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マニュアル

白い部屋で大量の書類に囲まれた机の上で

デスクワークに勤しむ眼鏡を掛けた男がいる。

パッと見はオールバックの髪型でちょこんと

垂れた2本の前髪がカマキリの鎌みたいになっている。

今行っている書類を終えて次の書類に手を伸ばした所で

机の前に扉が現れ開く。


「おーい、ハジメ元気で働いてるか?」

白髪の髪に黒のスーツを着た男が現れる。

ハジメはその声に驚き書類を落とす。


「ニーキア、珍しいな!ここに来るなんて!

お前は別界監査部だろう?」

ハジメは眼鏡を外しニーキアに近づく。


ハジメが働いてる神界社は色々な部があり

ハジメは別界派遣部、ニーキアは別界監査部で働いてる。


「いやな、お前が初担当した客について聞きたい事があってな

ついでに同期の顔を見に来たわけよ!」


神界社の別界派遣部は基本的に別界に人を転移または転生

させる時に担当する部門であり細かな話をして

送り出す所である。


別界監査部は別界にいる人達が各別界の規程範囲内で

逸脱した行為を行ってないかを定期的に確認し

逸脱した場合、神罰部門へ報告する部門である。

その為、派遣部での客の情報を監査部へ提出する規程があり

逸脱した行為を行った客の担当は人事部から

適切な裁きを受ける。

その為、派遣部と監査部は横のつながりを持つ。


「自分が担当した客って事は鳴海さんの事?

もしかして逸脱行為を行っちゃった?

それとも転移する時に自分何かやらかしちゃった?」

弱腰になりながらニーキアに質問する。


「逸脱行為はしてないんだが

渡したスキルや持ち物に気になることがあってな」

そう言ってニーキアは持ってきた鳴海の書類に目を通す。

「このスキルと持ち物は範囲内なんだが

こんな使わないスキルとかで良いのか?」

そう言ってハジメに書類を渡す。


「何々…魔法は《#&$%属性》、持ち物は《旅のお供に#&¥》、

短剣、異次元収納袋、スキルに《$#¥%》、《¥&$&》、

《&$%$¥》ext…あぁ、これで良いって言ってたよ」

ハジメは目を通した書類をニーキアに戻す。


「まぁ、本人が良いって言うなら問題ないけど

鳴海って人は珍しいタイプだな

普通の人ならチート系の物を選ぶんだけどな!」

「まぁ、普通の人ならそうかも知れないけど

こっちの方が面白いって楽しそうに選んでたよ?」

「なら問題ないわ!ハジメの初担当の人を俺が担当するから

聞いておこうと思ってな!」

「ニーキアが担当するなら何かあったら連絡くれよ!

一応、ヘルプ機能は持たしてるから問題ないと思うけど!」

「あぁ、任しとけ!とりあえず、この後暇?

暇なら久しぶりに近くの飲み屋で飲まないか?」

「あぁ、今日の分の書類も後少しで終わるから

その後なら問題ないよ!飲み代は割り勘だよな…」

「当たり前だろ?ワハハハハ…んじゃ、後で!!」

「あぁ、後で!!」

些細な話もしながら楽しいニーキアとの会話は終わり、

ニーキアが扉から出ていく。


ニーキアが出たのを確認してから机に戻る。

(…ニーキアが担当するなら問題ないか…

…まぁ改めて見ると普通なら選ばない物ばかりだもんな…)

ふぅっと息を出し目の前の書類に目を戻しデスクワークに

集中する。


(…とりあえずは全額奢らせられない様に今日は飲むか…)

その後のニーキアとハジメの飲み代については

夜風と共に流れて後でハジメが後悔する事になった…


~その頃鳴海は~

鳴海は目の前の草原を見張らして流れる風に

体が包まれる感覚を得ていた。

(…風が気持ち良いな…先ずはハジメさんが言ってた通りに

ステータスでも見てから動き始めるか…)

鳴海はステータスと心で念じて目の前にステータス表示が

掲載される。


~ステータス~

名前:ナルミ、レベル:1

HP:25/25、MP:26/26、

魔法属性:土、スキル:理解、転移、知恵、転ばし、保存、

会得、復元

持ち物:短剣、旅のお供に卵、異次元収納袋、長袖、ズボン

魔法:ホール、生活魔法


(ステータス見て思ったけど異次元収納袋があるのに

スキルで保存を選ぶ人いないよな…同じ様なもんだし…

転ばしも普通は選ばんし

魔法のホールは単なる落とし穴だもんな…

旅のお供に卵は一定時間経つと卵から魔物のペットが

生まれるけど何が出てくるかランダムだから

スライムが出てくる可能性があるって

ハジメさん言ってたな…

知恵と会得があるから何かあったらなんとかなるだろ!)


