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19 初心者ブーストパック

前書き



 第二章の前半部分があまりにもつまらなかったので、本日は五話分(一時間ごとに一話)更新します。(二話目)

「――フハハハハ、我は吸血鬼の真祖にして、闇の帝王スレイである。

 よくぞやってきた勇者ども!」


 ……なんてラスボス風のカッコいい台詞を口走ったとしても、今の俺には全く似つかわしくないけどな。



 いきなりどうしたのかって?

 いやなに、ちょっとした現実逃避、妄想だ。




 さて、現在の俺は革製の開拓民装備で身を固めた、野暮ったい格好をしただけのイケメン野郎。

 先輩からのレクチャーが途中で終わってしまったので、このゲームにレベルが存在しているかとか、重要な部分を聞き忘れてしまったが、まあいいだろう。


 そういうことは、その内分かるはず。

 俺は効率房ではないのだよ。



 とりあえずゲームのシステムより、この野暮ったい装備をさっさと一新してしまいたい。


「買い替えるべきか。でもMMORPGって、町の外で戦闘すると装備品がドロップするのもあるよな。あとは依頼を達成したら、そのご褒美に装備品をもらえることも」


 MMORPGはいろいろプレーした経験があるので、過去の記憶を呼び起こしてみる。


 ゲームの初期状態だから、適当にイベントをこなせば装備品の類いを手に入れられそうな気がする。


 とはいえ、あくまでもこれは過去にプレーしたMMORPGの話。

 中には敵から装備品がドロップしないゲームなんてのもあった。そのゲームでは、敵からドロップするのは素材だけで、それを拠点へ持って帰り、職人プレーヤーに金を払って装備品を作ってもらうという仕様だった。

 あのゲームでは、生産職の需要が半端なかったからなー。



 しかし、諸君。

 それはあくまでもゲーム内での話。


 俺はここに、第三の手段があることを知っている。

 正確にはメニュー画面から覗ける課金の項目に、初心者ブーストパックなる代物が存在しているのを発見した。


 ラグーン基本プレー無料のゲームだが、当然課金アイテムやガチャ、ブーストアイテムなど様々な物が用意されている。


 ――基本無料プレー可能なゲームで課金するなんて、バカのすることだろうって?

 ――課金をするのは卑怯者のすることだろうって?

 ――課金だと!?さすがは社会人汚い!俺ら学生は課金なんてせずに無課金でプレーしているぜ!


 ――それにお前、さっき効率房じゃないって言ってなかったか?リアルマネー突っ込むなんて、もう前言撤回か?



