モークシャの森
「この森 思ったより広いな…」
ナルミは魔物を狩りながら
2週間森で生活していた。
(そろそろ街道についても良い筈だよな?)
疑問に思いながら前に進むと
思い出した様にスキルを使う。
「そういや 会得はマップ会得する事出来るのか?
マップができりゃ理解と保存で
オートマッピングまたは街道まで出れるかも…」
ヘルプを使えばハジメさんが教えてくれるかも
しれないが基本的に自分はマニュアルに頼らない
タイプだ。
自分が選んだスキルは本来、選ばれない物らしい。
何故なら大雑把だからだ。
会得なんて何を会得するかなんて自分次第。
スキルや魔法、技を会得するのか
選べるからまぁ、良しとしよう。
理解は何を理解するかなんて大雑把。
(言語理解ならともかく…)
保存も何を保存する必要がある?
異次元収納袋があるのに?
知恵はまぁ、森での生活では役に立っているが
他で何に役に立つか不明。
転ばしなんて言葉の通り転ばすだけだ。
魔物の隙を作るのに役に立つが
本来は選ばないし普通は目にも止めない。
転移なんて移動出来るらしいが
来たばかりの自分にはまだ役に立たない。
復元なんて何を復元するんだ?
衣服がぼろぼろになった時には役に立つ。
体のケガも治るから役に立つが
最初のスキルで復元なんて選ぶ人はそういない。
(普通の人は治癒を選ぶからだ)
転生、転移系の主人公若しくは勇者なら
超肉体強化や超魔術適正なんて
チートなスキルを神からの祝福で貰えるらしいし
食べた分だけ、倒した分だけ
魔物の固有スキルを得るなんてありふれている。
まぁ、自分の場合は神ではなく
神界社の会社員からなのだが…
ハジメさん曰くこの世界には
幾つもの神がいるらしい。
国に召喚されてる人がいるかもしれないらしい。
だが自分は旅行に来たのだ!
そんなチートスキル持っていたら
国に匿われ魔王退治とか世界を救うなんて
目に見えてしまう。
そんなのは嫌だ!!
自分がしたい事は自分で決めたい!
人に言われてなあなあと流されると
やりたくない事をする事になる。
だからあまり人が選ばない大雑把なスキルを
選んだのだ!
まぁ、だからと言って大雑把過ぎて
自分でもスキルをよく理解してないのは
あれなんだけど…
とりあえずは試しだ!
会得マップを念じる。
目の前にウインドウが表示される。
マップをスキル化しますか?
(マップは現在地から5㎞まで見ること可能)
はいorいいえ
orを使うならYes or Noだろ…
当然「はい」を選ぶ。
頭にスキル:マップ会得とアナウンスが流れる。
更にスキル:マップはスキル:知恵の効果で
スキル:理解、スキル:保存を合わせると
オートマッピング及び
マップ更新、千里眼機能を会得できますが
どうしますか?とアナウンスが流れる。
目の前にまたウインドウが表示される。
マップ機能を上昇させますか?
Yes Or No
(千里眼はマップ内の動くものを表示されます)
※ナルミ様の思考を読み取り知恵、理解により
はいorいいえ→Yes Or NOに変えましたm(__)m
知恵、理解にこんな機能があるのか!?
しかも絵文字って…
驚いても仕方ない
Yesを選ぶ。
頭にマップ機能上昇のアナウンスが流れる。
異世界だから仕方ないか
今までの日本の常識なんて
乖離したものと考えるしかないだろう。
改めてマップと念じると周囲の状態と
森の名前:モークシャの森、
円を描くように線が表示されている。
「ん?この線は自分が歩いた道筋か?
円を描いてるって事は
森を迷っていたって事か!
どうりで森から出れない訳だ…」
がっかりしても仕方ない!
マップを見ながら進めば出れる筈だ!
ナルミはマップを使った事で
迷ってた事に落ち込んだが気持ちを切り替え
マップを見ながら進む。
マップを見ながら進むと鬱蒼とした森から
抜け出る事に成功した。
目の前には砂利道が見える。
「やっと出れた!
歩いて数十分後に出れるって
俺の2週間はなんだったんだ…」
ナルミは2週間の疲れがどっと現れ
その場に座り込む。
休む為に収納袋から水と食べ物を
取り出し食べ始める。
「魔物がいないから安心して
充分に食事が出来るわ」
森での生活では地面にねぐらを作ってはいたが
魔物が多く現れる場所の為まともに食事が取れず
常に気を張っていた状態だった。
マップを見れば周囲に何がいるか分かる為
安心出来る。
「よし!食べれた!
いい加減 土寝床じゃなくて
木のベッドで寝たいからどこか
村とか探すか!」
ナルミはマップを見て近くに
ファステ町がある事に気づき
道沿いにファステ町まで歩き出す。
ファステ町にはある問題が起きていたが
ナルミは問題が起きてる事を知らずに
町まで向かう。
ナルミが町に向かっている最中、
森の草むらから二人の声が聞こえる。
「あいつよく森から抜けれたなぁ?
散々迷ってたのによぉ
まぁ、おかげで俺達も抜けれたがな
ガハハハハハ」
二人が森から出てくる。
二人は中世ヨーロッパに出てくるような
鎧と剣を着用しており、
一人は兜無しの大柄で茶髪。
口髭とモミアゲがくっついている。
パッと見れば熊みたいな存在だ。
もう一人は鎧に着せられてるような小さい体で
剣より筆を持つのがふさわしい青年だった。
「それは仕方ないですよ?
モークシャの森は迷いの森で有名なんですから!
警備兵が森からの煙を見て
町長へ報告して火事か確認するようにって
厳命されましたから!
管理兵としても町に火が回る可能性があるかと
何が起きたか確認しないといけませんから!」
「アルスは真面目だなぁ
お前と一緒に管理兵してなきゃ
この数日は毎日酒を飲んでたのによぉ」
茶髪の男は酒が飲みたそうに仕草をみせる。
「アビットさんは酒の飲み過ぎなので
良かったんじゃないですか?
とりあえず先程の人物が私達の町に
向かっているので尾行しますよ!」
「ヘイヘイ」
アルスから酒の注意を受け顔を反らして
尾行の言葉を聞き軽い返事で返す。
ナルミの後ろをアビットとアルスは
距離を置いて歩き出す。
アルスは見落としが無いように
ナルミを凝視している最中に
アビットは度々あくびをしては
アルスから注意をされていた。