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感想を聞かせてよ、捨てた現実世界に花が咲き始めた状況の!(リメイク版)  作者: カラーコーン人間
第2章、車や電話というデジタルな現実になったのに、なんでこんなに走り回らないといけないんだ!?
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16ゲーム、さあゲームの住民よ! 現実世界にはできない反撃を今ここで始めようではないか!!

8月下旬に行われたメンテナンスで導入されたであろう『緊急チートクエスト』略してキチク、しかしその実体は、初心者クエストにのみ現れて初心者が参加していないといけないという何のメリットも生じないものだった。


しかしそこへいち早く謎を解いたのがLapinという女アバター、中身は男子高校生である。


運営の意図を察知して、ラビット隊のリーダーであるLapinはスワン隊のデネブと話をすることとなった。


「やるじゃないLapinちゃん、その推測は合ってると思うわ。この少ない情報でそこまでたどり着いたのは称賛すべきことだわ」

「相変わらずの上から目線ね」

「いいわよ、それじゃあ攻略会議を始めましょう!!」


そして、ラビット隊とスワン隊両方の初心者が話し合い、共通する次の目標クエストを設定することにした。通常のクエストでは4人1組でしか一緒には戦えないが緊急クエストという高難易度になれば協力プレイが可能になる。時間を指定して同じ時間から始めて後に合流するという話になった。


さらにお互い、撮影する必要もあるのでその準備が必要ということで、決行は1時間後となり、一度解散した。


……の前に、カスキとデネブが話し合っていた。


「それにしても、ちゃんと約束を守るのね。正直意外だったわ」

「は? 実際リアルで会ってああやって約束したじゃねぇか」

「だとしても、私たちは一応敵、という認識でもあるのよ。お熱い『ライバル』なんて関係とは、近からず遠からずなんですもの。そんな相手に、ちゃんと情報提供するなんてね。私だったら普通に独り占めするわよ」

「はっ! 嘗めんなよ、そんないかにも現実らしく汚い大人のようなことするくらいなら損得関係なくその逆を行ってやるよ」

「むしろ潔いわね」

「それに……、これはゲームだ。みんなを楽しませるのが俺たちプレイヤーにとっても、ミルチューバ―でも、変なことしてるけど運営でも、同じ目的だ。それを情報だとか内密とか息苦しい世界にする気はさらさらない!」


情報が勝利につながる、現実世界でもゲームの世界でも共通する掟だろう。しかしそれを約束しているにもかかわらず秘密にするという変なプライドがカスキにとって嫌いだった。


ゲームの世界を現実世界のようにしたくない、カスキはこれしか考えていなかった。



森の奥に潜む寂れた遺跡、その中の奥にある魔導書グリモワールを入手して村の村長に渡す。これが今回、というより最後の初心者クエスト内容だ。そして、


「E-ZONESの世界へようこそ! こんにちはE-ZONESのLapinと、」

「ジョイでーす」

「今回は注目の現象、緊急チートクエストを攻略したいと思いま〜す!」

「けっこう強くて今問題になってるよね〜」

「そしてこの後のキチクに出会うため、実は初心者の力が必要なんです。紹介しましょう、我がラビット隊の新メンバー、フレイバさんでーす!」

「よ、よろしくお願い致しますっ!」


Lapin・フレイバ・ジョイ・キリは、すでに遺跡の中に入って魔導書が置かれていた部屋までたどり着いた。もちろん遺跡内にはモンスターがたくさん潜んでいたが、上級者の前では意味を成さなかった。


