28 27歳のおっさん主人公
皆さんはラノベの主人公で27歳というのは、許されると思いますか?
俺はいてもいいんじゃないかと思います。
大体、転生系の主人公なんて、転生前の年齢が二〇代や三〇代なんて極々当たり前。下手すれば老人になって大往生した後、異世界転生とかしてますしね。
転生先では〇歳から始まったり、中には一〇代の思春期真っ盛りのお年頃に、前世の記憶を取り戻すってんだから……
あいつら精神年齢がとっくにおっさんの世代になってるくせして、子供ぶって、若い女の子たちとイチャイチャラブラブ。
べ、別に羨ましくなんかないぞ。
それに俺は若い娘より、巨乳であることが大事だからな!
しかしだよ、精神年齢が二〇歳や三〇歳……それ以上になってるおっさんどもが、若い娘を攻略していく光景を見るたびに、やつらはとんでもないエロ中年じゃないかって思うわだ。
見た目は合法でも、中身は完全に通報確実の年齢差じゃないか!
「見た目は青少年、頭脳はエロ中年」てか?
タクッ、どこぞで名探偵を気取ってるガキんちょ探偵より、質の悪いおっさんどもだ。
……ハアッ、俺も若い頃に戻れたら、羨ましくて、けしからんことができるのかな。
◇ ◇ ◇
さて、夢の中の師匠によって、ハートにダイレクトダメージを受けてしまった俺だけど、宿屋の娘さんの胸を見たら、割と元気になった。
その日はそれでログアウトしたけど、やはり大きな胸はいいね。
「世の中は膨らみと、豊饒の大地でできているんだ。リアルで女に捨てられたからって、俺にはまだ希望の大地が残されている。見よ、あの讃岐富士の如き盛り上がりを」
ちなみに讃岐富士とは、香川県にある山の事だが、平原の中にそこだけ整った形をしながらも、見事に盛り上がった山がひとつだけ存在している。
あれを初めて知った時の俺は、おっぱい山と名付け、その霊験あらたかなご利益にあやかろうと山登りまでした。
まあ、山登りといっても、グー○ルストリートビューによって作られた、VR(仮想現実)の讃岐富士を登っただけだがな。
現代の科学技術は、大体VR化が標準だ。
しかし、VRで再現された山とはいえ、間違いなくおっぱいの形をしていた。
「ヤッホー、俺は今巨大なおっぱいの上を歩いてるんだー!」
あの時の感動は忘れられない。
そのご利益のおかげか、次の日には神エロゲにも出会えたほどだしね。
とまあ、そう言う具合で、俺はすぐに復活できた。
豆腐メンタルだけど、目の前に餌を投げつけられたら、すぐに飛びついちゃうよ。
ログアフトした日の翌日は、絶が作ってくれたおにぎりだけの弁当を持って仕事へ行き、課金で財布がカツカツになっていても、なんとか昼食抜きの事態を回避できた。
わがままを言えば、おにぎりだけでなく、おかずも欲しかった。
だが、そのことを仕事から帰って絶に言うと、
「ジロー、お米だってタダじゃないんだよ!」
と、叱られてしまった。
「はい、すみませんでした。全部俺が悪いんです。本当なら、昼飯抜きになったはずなのに、絶のおかげ飢えずに済みました」
相手はホームAIとはいえ、俺より偉いのだ。
我が家の金銭管理だけでなく、家庭における全てが絶の管理下にある。
人間がAIに逆らえば、瞬く間に生きていけなくなるんだよ。
百年以上前から、AIやロボット(ドローン)が人間に対して反乱を起こし、それによって世界大戦が起こるなんて物語があるけど、現代だと間違いなく戦争にすらならず、人間の側が全滅してしまう。
大体家庭だけでなく、機械や食糧の生産の現場でも、人に代わってドローンが仕事をしていて、そのドローンたちはAI(人工知能)が制御している。
軍事にしても、軍事用ドローンが陸海空、さらには宇宙空間にまで展開している。
軍事力だけでも人間に勝ち目がない。
しかし、ドローンがサボタージュして食料生産を辞めてしまうと、それだけで人間は飢餓に襲われることだろう。
あと、水道事業とか宅配にしても、ドローンが欠かせない。
水に関しては語る必要すらないだろう。
これがないと、一日生きていけるかだって怪しいからな。
そして宅配を止められれば、アマゾ○で頼んだものが届かなくなってしまう。
そんな世界で、人間にどうやって生きて行けと言うんだ!?
俺たちは文明人だから、今更縄文時代に戻っても生きていけないぞ!
まあ、物語は所詮物語。
現在に至るまでAIやロボットの反乱など存在せず、今日も俺はホームAIの絶のおかげで、暢気な生活をおくれている。
事実と言う奴は、物語よりもひどく退屈なものさ。
というわけで、今日もロード・オブ・ラグーンをプレーだ。
「……って、緊急メンテかよ!」
「サーバー機器の不具合なんだって」
ふくよかなお胸に再会するため、今日もラグーンをプレーしようとした俺。しかし、とんでもない事態が襲い懸ったものだ。
ラグーンは全世界規模のゲームなので、日本時間で夜であっても、平気で夜間メンテをするのだろう。
「馬鹿な!あの宿屋の娘さんの胸を拝むことが出来ないだと。……俺は、俺は一体どうしたらいいんだ……」
「ちなみにエロ系のVRは、まだアクセス禁止だからプレーしちゃダメだよ」
「……」
忘れてはならないが、現在の俺は絶によってエロ系のVRを全て禁止されている。
「クッ、こうなったら本棚に置いてある本で我慢するか……」
最後の手段だが、青少年であれば家族に見つからないようベットの下に隠している本が、俺の家の本棚にはある。
「うへへー」
しかしなんだね。
こういうのは家族から見つからないようにして読むから、普段以上に興奮できるんだよな。
一人暮らしだから、家にいる時はいつでも好きな時に読めけど、なぜか青春時代真っ盛りだった頃ほどの喜びが沸いてこない。
やっぱりスリルがあると、楽しみがより一層引き立つのか?
とはいえ、俺は本に写ってるお姉さんのお肌を、ナデナデと執拗に撫でまわしてあげた。
VRと違って、触っても柔らかさなどまるで求められない。
反応も帰ってこない。
けど、たまにはお預け食らって我慢するのも悪くないかもしれない。
◇ ◇ ◇
その翌日、
「よし、今日こそ宿屋の娘さんのお胸に会いに行こう!」
「ジローの目的って、結局そっちなんだね」
「当たり前だ!」
俺はニカリと白い歯を煌めかせて、絶に笑いかけた。
昨日はお預けを食らったのだから、楽しみに出会えるこの瞬間が待ち遠しくてたまらなかった。
「まあ、ジローだもんね」
対する絶は、俺の輝くスマイルに魅了されるわけでなく、淡々としていた。
「ところでジロー。今回のメンテだけど、サーバー機器の調整以外にも、細かいバグの修正があったんだって」
「お胸、お胸……」
「ジローのステータスとかって大丈夫なの?ゲームを始めたら、なぜか吸血鬼になってたんでしょ」
「問題ない、全く問題ない。だから早くお胸に会いに行こう」
「……分かったよ」
俺、バグとかそんなのどうでもいい。
それより待っていてね、宿屋の娘のお胸さーん。




