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転生して目覚めたら……

作者: あると

長めですが、お付き合いください。

「貴方は誰?」


私は佐々木 美樹。あなたは?


「わたくしはアンゼリカ・リーナス・ミュゼファー」


あなたは私


「わたくしは貴方」


私は何故、目覚めた?


「わたくしが母に殺されそうになったから」


そう…私と同じだから、目覚めた……。


「ええ、何故か、二度も母に殺されるのは嫌!と思ったら貴方が目覚め、時間稼ぎをしてくれたのですわ」


時間稼ぎっていうか…意識が戻ったら金髪美女に首絞められてたから蹴飛ばしただけなんだけどね…

それで助けてくれた男の人って父親?


「いえ、父はわたくしを気にも留めませんもの。あれは母の愛人です」


複雑だね。


「まったく、わたくしに送られている生活費で遊び暮らしているくせに、殺そうとするとは……馬鹿な女です。わたくしが生きているからこその生活と分かっている愛人がいて助かりました」


どろどろだね。


「どろどろ…まぁそうですわね。それで貴方はこれからどういたします?わたくしの体を乗っとりますか?父親にも母親にもいらないもの扱いされていますが、これでも公爵家の血筋です。利用価値はありますよ」


う~ん、セレブにも興味はないし堅苦しい生活もちょっとな~アンゼリカはどうしたいの?


「わたくしですか…意見を聞かれるなんて初めてで……そうですわね…うん、生きたいです」


そうか……そうだね、私も生きたかった


「じゃあ、一緒に生きましょう」


ありがとう、この再びの生に感謝して生きよう



 そして佐々木 美樹の意識と記憶はアンゼリカ・リーナス・ミュゼファーの意識と記憶と融合しあい、同化し生まれ変わった。新たな生に感謝して生きることを目標にした新しいアンゼリカは様々な知識を吸収して美貌と教養と慈愛に満ち溢れた女性に成長した。その成長ぶりは凄まじく、愛の無い政略結婚の果ての娘を疎んでいた父が無視できぬほどの娘となった。実母より引き離し、その成長を助けようとするほどには…。


 なにしろ貴賎の差なく人々に手を差し伸べる美少女だ。民は実母が疎んだ彼女の白い髪を何者にも踏み荒らされていない新雪にたとえ、不可侵の聖女のごとき扱いで彼女を愛し敬い、ましろの乙女と呼び慕った。当初は下賎の民にまで親しく接する彼女を貴族の多くは批判的に見ていたが、社交の場での立ち居振る舞いにも文句もつけられず苦々しく思っているだけだったが次第に若者から中心に上位の貴族の者たちでさえ、聖女のごとく慈愛を持ちながらも高潔な貴族令嬢の立場をも忘れぬ彼女に惹かれていった。


 そして彼女が母に殺されかけた6歳のときから10年たった今、アンゼリカの人気は王家にも勝っていた。

公爵の娘とはいえ、一貴族令嬢が王家よりも貴族や民に慕われている現状は王家にとって頭が痛い問題だった。彼女自身にはなにも罪がないため彼女を排除することも出来ず、彼女を取り込むしかなかった。

そして…王家は公爵令嬢アンゼリカ・リーナス・ミュゼファーを王太子レイファルドの婚約者にすると決めた。彼女が王妃になることを多くの民は望むだろう。だが、それを望まぬ人も居た。そう、アンゼリカ本人である。


 なぜなら彼女は内々に王太子との婚約を打診された時に気付いたのだ、そう自分が悪役令嬢に生まれ変わったことを。


「まさか…ここがシュバルツ学園~身分違いの恋にドキドキ編~の世界だったとは……」


 そう、アンゼリカが生きるこの世界はシュバルツ学園を中心に様々に派生していくゲームの乙女ゲームバージョンだった。このゲームはシュバルツ学園に通う生徒を中心に十数人いる主役の選択により冒険ルート、内政ルート、恋愛ルート、魔王ルートなど多くの選択肢が選べるゲームだった。そして、偏らずに新たな楽しみをということでどの主人公を選んだらどのルートに行けるのかは販売開始して1年は秘匿することを誓った者にしか購入できない仕様だった。


 彼女は佐々木美樹だった時にこのゲームがお気に入りで様々なルートを攻略した。アンゼリカはいくつかのルートにちょい役で出てくる高慢な貴族令嬢キャラだった為に学園の存在を知ったときにこの世界がゲームのシュバルツ学園の世界だということは気付いた。ただ、アンゼリカはあるルート以外では雑魚キャラというかほぼモブの為、ゲームに関わらなくてもどうにかなるだろうと思い好き勝手に生きることにした。