 なんて暴言が外野から聞こえてくる気もするが、俺は金のない学生でなければ、無課金縛りでいくプレーヤーでもない。

 ついでに、無課金で課金プレーヤー相手に互角に戦ったり、ゲーム内でチートをやらかすVRMMORPGのラノベ主人公でもない。




 てことで、早速課金して……


 と、そこまで考えたのだが、さてはて今の俺は気軽に課金できるほどの身分になかった。

 そうだよ。例のエロゲを購入したせいで、今月はカツカツ状態。

 家計を預けている絶に泣かれてまで、俺はあのエロゲを購入した。その結果は無残にもクソゲーだったが、まあそのことについては多く語るまい。



 初心者ブーストパックは千七百円ほど。

 ゲームを始めたばかりの初期のプレーヤーには、性能のいい武器と防具が手に入り、ゲーム内資金50万Gもついてくる。他にも回復系のアイテムもセットだ。

 リアル時間で1か月の間、アイテムのレアドロップ率上昇効果がついてきて、マップ移動に便利な騎乗ペットの馬に、アバターの衣装(コスチューム)までついて来る。

 もっとも馬とコスチュームに関しては、時間制限付きのレンタル。リアル時間で1カ月たつと消滅してしまう。



 非課金でチマチマやるのに比べれば、ブーストパックを使った方が、ゲームのスタートが物凄く楽そうだ。

 ついでにコスチュームを着れば、野暮ったい姿ともおさらば出来る。



 俺は泣いていた絶の事を思い出し、この後また絶に叱られてしまうことを覚悟した。

「昼飯を何度か抜くだけだから、大丈夫。大丈夫だろう……」

 そう自分に言い聞かせ、俺は初心者ブーストパックを購入することにした。


 ただ、購入した際にセットでついて来るコスチュームが気に入らない。

 そして300円追加すると、何種類かあるコスチュームの中から、一つ選べるようになっていた。


 そして、その中に気に入ったものがあった。


「ううむ、さすがは運営、汚い」

 微妙なコスチュームをセットに組み込んでおいて、追加料金を払えばいいものを手に入れられるとは。


 てなわけで、俺は300円分追加して、初心者ブーストパックを手に入れた。


 これから1カ月の間、ラグーンが面白いゲームかを確かめて行こう。

 2000円ぐらいなら、別に大した出費じゃないしな。




 ◇ ◇ ◇




 開拓民装備一式から、課金で手に入れたブーストパックの装備に変更。

 内容はこんな感じだ。

・武器

 ファブリニードの白夜剣 (片手剣)

・防具

 ファブリニードの白布服 (胴装備)

 ファブリニードの白布ズボン (足装備)

 スカイフローネの羽靴 (靴装備)

 スカイフローネの羽飾り (頭装備)

 レドック商会製指ぬきグローブ (手装備)

・コスチューム

 聖王国騎士服 (期限30日)

・騎乗ペット

 黒馬 (期限30日)


 武器にはダメージ増加の永続付加魔法(エンチャント)がされていて、防具だとダメージ軽減系のエンチャントがされている。



 ファブリニードって何?

 スカイフローネ?とりあえず空と関係ありそうかな?

 レドック商会?どこの店でしょうか?


 などなど、装備品の名称に関してはさっぱり分からないが、その辺のことは気にしなくていいだろう。考えるだけ無駄だ。


 ついでに何とかの盾もあったが、俺の戦闘スタイルだと邪魔にしか感じないので、即座にアイテムボックスの中へ放り込んだ。

 その内どこかの店で売っぱらってしまおう。序盤では貴重な資金源になってくれるはずだ。


 ……ただし課金アイテムは店で売れないとか、売れても1Gなんてオチはないよな?



 それと300円追加で課金してわざわざ手に入れた聖王国騎士服のコスチュームは、青と白を基調としたコート風の騎士服。

 吸血鬼の真祖が聖なんてついてる国の騎士服を着ることになるが、選べるコスチュームの中では、これが一番似合っていてカッコいい。

 それに開拓民スタイルの真祖なんてのは、さらに論外だ。


 そこで俺の脳内に、

「我は吸血鬼の真祖スレイである」

 なんて言いながら、開拓民スタイルでド田舎の村の畑を鍬で耕している、頭のおかしな農夫の姿が思い浮かんだ。

 まあ、ただの幻覚だ。



 幻覚はさておき、装備品の上からコスチュームを身に着け、これにて俺の装備は更新完了だ。



 装備品とコスチュームには、それぞれステータスに補正効果があるが、残念なことに現在の俺は自分のステータスの値を確認できない。

 たぶん、ゲーム内のアイテムかスキルでステータス値を見ることが出来るのだろうが、その辺はおいおい分かる事だろう。


 なお、騎乗ペットの黒馬は、メニューの中にあるペットの項目に収まっている。今は用がいなので、街の外に出るときにでも呼び出すとしよう。




 こうしてめでたく俺は脱・開拓民を達成。


 初心者ブーストパックを購入した理由の大半は、野暮ったい格好をさっさと抜け出したというものだったので、これで目的達成だ。


 もっともゲームに慣れているプレーヤーからしたら、初心者ブーストパックの装備の事を知っているだろう。


 分かるプレーヤーから見れば、今の俺など初心者丸出しの格好に違いない。




 ちなみにこの後何をするかなと街の中をブラブラ歩いていると、初心者ブーストパックで手に入る格好をした連中が、それなりの数いた。



 格好がダブっている連中が多いと、微妙にモチベーシンが下がる。

 とはいえ、始めたばかりだから仕方ない。


 装備の見た目については、プレーしていくうちに別の物が手に入っていくだろう。


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