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感想を聞かせてよ、捨てた現実世界に花が咲き始めた状況の!(リメイク版)  作者: カラーコーン人間
第1章、こんなクソみたいな現実に感想だと!? どこかのラノベみたいにゲームに閉じこもっていたいね!!
9/111

8ゲーム、攻略法がない現実世界はいつだってチュートリアルのない、いわゆるフロムゲーだ

9月2日、登校日に慣れないといけない日付として有名だ。


『絵は良いんだけどさ、クエストつまづいちゃってやる気が出なくなった……』

『ギルドの人たちに追い出された、もうCSOやめる~』


「あらら、また荒れてるなぁ……」


CSOにまつわるSNSの投稿、そこには数々のプレイヤーが感想を書いているところだ。


動き・絵・ストーリー、どれも三ツ星級だ、などといった好評もあれば、やりにくい・関係もつれる、などといった不評もある。しかしカスキが朝の教室の自分の席で探していたのは、


『初心者ステージなのに緊急クエストっていうの? あれでぼっこぼっこにされた!』

『そうそう、最高レベルのフレンドと一緒に行ったのに全滅したんだよ。何なのあのキメクトの力……!?』


「これだ、俺らのところ以外にもチートな緊急クエストあったんだ……!」


昨日戦った緊急クエストはカスキから見ても厳しすぎる敵だった。ましてや上位クエストならまだしも初心者クエストに現れていた、新人がそこに現れるのは当然、そうやって難易度を上げていたらまたやめる人が増えるだろう。


「いやでも、あれが偶然の可能性もまだあるわけか……? 上位クエストにも同じくらいのチート級緊急クエストが来るのなら、昨日のは運が悪かっただけだろうな」


などとカスキは考えて、ひとまずこの話は置いておくことにした。


教室の後ろの扉がガラガラと開くと、イツメンのスミ、リョウ、ラクが来た。


「あ、Lapin殿でござる」

「何でリアルで言ってくるの!?」


デジャヴすぎてカスキはビビっていた。薫ならまだしもヲタク常識のあるスミが言ってきたのは意外だった。


「聞いたよ、昨日あの後から新人教育をしてたって」

「え、どうしてそれを?」

「お前のファンに聞いたんや。それにしても水くせえなぁおい、何で俺らも混ぜなかったんだよぉ?」

「そ、それはごめん。リアルで知ってる人だからいきなりだと、さ?」

「なるほどなぁ、してそいつは俺らも知ってるんか?」

「……」

「あ、黙った」

「吐けぇぃ! そして楽になれぇぃ!!」

「おいやめろやめろ! ギブギブ……!」

「あんたたちうるさいわね! 朝くらい静かにできないわけ!?」


ヘッドロックを喰らい満身創痍なカスキの虫の声を押しのけるように注意したのは、いつぞやのアンチヲタク、丸秘翔子だった。


「あ、自称秘書や」

「そ、その呼び方はやめなさい! 私はちゃんとした秘書です!」

「へえ、どんなことしてんのさ?」

「そ、それは……、スケジュール管理とか」


カスキがすかさず挑発する、そして翔子は簡単に乗ってしまう。


「別のクラスなのに、しかもエリート推薦組の愛姫さんの授業調べてんのかよ……、というかそれくらい本人にやらせないと本人のためにならないだろ……?」

「う、うるさいわね! 愛姫様は完璧なのだから、私ができるところが少ないだけです!」

「手に余ってんのかよ、秘書いる意味なくね……?」

「そもそも秘書の仕事って、スケジュール管理・電話等の来客対応・情報管理・身の回りの環境整備の4つで、経営会社じゃないから必然的にスケジュール管理と身の回りの環境整備しかやることないんだよ」