 ゲームの中の高慢なアンゼリカは主人公によって感化された取り巻きに見捨てられボッチになることが多いために、貴族の取り巻きは作らず、また原因となる主人公に会わないようシュバルツ学園には関わらないように生活していた。

 

 一時期は民に近しい方は貴族の学園で学ぶことは無いということかと学園関係者に嫌味を言われたが、無視してわたくしは多くの民と関わりたいのですといって孤児院や貧困街を回って勉強を教えていたら貴族しか入れなかったはずのシュバルツ学園が平民にも門戸を開くようになったので、これはもしかして実は転生者の王族キャラの内政ルートなのかしらと考えていたのんきなアンゼリカだった。


 だが、今回の婚約の打診によりこの世界がどのルートなのかを確信した。なぜなら、ゲーム販売から1年経った後に解禁になった攻略サイトによればアンゼリカが王太子の婚約者になるのはいくつかある乙女ゲームルートの中でも王子様との身分違いの恋に翻弄される平凡な少女が主人公の時のライバル役の悪役令嬢の時だけだからだ。

 

 主人公が王太子の攻略に失敗すれば彼女は民にも王にも愛されない見せ掛けだけの王妃になる。だが、攻略に成功すれば彼女は婚約者である王太子を取られまいと平凡な少女に嫌がらせを繰り返すが、自身の取り巻きまでも主人公の少女の味方をする現状に激昂し少女を階段から突き落としたところを王太子に目撃され、そして婚約解消され、修道院に送られるのだ。


 そして、王太子と少女は身分違いを乗り越えて結ばれる。高慢なアンゼリカがメインキャラになるのはこのルートだけだった。他はボッチになるぐらいのモブキャラのアンゼリカにとって、この世界が主人公の攻略が成功しても失敗しても、唯一アンゼリカに厳しい世界だった。アンゼリカはこの世界がどのルートなのかを知ったときに軽く絶望したが、まぁ処刑エンドとかじゃないしとすぐに立ち直った。


 ただ、今の彼女が主人公をいじめるはずも無く、このままなら主人公は攻略に失敗し、アンゼリカの王妃ルート一直線だった。だが、彼女にとってそれは最も避けたい未来だった。なにしろ彼女はせっかくなら愛されたかったのだから。


 なぜなら、誰よりも民から愛され、王妃に相応しいと思われている彼女は実は自分への好意に酷く鈍感だった。前世でも母に殺され、今世でも殺されかけ、父にも疎まれるなど身内の愛に恵まれていなかった彼女は自身にむけられる感情を敵意ぐらいしか理解していなかった。彼女がもしかしたら慕ってくれているのかなと認識した者は、はたから見れば崇拝者のレベルだった。感情をあらわにするのを恥と考える貴族子息達の愛の表現はアンゼリカにはまったく通じていなかった。民達も近付くのは恐れ多いという気持ちが先立ったためか彼女への思いはほぼ信仰だった為に親しげなそぶりをする者は居なかった。鈍い彼女はこれだけしても人に遠巻きにされるんだから、この世界には悪役令嬢のはずの私を愛してくれる人なんて出来ないかもしれないと訳の分からぬ勘違いをしていた。


 本人は自分だったらこんな人を好きになるとういう理想を演じていただけなのだが、アンゼリカの理想が高すぎたということと彼女の外面を保つスペックなどが恐ろしく優秀だったことが、この愛されないコンプレックスとも言える様な勘違いの原因でもあった。


 そんな彼女は愛されない王妃になる可能性が微塵も無いというか、隠れて孤児院で子どもに手芸を教える彼女に一目ぼれした王太子以外にも殆どの貴族子息に好意を抱かれていることにもちろん気付いていなかった。彼女を聖女扱いする信望者達によって多くの者が排除されていたことも原因だが、前世から恋愛に疎かった彼女はまったく気付いていなかった。自分が多くの人に愛されていることを。だからこそ、愛を望んでいた彼女はゲームの様に愛されない王妃になることを望まなかった。まぁ、他にも理由はあるが……。


 慈愛の聖女と呼ばれる彼女はモブなんだから高慢なキャラ守らなくても良いよね、前世で出来なかったことしたいし、優しくしていれば愛されるかもしれないしと、ある意味利己的な感情からやりたいことばかりをやった結果、自分がましろの乙女と呼ばれ一部には多少は慕われている現状を知ってはいたが、その人気の実態の凄まじさをまったく理解してはいなかった。まぁ、面と向かって愛していると言われ、キスでもされない限り彼女は愛を認識しないぐらい鈍かった。お慕いしていますは彼女にとって友人と思ってくれているのかな程度だった……。


