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1 神殺しから始まるVRMMORPG

前書き



 この話って、初っ端からノクターン行きにした方がいい気が……


 今時のラノベなら、このラインは18禁でなくてもOKかな?

1 神殺しから始まるVRMMORPG



「うへへー、おおっ、ボインボイ~ン」

 だらしない声を出しながら、ただいま絶賛興奮中な俺だ。


 なぜこんな声を出しているかだって?

 それは決まってるだろう、今俺の目の前には超巨乳のお姉ちゃんがボインボイと、巨大なお胸を弾ませているんだ。

 しかも白いシャツ1枚と言う格好で。


 もちろん、下には何も着てない。


 ウヘヘヘッ。


 胸の谷間がこれ以上なく強調される。お姉ちゃんが飛び上がるたびに、上下に飛び跳ねる肉の塊。

 そしてシャツの下は素足がのぞくだけ。


 もう少し、もう少しだけシャツよ頑張ってくれ。

 そうすれば、パンツすら履いてない絶対領域をこの目で見ることが出来る!


 しかしそれでも見ることが出来ないからそこ、絶対領域。


「フ、フハッ、フハハハハッ!

 なんて素晴らしいんだ!」




 と、興奮してしまったが、物凄く残念なことにここは現実ではなく、仮想空間。

 西暦2116年。

 それが今俺の生きている時代だ。


 この時代では、VR(バーチャル・リアリティ)テクノロジーの普及なんて極々当たり前で、世には数多くのVRゲームが溢れている。


 だが諸君!


 せっかくVRという技術がありながら、ただゲームをするのだけなのが正義だろうか!



 それは違うと俺は断言できる!


 せっかくリアルと変わらないVR技術があるのだ。

 だったら、当然お触りオッケーのエロVRがあっていいじゃないか!



 てなわけで、俺はただいまエロVRの中で、巨乳のお姉さんに飛び跳ねてもらって興奮中だ。

 ああいいぜ。


 リアルで巨乳のお姉さんにこんなことをさせられるわけがない。

 しかし、VRの中ではそれが可能。


「さあ、お姉さん。俺とめくるめく一夜を共にしようぜ」



 俺は鼻息荒く、飛び跳ねるお姉さんの腕をガシリと掴もうとした。


 だがしかし、そこで突如世界の時が止まる。


『お触りプレーをする場合は、製品版の購入が必要になります。お値段は十二万八千……』


 そこで、無情な音声が世界の中を響き渡る。



 このエロVR。

 無料で美人お姉さんが飛び跳ねてくれるのだが、お触りを楽しむためには製品版の購入が必要。

 しかし、めちゃくちゃ高い!


「……クッ、クソウ!ただ楽しみたいだけなのに、ぼったくりすぎだろう!」

 昔から、エロゲーやエロ動画の価格帯は高い。

 その伝統を受け継いでいて、このエロVRも製品版はとんでもない額がするのだ。


 なまじこれだけのお姉さんを目の前でただで見られるだけに、まるで蛇の生殺しのような残酷さだ。



 しかし俺の小市民的な財布事情では、そこまでの大枚をはたくことはさすがにためらわれた。


「これだけ期待させておいて、手を出せないなんて……」

 金のない俺には、お触りプレーをすることが出来ない。

 ただ目の前では再び巨乳お姉さんが、ボシンボシンと巨大な胸を上下させながらジャンプを再開していた。


 ただ、今度は格好がバニーガールの姿になっていて、飛び跳ねるたびに頭についてる兎の耳までピョンピョン跳ねている。


「ああ、至福じゃ~。だからお触りをー!」

 俺は叫びながらお姉さんに襲い掛かるものの、触れた途端に再び世界の時は無情にも止まってしまうのだった。





 ◇ ◇ ◇




 ――捨てる神あれば、拾う神あり!


 エロVRはさすがに高すぎて敗北した。


 だがここに、ロード・オブ・ラグーンと呼ばれるVRMMORPGがある。


 広大なファンタジー世界を舞台にしたゲーム。

 と言いたいところだが、実際にはそう言ったものと少し毛色が違っている。


 ロード・オブ・ラグーンでは、二つの惑星が存在していて、一つはファンタジー物の定番であるエルフやドワーフ、妖精といった種族がいる中世ファンタジーの惑星が舞台。

 もう一つは、近未来のスチームパンク風のSF世界が広がった惑星がある。この惑星では、銃やメタリックなロボットが登場している。この惑星ではかつての大戦によって文明の大半が滅び去り、惑星の表面は分厚い霧に覆われている。

 そして、そこにはファンタジー世界のモンスターよりもさらに凶悪なモンスター共が徘徊していて、プレーヤーを食らう殺伐とした世紀末の世界が広がっている。


 プレーヤーはこの二つの星の中から、プレーする惑星を選ぶことが出来るようになっている。


 ロード・オブ・ラグーンは、日本だけでなく全世界にプレーを持つゲームで、日本はもとより米国やEU諸国、アジア系の国々までが制作に加わっている多国籍なゲームだった。


「ちょっと……いや、かなりカオスだろう!」

 と、突っ込んでやりたくなる世界設定だが、ゲーム内での自由度は非常に高く、全世界で実プレーヤー数は二千万人を超えていると言われる代物だ。

 ゲームのIDの登録数だけで言えば、四億を超えていると宣伝されている。




「だが、そういう枝葉はどうでもいい!」


 このゲームにおいてもっとも肝心なこと。

 それは自由なキャラメイクをすることが可能で、操作キャラはプレーヤーのリアルでの性別でなくてもOKと言うこと。

 つまり女キャラも作れるわけだ!



