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15 リアルの鈴木次郎2

前書き



 前回に続き今回も説明回と言う名の、ウンチク回。

 さすがに前回みたいに、説明だけではないけど。

「ただいま。(ぜつ)

「おかえりなさい、ジロー」


 仕事から"一人暮らし"をしている(アパート)に帰ってきた(じろう)を出迎えてくれたのは、フリルのついていない白いエプロンに、紺地のメイド服を着た美幼女の絶。

 クラシックデザインのメイド衣装だ。


 黒髪黒目のつぶらな瞳をしていて、体は小柄に、小さな顔。

 見た目が小動物っぽくて保護欲をそそ……愛らしく、ニコリと笑う笑うとさらに可愛い。


 メイド服を着ているものの、髪はショートカットで、顔立ちはボーイッシュ。


 上に体操用の薄い半袖シャツを着せ、下にスパッツとハーフパンツのジャージを掃かせるととても似合うと思う。

 というか、確実に似合う!


 そして運動して汗をかいて、上に来ている半袖シャツが汗でちょっと透け、肌がうっすらと見えてしまう。

 それにハーフパンツから覗くスパッツには、得も言われぬロマンがあるよな。

 もちろん、その下にある健康的で美しい美脚は……





 ああ、そんなことを考えていたら、学生時代にスポーツが得意だった後輩の姿が瞼の裏に浮かんでくる。


『付き合ってください!』

『先輩、寝言は寝てからにしてください。っていうか、寝ている時でも言うなよ!』

 学生時代に告白したら、あっさり返されてしまった苦い思い出まで蘇ってきてしまった。


 でもさ、俺って学生時代……てか、小学生の頃から一人だけものすごく背が高かったんだ。

 小学生低学年で身長一六〇センチ超えて、卒業するころには一八〇いってたんだ。中学時代には、今とほぼ変わらない高さになってて、中学高校では全校生徒はもとより、教師を含めて、学校内で一番背が高かったんだよ、俺。


 そんな俺は学校内で誰からも知られていた。背が高くて目立ちまくったからな。

 だが、モテはしなかった。

 性格も開放的言うわけでなかったので、人気者でもなかった。


 ただ目立つから、学校の誰もが一方的に俺のことを知っていた。


 たまに知らない相手から、「ジロー、シロー」なんて呼ばれることがあったが、俺はそいつらの名前を知らなかった。

 それに俺を馴れ馴れしく呼ぶ相手には、女子はいなかった。野郎どもの馴れ馴れしい呼びかけなど、どうでもいい!


 でもさ、あれだけ背が高かったんだから、俺ってモテてもよかったはずなのに……。




 そんな俺を、あの後輩も簡単にふってくれた。


(フフフ、あの子に振られた時の蔑むような目付きが、それはそれでいい思い出なんだけどさ。失敗したけど、やっぱ告白しといてよかった。でないとあの目はしてくれなかっただろうし……)