鳴海はステータスを閉じて歩きだす。

ある程度歩くと草原から抜けて森の中に入る。

森の中にはスキル:理解のおかげで制限があるが魔物の位置、

知恵で魔物の情報が分かる様になっている。

最初に見つけたのはRPGお馴染みのスライム。

旅行に来ているが暫くは自衛のためにレベルアップを

しなければならない。


初めての戦闘に焦りながらも高揚している自分に

落ち着かせゆっくりとスライムに近づく。

自分の持っている短剣の範囲にスライムが入ると

思いきって短剣を立てに振り抜く。

上手くスライムに当たり

スライムがあった場所に水溜まりが出来た。

スライムの討伐に成功した様だ。


「まぁ、初めての戦闘の割には上手く出来たかな!」


周りを見渡すと蟻の形で尾の部分が蜂針で

地を張って歩いてるアントビー(Lv.6)や

小型の狼の形をした蔦動植物グリーンウルフ(Lv.8)がいる。


全体的に自分よりもレベルが高い為正面から

ぶつかってもやられるだけ回復系の魔法は生活魔法で

あるが襲われれば即死だろう…

(…この場合は奇襲だな)


先ずはグリーンウルフに目標つけ近くに向かう。

グリーンウルフは基本的に集団行動しているらしいが

こいつは集団から離れてしまったんだろう

そんな思いを考えながら風上の位置につき、

魔法:ホールを試してみる。「ホール」


グリーンウルフの真下に落とし穴が突如出現し

グリーンウルフが落下した。

ホールの横には穴を開けた分の土が山になっている。

落下したホールの中を覗いてみると

約10m位の縦穴でグリーンウルフが必死に出ようと

蔦を伸ばしている。


「このままじゃ、脱出されるな…

よし!生活魔法の火を使うか!」

生活魔法には野営に使える様に火、水、簡易回復が使える。

近くに落ちていた木の棒に生活魔法:火をかけ松明のように

燃えあがる木の棒をホールに落とす。

ホール内のグリーンウルフに着火し悶えながらも

蔦を地上に向けて伸ばす。


しかし地上に向けて伸ばした蔦も燃えていき

ホール内には燃焼によって煙が発生し

グリーンウルフは見えなくなった。


煙が落ち着くまで周囲を監視しながら

ステータスを見る。

レベルが1から5に上がっていた。

奇襲が成功したと思い、笑みを浮かべる。

煙がなくなりホール内の確認をすると

グリーンウルフだった物が横たわっていた。


収穫出来る物がないか確認するために

グリーンウルフだった物に転移を試してみる。

転移は場所を指定して移す事が出来る。

簡易に言えば足元にある物を限定範囲内に

移動させるものである。


スキル:転移を念じて場所を指定する。

ホール内の地面をホール横の地面に移動させる。

ホールの横に燃え尽きたグリーンウルフが出現した。


触ってみるとボロボロと崩れて核となる物だけが残った。

グリーンウルフの核となっていた物は約5cm程の大きさで

煤を取り除くと緑色に輝いている。


「これが魔物の核か…

最初に倒したスライムは水になったけど

核とかあったのかな?」


疑問に思いながらも袋にグリーンウルフの核を収納し

ホールに目を向ける。


「このままじゃまずいよな…

よし!穴を保管して元に戻すか!」

スキルの保管を使用しホールをストックした。

ホールがあった場所に地面が戻ったが

土山だけが残っている。


「土山も保管してホールを使った時に

生き埋め出来るようにしてみるか」

悪い顔でニヤリと笑いながら保管を行う。

土山もストックし戦闘前と変わらない状態に戻った。


「保管のストック数は限度があるが

異次元収納袋ではストック出来ないものを

ストック出来るから良いよな

対人戦闘でも魔法とか保管して防いだり

出来るかもしれないから使えるな」


色々考えながらアントビーに気づかれないように

その場を離れる。

「とりあえずは初戦闘も終えた事だし旅を進めるか」

ナルミはゆっくりと歩き始める。

鬱蒼としている森の中を野宿しながら歩き回る。


野宿している時は奇襲されない様に気をつけて

ホールを使い地面の中で隠れる様に寝て過ごす。

ホールは縦穴、横穴に分けて使用出来たので

このような方法で野営した。


食べ物に関しては知恵を用いて

毒草と食草を分けて食べる様にした。

森の中にも慣れ歩き進める。

いつまでも続く草木を見渡しながら

色々と収穫して旅を進める。

森の中で色々な者達に観察されてるとも

知らずにゆっくりとナルミは歩いていく。

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