。


「みんな、私がとっておきの魔法を見せてあげよう!」


「えー?」


「なになに?」


「まだお外にいていいの?」


「もちろんだ。雨を退け太陽をここに!」


ブルローネ先生が詠唱すると雨雲は突然晴れていき、太陽が顔を出します。


「わー!」


「すごいすごーい!」


「どうやったのー?」


「みんな、今の魔法は先生達とみんなとの秘密にしてくれないか?」


「えー、なんでー?」


「とってもとってもすごい魔法だから、使ったことがバレちゃうと先生怒られちゃうんだ」


「わかったー!」


「秘密にするー!」


「内緒ー!」


「うんうん、ありがとうな」


子供達とブルローネ先生のやりとりは、とっても和やかなのですが…私達はそれどころではありません。


「今のって…『妖精魔法』だよな?」


失われた亡国、ティターニア。ある日突然姿を消した、妖精の国。ブルローネ先生は、ティターニアの第三王子にして妖精の住む第三世界からの使者なのです。人間が『もう二度と』間違いを犯さないための。ティターニアが第三世界に移ったのは、人間が妖精の鱗粉を求めて乱獲を犯したため。でも、ティターニアの民は決して人間を見捨てませんでした。人間がもう二度と同じ間違いを犯さないように、鱗粉を定期的に提供したり、ちょっとだけ天候を操ることで人間に手を貸したり。人間は昔自らが犯した過ちを認め、反省し、ティターニアからの使者を丁重に扱うようになりました。しかし、見かけだけ丁重に扱って、裏で他の魔族を乱獲されては堪りません。そこでティターニアは、使者をこっそりと送り出し、誰にもわからないように人間達を見張らせるようになりました。


「…今見たことは、忘れましょう」


私は静かに言います。みんな、お互いに顔を見回して頷きます。


「うん」


「それがいいですね」


「わかった」


「そうしましょう」


「私、なにも見てません!」


「ぼ、僕もなにも見てません」


「お前達、ありがとうな」


…ということで、ブルローネ先生の重大な秘密がバレたところで芸の再開です!


ミミさんは土人形で人形劇を見せます。


「わー!」


「可愛いー!」


「お人形さん頑張れー!」


ビビさんはライトニングで目標の的を攻撃します。


「かっこいい!」


「それどうやるのー?」


「僕も出来るー?」


アル王太子殿下はネストと魔法剣術で手合わせをしてみせます。二人とも物凄い威力で剣を振ります。ネストは主に剣技で、アル王太子殿下は魔力放出で勝負しています。側から見てもなかなか迫力があります。二人とも怪我をしないといいんですが…。


「わー!」


「銀髪のお兄ちゃん頑張ってー!」


「黒髪のお兄ちゃんも頑張ってー!」


そして二人は案の定大怪我をして勝負は引き分けです。よく頑張りました。ビビさんの光魔法で怪我を治してもらいます。


「わー、すごーい!」


「一瞬で治ったー!」


「どうやるのー!?」


リトは得意な手品を披露します。昔はよく見せてもらったなぁ。


「じゃあ十三番!」


「はい。…ほら、スペードのエースだろう?」


「わー!」


「本当だー!」


「なんでー?」


そうして最後に、ヴィドが錬金術を見せます。


「これを、ここに入れて、この粉を、ま、混ぜます」


「うん!」


「すると…ほら、ポーションの完成です」


「へー、こうやって作るんだー」


「ねえねえ、飲んでみたーい!」


「い、いいですよ。ど、どうぞ」


「…わー!ポーションってこんな味なのー?美味しー!」


「こ、これは子供用ポーションで、大人用ポーションは苦いから気をつけてね」


「えー!?苦いのー?」


「うん、で、でも効果はその分大きいよ。りょ、良薬口に苦しだね」


「?」


「よ、よく効くお薬はちょっとだけ苦いってこと」


「えー?甘くてよく効くお薬はないのー?」


「も、物によるかな。げ、下剤なら甘いのもあるよ」


「下剤なんて要らないよー」


ヴィドもすっかり人気者です。


「では、今回はこれで失礼します」


「みんな、付き合ってくれてありがとう」


「お姉さんもお兄さんもありがとう!」


「また来てねー!」


「はは。また来月な」


ブルローネ先生は子供達一人一人の頭を丁寧に撫でてあげます。


そうして私達は馬車で学園に帰るのでした。

ブルローネ先生の重大な秘密

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