 今となっては、青春のいい思い出だ。

 と、少なくとも俺は納得している。




 ……と、いかんいかん。

 現在の俺の趣味は、巨大なお胸だけ。


 それでもたまに、無垢で穢れを知らなかった、純真だった頃の自分を思い出してしまう。あの頃の俺は、胸のないまな板こそが至高だと信じ切っていた。




「うへへ~」

「シロー、ジロー。顔がエロい事考えてるときのになってるよー」


 いかん。

 ちょいと過去にトリップしていたら、表情に出ていたか。


 ゲーム内での(スレイ)は、恥も外聞もなく巨乳お姉さんにアタックしまくる紳士だが、リアルの(じろう)は、そこまでのクソ度胸を持ち合わせていない。

 世間体と言うものがあるんだから、俺だって馬鹿なことはしないさ。


 そう、リアルの俺はただの一般会社員。

 決して、頭の中にエロスの事しか詰まっていない、アホ男じゃないぜ。



 とまあ、そんなこんなをしている俺だが、目の前にいる幼女絶は、そんな俺をニコニコと見守ってくれている。


「やっぱりジローは、いつもエロいことを考えているんだね」

「……」


 両手を頬に当てて、体を右へ左へとくねらせる絶。

 おまけに顔が赤くなっているし。


「いやいや、絶。俺はいつもエロい事を考えているわけじゃないぞ。リアルの俺は、至ってマジメ一辺倒なだけの男さ」

「またまたー、そう言って夜はいつもあんなことや、こんなことを……」



 そこで絶は、俺が夜な夜なプレーしているエロゲのアレヤコレについて話し始めた。

 それにしても、見た目10歳にはまだまだ遠い幼女が口にするのには、とてつもなく憚られる単語が、絶から次々に語られる。


 18禁確定で、リアルの俺の変態ぶりが晒されるので、その内容について、深く語ることは出来ない。

 そんな俺の生態(へんたい)ぶりを、一通り絶が語ったが、俺は黙ってそれを聞いていてあげた。


(絶相手に、俺は大人げない事なんてしないぜ)




 そんな話が終わった後、絶は我に返ったようで、

「そうだジロー。これから御飯にする?それともお風呂?も、もしかして私……とか?」

 顔をポッと染める絶。


 くうーっ、可愛いなー。

 お兄さん、思わず飛びかかっちゃいそうだ!


 と、理性がおかしな方向に行きかけるが、リアルでは紳士な俺は本能を押し殺して、軌道修正する。


 とりあえず、「風呂にするよ。夕食はその後でいいから」と答えておく。

「はーい、分かったよ」


 俺は仕事でしていたネクタイをほどきながら、風呂場へと向かう。

 その背後では、絶が笑顔で手を振りながら俺を見送ってくれた。




 そうして俺は、一人風呂場でシャワーを浴びに行く。


 なお、俺は現在実家を出て"一人暮らし"中であり、この家に"俺以外の人間はいない"。

 俺はただいま風呂場で全裸状態。家には俺以外には"絶しかいない"が、これから何か不純なことが起こるわけでない。


 絶は見た目と違って、随分年齢に合わないことを口走っていたが、彼女は人間ではなく、人工知能(AI)なのだ。




 西暦2116年現在、各家庭には量子サーバーと呼ばれるネット空間と現実をつなぐ機械が標準装備されている。

 量子サーバーは、昔のPCパソコンの拡張進化版のような機械で、その内部では様々な量子情報が蓄積・処理されている。


 絶は、俺の家にある量子サーバー内に存在しているAI。

 俗にホームAIと呼ばれている、各家庭に必ず"一体"は配置されているAIだ。



 ホームAIは百年前で言うところの、一家に一台はある車。それともPCパソコンと言った方がいいか?あるいはスマホか?

 いずれにしても、各家庭で必ず欠かせない存在。


 ホームAIの仕事は、家の住人に代わって家庭全般の管理を行うことで、早い話が昔で言う使用人、執事、メイドの仕事をしてくれる。


 家の住人がいない間に、ホームAIと共に各家庭で必須装備になっている、家庭用ドローンを遠隔操作し、掃除をしたり、炊事洗濯を行ってくれる。

 また料理だってすることが出来、家主が事前に指示しておけば、毎食の料理だってホームAIが用意してくれた。


 それに食事だけでなく、家計のやりくりとかだってきちんとしてくれる。


 毎月の家庭で使用する金額を言いつけておけば、その中から必要になる様々な物品の購入や電気ガス水道などのやりくりをしてくれる。


 もともとAIなので、家計簿をつけることなど朝㈴前。それどころか家の維持にかかる雑務全般を執り行ってくれるので、超便利な存在だ。


 電球が切れたり、洗剤がなくなってしまって、それらを購入する必要があるときでも、ホームAIはネットに介入することが出来るので、そこからオンラインで必要になる物を注文することができる。

