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 ペキペキ、ペキカン、カンペキ。同じ言葉を何度も繰り返しているうちに、おかしくなって笑ってしまう。

 左、上、右、下、斜め左上、斜め右上、斜め右下、斜め左下、と順に繰り返す。繰り返す場所は、ものはなんだっていい。トイレのドアにつけられた明り取りの四角いガラス窓だったり、引き戸の上に飾られた額縁入り時計付きの夕日沈む海でのヨットの写真だったり、金魚の入った水槽だったり、西洋人形の入ったプラスチックのケースだったり、あるいは、コンクリートの玄関床だったり、下水の上を覆う敷居の鉄板だったり、なんでもいい。それを見て、左上下右と繰り返しているうちに、おかしくなってくる。ぼーっと、よく晴れた土曜の昼過ぎになんかに、一人でいるとき、そんな風にしてあお向けに寝転がっていた。

 家の玄関を出るとすぐ前には、公園があった。近所の人しか使わない、行き止まりの道路を横切るだけでよかった。だから、道路も公園の一部なようなもので、くぼみにできた水たまり、十字路にあった消防栓の箱、裏の川に架かる橋と田んぼと用水路、やぶにあった入口が朽ちて中が見える古い蔵、その中には藁で編まれた笠と蓑がかかっていた、川沿いの砂利道を歩いて神社とお寺、その道路を渡った先にある駄菓子屋が、僕らの遊び場だった。

 裏の川では、よくザリガニを釣った。

 やぶの中に成る桑の実を食べた。食べると口の中が紫になる。

 凍った水たまりに、ジャンプして、氷を割った。

 公園で木のバットと、ビニールのボールで野球をした。

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