 だからこそ彼女はある行動をとった。ある意味、後先を考えない彼女は自分の行動によりこの世界の物語が大きく変わることも知りもしないで。


「は?」


「えっ?もう一度言ってくれ」


「だから、陛下!アンゼリカ様が修道女になってしまわれました!」


「なっなんだと!どういうことだ!一体なぜ!」


「そっそれが……王妃になるよりも神に一生を捧げたいと……」


バッタ-ン


「はっ!王太子様が!お倒れに!」


 宰相からの報告を聞いていた陛下の脇に立っていた王太子はその現実の前にあっけなく意識を失った。

なにしろ、初恋の女性が自分と結婚するのが嫌で出家した……女性に誘いを断られたことがない美男子の王太子には酷な仕打ちだった。なにしろこれからはあの慈愛の聖女を出家にまで追い込んだ男というのが枕言葉につくことになってしまったのだから。聖女を敬愛する者たちからの冷たい視線は避けられないことだった。

 

 何しろ、婚約はまだ正式なものでもないうえ、駆け落ちなどなら親に圧力を掛けて引き戻すなど出来るが、なにしろ出家である。神の敬虔な信者となったものを王命でも世俗に戻すことも罰を与えることも出来ないし、彼女を聖女と崇める者達がそんなことは許さないだろう。神の僕となった彼女に手出し出来る者はもういなかった。


 ちなみにアンゼリカは自分ごときが断っても王子にはダメージがないと思い込んでいたために簡単に出家を選び王子のこれからなんて考えもしなかった。


 そしてましろの乙女は女性の栄華の頂点とも言える王妃の座を蹴って、修道院にて修道女になった。世俗を捨てた彼女に神聖さを感じたのか信望者達の崇拝の念は恐ろしく上がり、聖女は聖母と呼ばれるようになった。


 そんな慈愛に満ちていた彼女だが、ある男の未来を変え、ある少女の思惑を壊してしまったことには生涯気付かなかった。周囲が彼女にその情報を伝えなかったせいもあるが、出家前の彼女が自分の行動によって起きたことに興味が無かったことが大きな理由だ。シュバルツ学園が平民に門戸を開いたのも彼女の行動が原因だし、その他にも様々なことが彼女の行動が起点になって変革したのだが、彼女は生涯そのことに気付くことはなかった。


 なぜなら、出家するまでの彼女は周囲に慈悲を振りまいてはいたが内面には問題があった。優秀だが感情に鈍いアンゼリカは転生させてくれた神への感謝以外には生きていればそれで良いとしか考えていなかった。どの様に生きていくなどは考えてもいなかった。慈愛に満ちた理想の女性を演じているに過ぎなかった。


 修道女になる前に求めていた愛ですら、出来れば前世では愛されなかったから愛されたいなぐらいの思いだったのだ。彼女が愛されたいから愛されない王妃は嫌というのは、ただの建前に過ぎなかった。なにしろ出家するまでは彼女の頭には自分から愛するということはすっかり抜けていたのだから。


 出家し、清貧と慈愛を実践するマザーと呼ばれる修道院院長や先輩修道女達に導かれる内に彼女は自分が独りよがりだったことに気付き反省した。聖女と崇められている彼女に空虚さを感じていた修道院の仲間達は彼女の心が成長し、生き生きと孤児の世話をするのを微笑ましく見守っていた。


 次第に彼女も男女の愛は未だに分からずとも尊敬の愛や家族愛は理解できるようになっていたから多くの孤児を母として愛し、愛された。そして血のつながりの無い幾多の老若男女様々な我が子達にその生を見守られ彼女は彼らを愛し愛されたことに満足し、笑顔でその100年にも及ぶ長い幕を閉じた。


 修道院に入ったことによって見せ掛けだった聖女が本当の聖母になったのだった。そんな悪役を放棄した彼女の途中退場によってある男と少女の運命を狂わしたことも知らずに。




さかのぼってアンゼリカが修道院に入って1年ほどの時の話をしよう。



「ここがシュバルツ学園!ふっふっふ、ここで王子様と私の恋が始まるのね!」


 校門の前で真新しい制服に身を包んだ平凡な少女、マリアが輝かしい未来を欲望に満ちた目で想像しつつ入学式を迎えたのだ。そう、この平凡な少女マリアこそ、このルートの主人公でありヒロインだった。彼女は死後、あるモノとの取引によってこの世界にパン屋の娘のマリアとして転生した。