薄暗い廊下、その中でも活発に攻めてきたモンスターと戦い続けたLapinたちにとって、魔導書が放つ神々しい光に包まれた部屋は見違えるほどに綺麗だった。


「すごい光……、じゃああの魔導書を手に入れればクエストクリアってことですか?」

「うーん……、半分正解半分不正解」

「どういうことですか?」

「まぁ、さらりと魔導書をゲットできるんだけどこの後も戦闘があるということだよ」

「しかし懐かしいね! 思えばこれ、地味に重要になってくるのよね」

「そうそう! 村の遺産の一つだった魔導書を取り戻してきたお礼に、中の文をコピペしてもらえるってやつだろ? それ使って武器生成する時の属性選べるんだったよな!?」

「そうだけどコピペって言い方やめろ! 副書版な!」

「確かに懐かしいけどそれ、フレイバさんにとってネタバレになってない?」

「「あ……!」」


この後滅茶苦茶謝った。そして編集でカットされた。


「とにかく家に帰るまでが遠足と言うように、村長に渡すまでがクエストということよ。出るわよ……」


魔導書を出て遺跡を出た、帰り道に阻む普通のモンスターは除外した。だがあくまで普通のモンスターは、だ。


ウーウーウー!


「全く、わかってても心臓に悪いぜ……」

「ほんそれ、って感じだよ。上級者なはずなのに二度と会いたくないって思えてくる……」

「リベンジですね、Lapinさん!」

「えぇ、いくわよみんな!!」

「「おぅ!!」」「はいっ!!」


Lapinの合図と共に、3人がキメクトの大群に突撃する。


「よしっ、私は空中に行くわ!!」


Lapinは皆が戦う地上よりも先に、空中のキメクトたちを倒すことを優先した。遠距離攻撃でも届くだろうが数が多い、射程が長くさらに連射が可能な攻撃手段を持つ者はこの場にいなかった。


よって、空中戦が得意で連続技を繰り出すことができるLapinが対処するしかなかった。飛んでいるあのモスビーは蛾と蜂が合わさったようなキメクト、空中から急降下して針を刺してくる。それが大量に襲ってきたらもはやダメージありの雨状態、前方や後方だけでもきついのに頭上まで攻撃されては歯が立たない。


「『トゥーステージジャンプ』からのぉ……、フルスキル!!」


飛脚を装備したLapinが二段ジャンプをする。前回はサブスキル『エアバウンド』を入れた三段ジャンプだったが、今回はそれを使わなかった。


「この前と、永良と一緒に戦った時に判明した! 二段ジャンプと『ラッシュスター』の突進力があればギリ届くっ!!」


右スティックを押し込むことで敵を照準することができる。照準して突進、言わば追尾のようなものだ。当てることができたLapinは次の動作に移る。


「『ラッシュスター』・『ストリングクロス』・『トルネードランページ』!!」


突進攻撃を終えた後もすぐに次の小技を発動させる。『ストリングクロス』は縦横無尽に動き回って相手を混乱させながら攻撃する、派手な動きながらも理にかなった小技だ。Lapinの空中三角跳びはまるで張り巡らされた糸のよう、残像が見えるほど速かった。


最後の『トルネードランページ』は両足をぐるりと回転させることで竜巻をつくる小技、巻き込まれた敵は身体がねじれて跡形もなく消える。だがこれは所詮1・2体にしか影響が出ないほどの範囲、だが今回は10体も片づけてしまうほどの大きさだった。


なぜ範囲が広くなったのか、それはLapinがさっき言っていた『フルスキル』に秘密があった。


MPを消費して発動するのが小技やサブスキルだ。出したい小技を出すボタンを順番に押して行く、いわゆるコマンド入力をすることで『フルスキル』が発動する。セットした小技全てが流れるように発動して、最後の小技の威力がパワーアップして発動する。上手くいけば敵を一掃できる、これが『フルスキル』の利点だ。


発動条件は『MPが満タンであること』と『コマンド入力がしっかりタイミング良く押されていること』であり、欠点は使った後、どれだけMPを多く持っていてもしばらく0の状態で戦わなければいけない。MPを消費しない通常攻撃があるとはいえそれだけでは残った敵を倒すのは難しい。


だから『フルスキル』を使う良いタイミングは2つ。


ひとつ、最後の敵を倒す時だ。0になってもクエストが終わっていれば問題はない。だが今は始まったばかりだ。


ふたつ、レベルが上がる直前に使うこと。『フルスキル』を使って敵を倒すと経験値がもらえる、それでレベルがアップしてHPとMPが全回復する。しかしLapinのレベルは最大だ、増えることはない。