 そんなわけで、高額すぎるエロVRに金銭面で挫折した俺は、かわりにラグーンの操作キャラとして、超巨乳お姉さんキャラを作ることにした。


 金髪のボインボインお姉さんで、頭の中身が詰まってなさそうな馬鹿っぽい顔。

「ウヘヘッ、エヘヘヘ~」

 欲望に塗れる俺は、キャラメイクだけで実に10時間もの長い時を過ごしてしまった。



「完璧だ。フフフフフ、今こそ"全痴"を掴むとき!」


 操作キャラの作成を終えた俺は、いざゲームの世界へと降り立った。






 ゲームの世界へと降り立った瞬間、周囲は緑の平原が広がっていた。

 太陽の木漏れ日が暖かくて気持ちいい。


 仮想世界でありながら、肌に感じる太陽の感触は現実そのもの。

 草原をそよぐ風には草のにおいが混じっている。


 そして風に揺れて、俺の操作キャラの金髪お姉さんの髪がさわやかに揺れる。だけどそれで背中がちょっとこそばゆく感じてしまう。


 完璧に現実と変わりがないVR世界。

 互換の全てが現実と遜色ないレベルで再現されている。


 普通ならここで多くのプレーヤーがゲームの世界に感動し、これからの冒険に夢とロマンを感じて心躍らせるだろう。



 もちろん、この俺にそんな冒険心などこれっぼっちの欠片もない。


「俺の夢とロマンは、今このボディーにあるんだよ!」


 俺は下を見ると、そこには豊潤でたわわに実った2つの果実を見て取れる。

 あまりにも巨大すぎて、地面が完全に隠れてしまって見えないほど。


「いやー、なんて素晴らしい豊穣の大地だ。こんなに巨大だと俺のオチン○ンも見えないな……いやいや、今の俺は女だからついてなくて当然か」


 自分でも馬鹿なことを言ってるとは分かってるんだ。

 でも言わずにはいられなかった。


 ただ、その瞬間、俺は少しだけ心の中で冷たい風が吹くのを感じてしまった。


(そ、そうか。俺のオ○ンチンがついてないのか……)


 VRの感覚があまりにもリアルすぎて、今の俺は男性の象徴を感じ取ることが出来ない。ちょっと気になって、両足をもぞもぞとさせて、股間のあたりにあるはずのものを感じようとする。


「な、ない。マジでなくなってる」


 いや、落ち着けよ。

 これはあくまでもVR。現実じゃないんだ!

 だから、ここではなくなっても、リアルの物までなくなっているわけじゃない。

 リアルの俺の体の息子さんは、きっと今頃興奮して激しくそそりたっているはず!



 そう思い直し、俺は、

「では、早速お楽しみの時間。実食と参りましょう」

 目的である巨乳お姉さんの胸を両手で鷲掴みにした。


「ヒャッ、あっ、あう、ふううう~」


 こ、これは素晴らしい。

 この両手で抱えきれない柔らかな肉は、とんでもない代物だ!



 だ、だけど、なんだか胸からとんでもない刺激を感じる。


 すごく気持ちよくて、思わず口から喘ぎ声がでてしまう。

 で、でもさ、この感じってなんだか違わないか?

 絶対に間違ってるぞ!


 男としては、知ってはならない興奮がする。

 これって絶対に、女じゃないと分からない興奮だよな。


「……ヤバイ、この感触に慣れたら、俺絶対まともな男に戻れなくなる」

 あまりにもリアルに感じてしまう。

 それは両手で感じる興奮よりも、触った胸から全身を痺れるように流れる恍惚とした喜び。

 だけど、それって絶対に男が知っていいものじゃない!

 女でないと分からない感覚だ。


「……これは|神の領域(性別)を犯す禁忌だ。

 男が抱く異性への幻想をぶち壊し、神殺しに匹敵する大罪!」



 VRゲームで、ネカマ、ネナベプレーをしている連中は世の中に巨万(ごまん)といるが、その多くがリアルで性同一性障害に陥っているとニュースで聞いたことがある。


 テレビで見ている時は、そんな馬鹿なことがあるわけないだろうと侮っていた。

 だが、俺はそのニュースが真実であると今この瞬間理解した。



「これは危険だ。俺は2度とVRゲームで女キャラなんて使わないからな!」


 第一、触るからこそ嬉しいのであって、触られて興奮するのは男として完全に間違っている!

 それで喜ぶ奴は、ごく一部の例外を除いて男じゃない!



 俺は男として2度と女キャラでプレーしない。

 決して、神殺しをしてはならないと誓った。


後書き



『今こそ"全痴"を掴むとき!』


 PSO2(ファンタシー・スター・オンライン2)に出てくる、皆大好きネタキャラルーサーさんのセリフですね。


 え、誤字じゃないかって?

 誤字じゃないですよ~。

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