 ただ、前世の記憶とあるモノとの取引のことを思い出したのはシュバルツ学園の制服に身を包んでからだった。この世界で王子様と恋に落ちて、ついでにライバルのアンゼリカを貶める。それが、彼女の使命だった。


 あるモノによって王子様の攻略方法はばっちりである。そのため、入学式もすっぽかして出会いの場である裏庭の木の下で待っていたマリアだった。


「あら?なんで来ないのかしら?迷子になって入学式に遅刻する私を見つけるのが王子様よね?」


 そう首をかしげている彼女に背後から男性の声が掛けられた。


「そこで何をしている!もう入学式は始まっているぞ!」


 はっ来たわね!という内心の思いを隠し彼女は不安げに台詞をはきながら振り向いて愕然とした。


「迷子にな……えっ?えっ王子?えっ?」


「はぁ?何言ってるんだ?」


 そこに居たのは頭が寂しくなりつつある40代ぐらいのおっさんだった……。


「なんで!こんなおじさんが来るのよ!王子が来るはずでしょ!」


「お前……先生に向かって…しかし、なに寝ぼけてるんだ?王太子様が学園に居るはずないだろうが」


「なっどういうことよ!」


「どういうも何も、聖女様に振られたショックで女生徒に手を出しまくって何人も妊娠させたせいで放校処分になった方が学園に居るわけ無いだろう。それに後宮に引きこもってるって有名だろうが。王子はあの方お一人だけだったから姉姫様が女王にって声も高いし、どうなることやら……」


「そっそんな……王子が居ないなんて……どこで出会えば……」


「お前、頭大丈夫か?まぁ、いいか面倒だし……。それよりここは男子部だぞ、女子は立ち入り禁止だ。説明受けただろうが。早く出て行け」


「はっ?男子部って共学でしょ?」


「はぁ…王太子様の一件から若い男女を近づけるのは問題があるってことで、女子と男子は校舎も授業も別で会うことはないって説明会で言われただろう……。お前、本当に試験受けたのか?はぁ面倒だが、連れて行くか……」


 そしてなにやらわめくマリアを職員室で事情聴取をする為に連れて行くゼイン・カラナスだった。ちなみに彼はふけ顔なだけで実はまだ21歳の新任でマリアとは6歳しか違わなかった。この出会いがきっかけで破天荒なマリアの世話係り件調教師になってしまったゼインだった。マリアの卒業まで喧嘩ばかりの二人だった。だが、後にゼインは口も性格も悪いし訳の分からぬ事をよく言うが実はただの単純おばかさんでパンを焼くのだけは上手な6歳年下のお嫁さんと喧嘩しつつ幸せに暮らした。


 そしてヒロインだった少女は変則的ながら自分の王子様を見つけ幸せになった。


 そして、振られ男、下半身馬鹿の異名をとどろかせ、廃嫡の危険性があった王太子は……


 後宮も王太子もしつけなおして見せます!(この国を愛しているあの方の為に!)という気概のある女性により見事に更正され、へたれな王様として民に慕われ貴族に同情されるようになった。ちなみに王が王妃を愛するようになっても彼女の一番はとある聖女に捧げられていたそうな。



 そして時は経ち、聖母と呼ばれたアンゼリカは真っ白な光の中で目覚めた。


「あら?ここは?」


「やっと来たね!」


 そう彼女に語りかけたのは13歳程の黒髪の少年だった。


「貴方は?わたくしは死んだのでは?」


 100歳で死んだはずが17~8才の頃の姿で目覚めたアンゼリカは不思議そうに少年に問いかけた。


「死んだよ!まったく平均寿命50歳の世界でなんで100年もいきるのさ!僕がどんだけ待ったと思ってるのさ!」


「あらあらお待たせしてしまって申し訳ありません」


 見た目はたおやかな美女だが中身は前世含めて130オーバー、中身はおばあちゃんなアンゼリカだった。


「まったくだよ。はぁ、僕は君を転生させたモノだよ」


「まぁまぁ貴方様が!本当にありがとうございました。とても良い人生でした」


 自分が感謝を捧げていた神様と知りさっそくひざをついて少年を拝むアンゼリカだった。


「もう!拝まないで!僕は君の魂が欲しくて闇に落とそうとして悪役に転生させたのに!生まれさせてからは干渉できないからって、なんで聖人になってるの!?君の感謝の祈りのせいで僕は邪神から転生神になっちゃったんだからね!」