つまり、この後どうしよう……。


「とりあえず回復するまで守って~!」

「「ざけんな!!」」


キリとジョイが息をそろえてツッコむ。


「けどまだましかなぁ、空中のキメクト全て排除してくれたし……」

「けどさぁ、ただでさえ4人で倒せるかどうかわからないのに2人もまともに戦えないやつがいるんだぞ! どうするんだよこれ……」


通常クエストは最大4人1組、『キチク』は4人で倒すのは不可能だろう、さらに力を使い切ったLapinとレベルが合わない初心者フレイバ、お先真っ暗確信コースだ。


だが1つ例外点がある、それは通常クエストの場合、4人1組だということ。

これは、『緊急クエスト』だ。


「我が白翼が煽ぐ追風に吹き飛ばされよ! 『エスキュール・エデン』!!」


銀白の騎士、デネブがLapinたちを取り囲む合生蟲キメクトの壁に穴を開ける。そう、緊急やイベントのクエストに限り他のギルドメンバーと共闘することも可能である。


「お、ようやく合流できた!」

「待たせてしまってごめんなさいね、でも私たちスワン隊4人が加われば鬼に金棒よね?」

「それですけど、うちの隊長『フルスキル』使ったから今はザコですよ」

「キリ、あなたほんと口悪いわね! 確かに否定できないけど通常攻撃と回避でなんとかやってみせるわ、さっさと倒してしまいましょう!!」

「みんな目を閉じて、『閃光弾フラッシュバン』!」


ジョイがガンナー用の小技である閃光弾を放つ、これによりキメクトの動きをしばらく封じることができる。


「そっちが振動音の混乱を利用するんだから、こっちもお返しさせてもらうよ! ちょうどLapinの時間稼ぎにもなるからね!」

「ナイスねジョイ! おかげでだんだん回復してきたわ、みんな配置について!」


Lapinが双小剣に持ち変え、先制を取る。狙うのは甲虫カマキリだった。

通常攻撃とはいえ、双小剣による連続攻撃ならかなりのHPを減らせるだろう。そう思っていたが、


「うわ硬っ! さすがチートモンスター、こんぐらいじゃびくともしない。だが!」


Lapinがもう一度飛脚に変える、飛んでくる鎌と正面から戦うのを避けるため頭上から倒していこうという算段らしい。


「『トゥーステージジャンプ』&サブスキル……、っ!?」


甲虫カマキリの射程外でジャンプをしていた、なのにジャンプの途中で身動きが取れなくなって落ちてしまった。


(これはあのコオロギクワガタの振動音!? 一体どこからこんな高いところを……)


陰に潜んでいるのを警戒して空中戦に移行させた、なのにこちらの動きを攻略されてしまった。一体どうしてか、それは甲虫カマキリの頭上に秘密があった。


「カマキリの頭の上にコオロギクワガタが止まっている!? あのでかい図体で高さや攻撃範囲をカバーしたというの、ぐっ……!?」

「それだけじゃないみたいですね、他のカマキリの上にも止まってます。高いところからなら振動音の範囲が広くなって、僕たち全員混乱させることが可能になってます……」


デネブもジョイも、7人がコオロギクワガタの振動音で混乱して動けない。やはりチートすぎる、何人だろうとこれは敵わないのではないか!?


「残念ねチートキメクトたち、7人しか抑えていないんじゃ世話ないわよ!!」


ジャキンッ!!


甲虫カマキリの頭上、コオロギクワガタだけが何者かに切り裂かれてしまった。


「全く、Lapinと違って高いところそんなに得意なわけじゃないんだって! でもまぁ、暗殺完了!!」


どこからともなく現れて、カマキリの頭上に登って素早く仕留めたのは、Lapinと並ぶ双小剣使い、キリだった。

【プチメモ】


武器は片手剣、二刀流、双小剣、曲剣、斧、短剣、槍、他にも銃や鞭、魔法使い用の杖など様々ある。


二刀流と双小剣の違いは、素早さが双小剣のほうが有利で、リーチは二刀流のほうが有利である。

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