「何やラク、せっかく人がイジっとんのにあいつに肩持つんか?」

「別にそういう意味じゃ」

「というかエリート推薦組に別のクラスの人が入ることは、暗黙の了解だけど禁止されてるから、環境整備もできなくなるでござるな……」

「全然役に立たへんやんwww」


今のリョウの正直な一言にさらに翔子はイラっときた。


「役に立ってるわよ! 実際に夏休みの間、スケジュール管理してて助かったってお褒めの言葉を頂けたのよ!!」


言ってることは上品だが、子どもの自慢話のような内容のギャップに違和感を覚える。


「へえ、そうなんや」


「しかもね、私との親睦を深めるためってことで、何回も食事に誘われたわ! ちょっと貯金が底を尽きそうだったけど……、お忙しい中私を誘うということがどういう意味かわかる!?」


中盤、声が小さくて聞き取れなかったが、それを聞いて思い出した男がいる。


「え、それって……」


『ある人にお願いして、買い食いや外食した時のレシートをもらってるんです』


利用されていることを、カスキは全てを理解した。


「愛姫様は本当に素晴らしい人よ、上品なお店をいくつも知ってて、普通では知ることのない食事のマナーや知識を丁寧に教えてくださって、『逆に』私に罪悪感を持たないよう割り勘にしているし、立つ鳥跡を濁さずってことでレシートとかのゴミは私が捨てると……」