 ホームAIの操作する家庭用ドローンは、家の中から出ることが出来ないが、配達は配達用ドローンがしてくれるので、家庭用ドローンは配達されてきたものを家で受け取るだけでよかった。


 このようにホームAIと家庭用ドローンの存在は、現代の家では書かない必須装備となっている。

 主婦の仕事というものは、よほどのもの好きでなければ、既にやる人間がいない職業と化していた。



 家族から離れて、一人暮らしで気楽に暮らしている俺にしても、寝て起きて、食べるために料理して、部屋の掃除をして、時には着る物が時に必要になって買いに行ったりと、家のことはいろいろしないといけない。

 だか、現代ではそういったことは、全てホームAIと家庭ドローンが片づけてくれた。


 科学の力は確実に人の生活を便利で豊かにし、そして堕落へと導いている。





 俺が風呂から出ると、脱衣所にはフカフカで着心地のいい寝間着が用意されていて、それに着替えてからダイニング兼リビングへ行く。

 ホームAIの絶が遠隔操作する家庭用ドローンが、俺がシャワーを浴びている間に用意してくれたものだ。


 そしてダイニング兼リビングにある机の上には、なんとジュージューと焼ける肉の匂い。

 肉だけでなく、付け合わせの野菜に、キュウリや大根の漬物とキムチ、白く白濁したスープなどもある。


 さすがに外食で食べる物には負けるが、それでも一人暮らしでは、とても用意してられない豪華さだ。


「えへへ、今日は給料日なので、大奮発しちゃいました」

 絶が両手を腰に当てて、「どうだ凄いだろう」と言いたげな顔をしていた。


 これらは全部、絶が用意してくれた料理だ。


「ありがとう絶、やっぱり絶は頼りになるな」

 俺が褒めると、絶は嬉しそうに顔を綻ばせた。



 そんな嬉しそうな彼女の頭を俺は撫でてやりたくなったが、残念ながら絶の姿は現実(リアル)では存在していない。


 彼女の本体は量子サーバー内にある量子情報であり、今見えている幼女姿は、俺が首につけているコミュティーリング――通称リンカー――をつけているから見えている、幻影に過ぎない。


 リンカーは、現代人であれば誰もが所持しているごく一般的な道具で、百年前に存在したスマホを、誰もが持っていたのが当たり前だったのと同じようなものだ。


 リンカーは俺の脳から発せられる神経情報と、量子サーバーを始めとするネット空間とを接続している機械で、これを介することによって、俺はリアルにいながらにして、ネットと量子サーバーが作り出す情報を、生身で捉えることが可能になっている。


 そんな技術の前提があることで、俺は絶の姿をリアル(現実)捉えることが出来ている。

 ただし、それは姿かたちのない幻影のようなもので、直接触れることが出来ない。


 頭をなでることが出来なかったが、俺はニコニコ顔の絶に見られながら、豪華な夕食を一人堪能した。



(ただ絶がいてくれるのは嬉しいけど、それでもやっぱり彼女が欲しいなー)

 ホームAIがいてくれるが、それでも家での独り身が寂しい俺だ。





 なお余談だが、リンカーを使うことで、俺は家庭に設置されている量子サーバーにアクセスすることができる。

 そこからネットをすることが出来れば、オンラインゲームをプレーすることもできた。


 昨日プレーしていたロード・オブ・ラグーンも、今首にしているリンカー経由でプレーしていたわけだ。


後書き



 絶ちゃんペロペロ、絶ちゃんペロペロ。



 今回登場した絶ですが、この話を執筆するにあたって、土台として書かれた小説で登場したキャラでした。

(その話は9話目まで書いたところで筆が止まったけど~)



 今作()行き当たりばったりで書いてる話ですが、どうしても絶ちゃんを出したいという作者の欲望と願望の為に登場です。

 活躍させてあげたいなー。

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