「あらあらまぁ、おめでとうございます」


「ありがと」


そういって照れくさそうにふてくされる少年神を見てなぜか胸に熱いものがこみ上げてくるのをアンゼリカは感じた。それが何かはまだ分からなかったけれど。


「アンゼリカ、君はもう僕の眷属だ。これから僕と一緒に悠久の時を生きることになるんだ。もう生きたくないって言ったってダメだからね!君はその姿のままで生きるんだ!まぁ僕はまだ成長するけどね!」


「まぁそれはよろしゅうございました。これから末永くよろしくお願い致しますね」


「ふん!よろしくしてあげるよ!僕は転生神ファラゼイア・リナン・セイヤ。アンゼリカだけは僕をセイヤって呼んでいいからね!」


「光栄ですわ」


「かたい!もっと砕けてしゃべって」


「わかったわ、セイヤ楽しく生きましょうね」


 名の最後に来るのは神の真名であり、その名を呼ぶのは配偶者のみとアンゼリカが知ったのは凛々しい美青年に成長したセイヤに監禁され溢れんばかりの愛を身をもって理解させられた後だった。


 ちなみにセイヤの行動の切っ掛けは相変わらず恋愛には鈍くセイヤを焦らしていたアンゼリカがセイヤの笑顔を見たり彼に名を呼ばれたりすると胸がドキドキと痛くなると他の神に相談して居るのを聞いたからだった。立ち聞きしていたセイヤがアンゼリカを連れ去るのを他の神はやっとか~とニヨニヨして見ていた。


 そして神の眷属として3度目の生を受けたアンゼリカは愛する人を見つけ、また愛されることとなった。


 ちなみに1度目の生の佐々木美樹…ささきよしきは30歳の誕生日に母に殺されてその生涯を閉じた。

父との離婚から精神を患っていた母を15年以上も介護した人生だった。新しい家庭を持ち関りを避ける父、友人も一人も居ず、狂った母が中心の寂しい人生だった。狂った母が息子である彼を道ずれに無理心中しようとした際に抵抗しなかったのも致し方ないほど彼は人生に疲れていた。


 そんな彼だったので邪神は辛い人生を歩むことになるゲームに沿った世界を創り、悪役令嬢役のアンゼリカに転生させればすぐに闇に飲まれると思ったからの行動だった。美樹の心の奥底の生きたかったという願いに邪神は気付けなかった。


 そのため、アンゼリカを貶める人材として若くして事故死したちょっとお馬鹿な少女を言いくるめてマリアに転生させたぐらいしか手段を講じなかった。その為、アンゼリカが新しいアンゼリカになってからの流れは邪神の想定外のことだった。なにしろ、動き出した世界にはもう手出しが出来ないからだ。邪神はアンゼリカを見続けるしかなかった。


 悪意があって転生させたのに彼女は自分に感謝を捧げ続けるのだから居心地が悪いわ、気まずいわだった。アンゼリカへの邪神の思いが変わっていくにつれ、彼は転生神へとクラスアップした。アンゼリカの祈りが原因といったが実際に一番大きな要因は邪神が人を愛したことだった。


 実は彼女が王妃を厭った理由の大元は好きでもないし愛されもしないのに男と結婚するのか~と無意識に美樹の理想の女性を演じていたぐらい美樹の好みにアンゼリカが影響されていたからだった。女性であるアンゼリカの意識が主体となっていたとはいえ感情の発達は6歳の子どもより30年生きた美樹の方が強かった為に、影響が大きかった。そう、恋愛感情に鈍いのも美樹の影響だった。まぁ100年も生きる内に感情も死後に邪神改め転生神のツンデレに心をときめかせるぐらいには成長していた。


ツンデレと超鈍感な初恋同士の二人はじれったく周りをやきもきさせながら幸せに暮らした。

















TS設定をタグに入れるとネタバレになるので、入れていないのですが……あんまり関係ない仕上がりに…。実は最初に書いたオチは修道院でだって薔薇より百合が好きっていう台詞だったので…うん……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 凄く読みやすかったです。 王太子とくっつくかと思いきや、まさかの神様おち…。 新しい感じがして良いアイディアですね! [気になる点] 特に見つかりませんでした( ̄^ ̄)ゞ [一言] 魔…
[気になる点] 一文一文に意味をこめ過ぎて、読んでみると何が言いたいのかわからない。 にもかかわらず、言いたい事を表現を変えて何度も繰り返している為に、全体がとてもくどく感じる。 [一言] 最後のネタ…
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