アルスとアビット
ナルミが道を歩いてると
目の前に町が見えてきた。
町までは距離があるが
砦みたいな門が見える。
「やっと町に着く
着いたら先ずは換金して飯を食いたいな」
ナルミは飯の事を考えると
お腹がグーと鳴る。
色々な料理を思考し足が止まる。
「久しぶりに味がついたものを…」
「あんちゃん逃げろ!!!」
後ろから大きな声が聞こえ振り向くと
道沿いの森からダッシュボアがナルミに突撃してきた。
ダッシュボアは一見猪のようだがとてつもなく速い。
走る音が大きく、特徴ある為、普通は気づくのだが
飯の事を考えてたナルミはダッシュボアの音が
聞こえてなかった。
「えっ!何?ゴフファァァァァ!!」
ナルミはダッシュボアから突撃され跳ねられた。
きれいに空中回転しながらバタンと地面に落ちる
ダッシュボアはドドドドと大きな音を出して
反転してナルミに向かってくる。
「ちょっと!ちょっと待ってって!!
グファァァ!!」
声も空しく流れて体を踏みつけられて
ダッシュボアは森に戻って行く。
その場で倒れてるナルミに
アルスとアビットが近づく。
「おーい!あんちゃん大丈夫かぁ?
生きてるかぁー?」
「なんとか…生きてます…」
「なら良かった!ガハハハハハァ」
「笑い事じゃないですよ!アビットさん!
直ぐに手当てしないと…」
「ハァ…ハァ…大丈夫ですよ…
復…元…」
横たわってるナルミが復元を使うと体の傷が元に戻る。
そしてゆっくりと立ち上がり服の砂を落とす。
「治癒魔法の使い手なんですか?」
「まぁそんなところです…
さっきは声ありがとうございました」
「良いって事よ!まぁ跳ねられたけどな!
きれいな回転だったぞ!ガハハハハハ」
「だから笑い事じゃないですって!もぅ…
とりあえず大丈夫なら良かったです!
私はアルスです
笑ってる彼はアビットと言います!」
「ガハハハハハ!よろしくな!あんちゃん!」
「あぁどうも自分はナルミって言います」
アルスとナルミは軽く礼をした。
アビットは笑いながらナルミの右手を強引に掴み
握手する。
「さっきですけどダッシュボアの音
聞こえなかったんですか?
凄い音出してたのに…」
「飯の事考えてて気づかなかったです…」
お腹を抑えて恥ずかしそうに答える。
「飯に集中してあの音聞き逃すなんて
どんだけだよ!ガハハハハハ」
「だから笑い過ぎですって…ハァ…
ご飯の事考えてたって事は
ナルミさんはあの町に行くのですか?」
「えぇ あの町に行く予定ですよ?」
「なら一緒に行きませんか?
さっきの事もありますし…」
「そうだぜ?あんちゃん!
俺達もあそこに戻るつもりだしな」
優しそうな人たちだな!
そう思ったナルミは二人と同伴して
町に行くことにした。