「ぶふっ……! だ、だめだお腹痛い……、イヒヒヒヒ!」

「な、何よ!? 何がおかしいっていうのよ!?」


何もわかってない翔子の哀れな姿に、カスキは笑いをこらえきれなかった。


「教えてやるよ丸秘よぉ、それ、利用されてるぜ?」

「なっ!?」


当然、翔子は驚きを隠せなかった。


「ヒヒッ、ケヒッ! 愉快愉快! 矜持も未来も、お前の全てを捧げて愛姫さんに寄り縋ろうと!! ただ利用されるだけとは!! 惨めだなぁこの上なく惨めだぞ丸秘ぃ!!」

「あ、元ネタ分かったでござる」

「すげえなあいつ、一字一句覚えてアレンジできんのか」

「でもどういうこと?」

「耳貸せお前ら」


内緒話をしているのを翔子は気になったが、さすがにあの輪に入る気にはなれなかった。


「うわぁ……」

「ご愁傷さまでござるなw」

「確かにそれはおもろいわw」


ラクは別として、煽りスキルの高い2人にも笑いが伝染した。


「あ、あんたに……、あんたたちに愛姫様の何が分かるっていうのよ!!?」

「言ってあげなぁい! 無知の知で留まるのが身のためってもんやで?」

「良いこと教えてあげるぜ丸秘、お前はヲタクをバカにしてるけど、そのバカにしてるヲタクのその次ぐらいにはバカだから」


「「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ」」


さすがの翔子も、煽り度が高い高笑いにプツンと来てしまった。


「ちょっと、さすがにやりすぎだって……!」

「別に良いだろ、裏ではこいつだってヲタクである俺らを嘲笑ってるんだぜ? 反撃してストレス発散したって良いだろうがぁ?」

「元々根に持ってないくせに良く言う……」

「そうか、こいつらはどこまでいってもヲタクなのね……」

「へぇ、そんな返しができるなんてお前も読んでるのか? ジュジュっ!!?」


翔子の右ストレートがカスキに決まった。拳を左頬に喰らったカスキはそのまま後ろへふっ飛ばされて机や椅子に当たりながら倒れる。


「カスキ殿!?」

「カスキ!?」

「大丈夫!?」

「いてて、さすがに現実じゃ逕庭拳なんてできないか」

「もう良いでござるよそれは! よく平気にジョークが言えるでござるな」

「別に殴られようとどうってことないよ、精神的な意味じゃね。……テテテ、血の味がするわ」

「フシュー、フシュー……」

「獣みたいな荒れ具合やな」


涙目になって睨みつけ、鼻息まで荒くなる。それを見ていた女クラスメートもさすがに止めに入った。


「丸秘さん行きましょう……」


クラスメートが翔子を教室の外へ連れて行った。


「カスキくん保健室行こう?」

「逆逆、行かんほうがええて」

「え、どうして?」

「どちらかというとあいつらが保健室使うだろうなぁ。ここで俺まで行くのは火中の栗を拾うこと、これ以上は良くない」

「ヤバいことしてる自覚あるんだね……、そこまで気を使えておいてどうして煽っちゃうのかなぁ……」


「「「だって楽しいから」」」


煽り好きでクソなヲタク共の誕生である。


その後カスキたちは普通に授業を受けることにはなったが、1時限目、翔子は来なかった。

2時限目、中盤辺りで教室へ戻ってきた。

3時限目の移動教室、スタスタと歩くヲタクたちとは違ってトボトボと、翔子はまだ引きずっていた。

彼女について行く女クラスメート、彼女たちがカスキたちの後ろに、移動した先の教室でも後ろで、背中からの視線が刺さる感触がした。


しかし、このヲタクたちは常に学内で虐げられている存在であり好きなものがあれば問題ないと思う人種、1人を除いて、今更視線が強くなったところで関係ない鋼のメンタルなのである。


その後4時限目も特に何もなく昼休み、しかし呼び出しがあった。


『1年5組の赤谷くん赤谷くん、至急職員室に来てください』


声の主は担任のケンコバだった。

昼休み序盤から職員室へ行くカスキ、扉を開けて少し移動した先にケンコバがいた。


「さて、事情は分かっとるな? 聞かせてもらうで」

「はいはい……、手短に行きますよ」

「手ぇ抜こうとすな、ちゃんと話せ」

「手抜けないですよ先生!」

「昔のギャグすな!」


ひとまずカスキは嫌々ながらも最善を尽くして丁寧に話すが、どうにも主観が目立つ内容だったのでケンコバが『これはこうだったのか?』『その時お前何かしたんか?』といった質問が飛び交った。


「なるほどな、まず1つ言わせてもらうわ」

「なに?」

「俺の好きな漫画を現実で使って煽るな」

「教師が第一声で言うことかよ」


つまりはカスキと翔子が喧嘩した、しかし高校ともなると教師は無理矢理謝らせるつもりもないらしい。特にケンコバは本人たちで解決すべきだと考えている。


カスキに謝ってこいと命令する気もなく、翔子の親御さんに連絡する気もなく、一見やる気のない教師に見えるが本人たちの行動力に、あくまで期待しただけなのである。


少し拍子抜けな説教にもならない話を終えて、まあいいやと思いながら教室へ帰って昼飯を食べる。


ラクたちにも話すがそれといった内容でもないのですぐにスルーして、昨日のCSOの話をした。


「レベルはどのくらい上げられたのでござるか?」

「17だったかな」

「けっこう上がったなぁ! 上位クエストでお守りプレイか?」

「いやいや無理だって彼女のデータのストーリーとかあるんだから、ネタバレになっちゃうよ」

「……ふーん」

「じゃあどうやってそこまで上げれたの?」

「それがな、聞いて驚くなよ!」

「そんでさぁ、次のオリジナルアニメ映画の主演がどっかのイケメン俳優がやることになってさぁ、これがもしヒットしたら『お前の名は。』に続いて声優アワード主演男優賞がそいつに獲られる可能性があるんやって!」

「またこのパターンかよ!!」


閑話休題、カスキはラクたちに緊急クエストのこと、スワン隊のことを話した。


「初心者クエストで出るなんて運が悪かったねぇ」

「しかもカスキ殿が手に負えなかったとは、とんでもないでござるな」

「そうなんだよ、スワン隊が来てくれなきゃやられてたぜ。そこで『E-ZONES』としての企画考えたんだけどさ、俺らで緊急クエスト攻略しようぜ!」

「うーんイマイチ弱いでござるなぁ」

「そうか?」

「たとえば『乱スマ』の挑戦者全て勝つまで終われないって企画とだったらどっちが良いでござるか?」

「まあ、明らかに後者か」

「まあカスキ殿の提案も悪くないでござるよ? しかしギミックを用意するとか、ハンデつけてクリアを難しくして視聴者をハラハラさせる捻りが欲しいでござるな」

「分かったよ、もうちょっと考えてくるよ」


一段落会話を終え、しばし沈黙の食事が続いていた。


「カスキ、おめぇ女できたんか?」

「ぶっ!? 何だよその質問はよぉ⁉」

「だってお前さっき、彼女の……、って言ったやんけ」

「あぁ……、そういう」

「ついにカスキ殿も女ができたでござるか、無縁に等しかったのに」

「おいそれは失礼だろうがよ」

「彼女に?」

「俺にだよ!」


そんな仲良しな会話も終え、5時限目、6時限目と授業が始まり、そして終わる。終礼が終わっても特に何もなく今日の学校が終わった。


「あーやっと学校終わった、にしてもリハビリに良くない授業ばっかだった……」

「リハビリって……、単に予習復習してないだけだよ」


昨日は午前で済んだのだから、ある意味今日が地獄の日だったのかもしれない。今朝の件もあったが、先ほどまで何をしたのか記憶がないほど、授業内容がカスキの頭の中に入っていなかった。


そして問題の翔子といえば、どうやら心を落ち着かせていつも通りの生活ができているようだ。


このまま何の衝突もなく帰れそうだとカスキは考える、ケンコバは謝ったほうが良いと思うぞと言ってはいたが突っかかったら突っかかったで火に油を注ぐ始末だ。


ただでさえカスキ自身は『まあ、完全に俺が悪いわけじゃないし、謝る義理はないか』という自己評価だ。このままでは永遠にカスキと翔子の間に溝が深まるばかりだ。


だがそれも、社会というものなのかもしれない。人類皆仲良くというわけにもいかない、そんな空気も、皆分かっていることだ。


結果としてカスキは、何事もなかったかのように帰る支度を始める。


「さーてこれで家帰れるわけやな」

「カスキ殿、我は家事終わってからなら空いてるでござるから、一緒にゲームできるでござるよ」

「お、良いねぇ! じゃあ一足先にゲームしてるぜ!」

「さーて俺は部活や部活!」

「ちょっと待ってよみんな、掃除当番今週だよ」

「えーめんどくせー、てきとーに済まして帰ろ……」


「あ、いた! カスキさ~ん!!」


「「「「……!?」」」」


馴れ馴れしくカスキの名を呼ぶ可愛げな声、その正体は言うまでもなく……。


「愛姫さん!? な、何の用ですか……?」

「一緒に帰ろうと思いまして、迎えに来たんです」


先ほどまで廊下で呼んでいた薫が、何の抵抗もなく教室に入りカスキの腕を組んだ。


「えぇちょっと近すぎですって……、はっ!?」


積極的すぎる薫の行動、間合いも何もないほどの近距離がカスキの鼓動を速まらせる。


しかし、今にもカスキの心臓を停止させるような戦慄が肌を撫でる。


「え……、ちょっとまて。これはいったいどういうことなんだ、あかたにかすきぃぃぃぃぃ!!」





「だぁから、さっきも言っただろうが! 俺より学習能力がないのかお前は……」

「今訂正すれば息の根を止めなくて済むということだ、愛姫様をたぶらかしたのか脅したのか洗脳したのかはっきり言ってみろ、え?」


もはや翔子の目は何の光もない、ヲタクで言うヤンデレと言うような濁った色だった。


掃除をすっぽかしてまで時間を翔子の交渉に費やしたカスキたち、しかし翔子の思い込みは激しいようで、全くカスキの言葉を信じてはいなかった。


そしてそれは、スミたちも同じだった。


「うーむ、今回ばかりはさすがに信じがたいでござるな。まさかお嬢様である愛姫殿が我らと同じヲタクだったとは……」

「うちは信じるで、人がヲタクになるのに理由なんてあらへんからな」

「僕らもヲタクになる前は普通の人だったとは言っても、今の丸秘さんじゃ信じてくれないだろうなぁ……。あの目、もはや殺人を犯してもおかしくないほどだよ……」


さすがの傍観者だった薫が、カスキのフォローに入る。


「丸秘さん落ち着いてください、私は自分の意思でオタクになっただけです、カスキさんは私の知らないことを、隅々まで丁寧に情熱的に夜遅くまで教えてくれただけです!」

「ちょっとまって! そういう言い方はまじで誤解生むテンプレだから! リアルでそういうの聞けて面白いけど今はシャレにならん!!」

「隅々……、情熱的……、夜遅く……、産む……、だと!?」

「最後のは違うぞおーい」


もはや何を言っても通用しない耳になっているようだ。


「そうか、やっぱりそうか。フフフ……、あかたにかすきぃ、昨日の助けた事故から色々と愛姫様を汚けがしたらしいな。短時間でここまで仕上げたのはあえて称賛するとして、貴様には引導を渡しておくべきだな」

「おい、聞けよ丸秘。違うって言ってんだろ……」

「貴様らヲタクにとって大事な両目をくりぬいて、恐怖の感触しか味わえない状態になるまで木っ端微塵に叩きのめしてやる。フフフ……、あぁそうしよう、そうすることで愛姫様はやっと救われる……」

「話きけやおい!!」


妙な笑い声を出しながら恐ろしいことを考える翔子の目を覚ますために、リョウが大声を出す。


「リョウ?」

「カスキ、ここは俺に任せろ。さっきから我慢できなかったんや。おい丸秘、前から聞きたかったんやけど、なんでそこまでヲタクを目の敵にするんや。俺らが以前になんかしたっちゅうんか?」

「いることが問題なのよ、私は貴様らのようなヲタクが大嫌いだ! 貴様らみたいなダメ人間がこの社会にうじゃうじゃといるだけで鳥肌が立つ! ヲタクはこの世から消えるべきなのよ!!」

「何が嫌いかより何を好きかで己を語れでござるよ」

「てかそれだと愛しの愛姫さんだって消えるやんけ」

「そんなに信じられないなら見るか? 昨日俺と愛姫さんとPOINTでやり取りしてる文を」

「は……? POINTですって」


どうやらまた地雷を踏んだようだ。


「え、何? また俺何かやっちゃいました? POINT交換することすら」

「ど、どうして私を差し置いて……、断られて、立場を弁えてメールだけにしているというのに……」

「断ったんだ愛姫さん」

「だって……、POINTのアイコンとか壁紙とか色々なところを趣味全開にできるじゃないですか。だから家族すら登録してなくて……、カスキさんが初めてなんですよ」

「おい、その言葉はまずいって……!」


初めて、に反応した翔子は、ついに手を出した。


カスキの手にあったスマホをひったくり、教室の窓から投げ捨てようとする。


「おいっ!!」


その動きに唯一反応していたリョウが翔子を止める。


「お、おぉナイスリョウ! 助かった……」

「は、離しなさいよ!!」

「アホかおめぇはよ、ヲタクにとってスマホがどんだけ大事か知らんやろ! ヲタクでなくてもすげえ大事なものなのによぉ」

「うるさいうるさいうるさい!! 私を腹立たせるお前らが悪いんだ、こんなもの!!」

「今のセリフ、ちょっと萌えでござるな」

「こんな時にヲタク要素出さんでええから、誰かこいつを抑え……」


ムニュ、と感触がした。


「え?」

「あ」


適当に抑えてしまったため、リョウの右腕は翔子の腕を抑えているが、左腕は身体を抑えるつもりが勢い余って翔子の胸を鷲掴みしてしまった。


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


そこから翔子の動きは洗練された柔道の投げ、スマホを手から放し、代わりにリョウの右腕を掴んで背負い投げをする。


「リョウーーーー!!」


投げられた場所は教室の窓の近く、リョウは翔子に投げられ窓から落ちてしまった。

【プチメモ】


カスキたちヲタク組は特別中の特別な推薦により入学ができました。しかし一般の翔子たちと同じクラスです。

エリートの中のエリートである愛姫薫は別クラスで、なかなか近寄りがたい存在なんです。

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